表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/27

17話 意外な一面

〈登場人物〉

空閑くが 奈津女なつめ 20歳

空閑くが 由梨ゆり 26歳

九十九つくも みなみ ?歳

神楽かぐら 咲玖さく 170歳

屋敷に返ってきた奈津女はさそっく、キッチンで買ってきた物を広げてみた。

そして、椿とのルインを見つけ、さっそく送られてきたレシピに目を通した。


奈津女があまり料理をしないことを知ってるからか、椿が送ってくれたものはどれも初心者向けになっているため、椿の思いやりに奈津女は微笑んだ。


そうして、手を洗い道具を見つけようと棚を漁っていると、キッチンの出入り口から、聞きなれた声が聞こえてきた。


「あれ。奈津女さんもう起きたんだ~おはよう」


奈津女が声のする方に目向けるとそこには、あくびをしながら目をこする南の姿があった。

奈津女は、南の方に体を向けて頭を下げた。


「おはようございます。キッチン勝手に使わせてただいています。すみません」

「アハハ。頭下げなくていいってば~全然勝手に使っちゃって~」


頭を上げた奈津女は南の姿を、ジーッと見つめている。南の姿に違和感かあるからだ。


(いつもと違うはず…あ!)


そうして、目を見開く奈津女。その顔に驚いて、同じように南も目を開けた。


「南さん。髪おろしているんですね。似合っていますよ!」

「あぁ~その違いを探してたんだね。ずっと見てくるからなにかついてるのかと思ったよ」


そう言って笑って見せた。すると、自分の左手首についている髪ゴムで少し緩めに肩まである髪を結ぶ南。


「いつも、奈津女さんとユーさんに会ってるときは髪をセットした状態でしたからね」


そう呟きながら腕まくりをして手を洗う南。そして、流しの下に掛けてあるタオルで手を拭いてから、


「キッチンに居たってことは、何か作ろうとしてたんでしょ?それ手伝うよ」


そう言ってくれたのだった。奈津女は嬉しそうに


「はい。ありがとうございます」


と言った。

南はすぐに椿が送ったレシピに目を通して作りたいものを理解した。すると、すぐに道具を取り出して、材料の横に並べた。


「これらがあれば、何とかなると思うよ~」


そう言って笑った南。その素早さに驚いた奈津女。パッ思ったことを口にした。


「魔法みたい…」

「アハハ。確かにね」


そうして、我に返った奈津女は顔を赤くしながら、手を動かした。


――料理開始――

「じゃあ、何から作ろうかね~」

「シジミ汁はインスタント食品なのでいつでも作れるのであとでもいいかと」


そう奈津女が提案すると、南は頷いて鍋に水を入れ始める。


「二日酔いには肝臓に優しい食べ物が一番!ということで、奈津女さんが買って来てくれたそばを使って料理しよう~」


奈津女は鍋の水張を変わった。その間南はそばのレシピを見つめていた。


「お蕎麦と言えば、めんつゆしかイメージにないのですが、どのように作るのですか?」

「(ΦωΦ)フフフ…それはね…」


そうして、冷蔵庫の奥から黄土色の何かを取り出した。それは…


「ほら。稲荷の皮~」

「お稲荷さんだ~」

「そう。このお稲荷さんの皮の中に、そばを入れちゃうんです!」


そう言ったとたん、奈津女の目が、妖怪の話を聞いた時ほど輝いていた。


「おいしそうですね~」


――そば稲荷――

「まず、そばをお湯の中に入れて蕎麦を茹でます。」


そう言って、そばをお湯の中にソーッと入れる南。


「茹で上がるまで、蕎麦以外のものを切っちゃいます」


すると、まな板の上に、万能ねぎと稲荷の皮を乗せた。そのあと、奈津女の方を向き


「切る作業はお願いします」


と奈津女に促した。すると、奈津女はメモを置き、包丁を手に持った。

切り方を教えると奈津女はすぐに慣れてしまいだんだんと形もそろってきた。その様子を南は微笑みながら見ていた。


「・・・南さんって、教えるの上手なんですね」


奈津女が包丁で稲荷を切る間、口にした言葉。南はしばらく黙ったが、そのあと。とあることを奈津女に告げる。


「昔から、咲玖様の世話をしてきて、たくさんの事を教えてきました。

文字の書き方読み方。植物の成長。料理。色々と教えていました。

でも、彼はドラキュラ。簡単には外に出られず、今まで人間との接し方に慣れていなかったんです。

いつしか、自分を理解してくれない人間の事を嫌ってしまったんです」


そう悲しそうに話を続ける南。奈津女も、手を止めてその話に耳を傾ける。


「自分は咲玖様の成長に必要な特別なものを教えられなかったのではないか。そう思ってしまいました。諦めていた時に、奈津女さんたちが現れた。最初は玄関先で何をしているのだろうって変人のように思っていました。でも、奈津女さんと咲玖さんの部屋に行くまでに思ったんです。

〈きっとこの人たちなら、今からでも自分に教えられることがまだあるんじゃないか〉って」


そこから、南は目に輝きを見せながら話を続けた。


「だからこそ、奈津女さんには咲玖さんの近くに居て欲しいんだ。お願いできるかな?」

「はい。もちろんです」


考えるよりも先に口が動く。これは、咲玖と南に出会ってから起きた。奈津女にとってもこの2人の存在はとても大切な物なのだ。

話している間に、蕎麦は茹で上がり、切るものも全て終わった。

南は次に、冷蔵庫からめんつゆを取り出した。


「次はこのボウルに水気を切った、蕎麦とめんつゆ。揚げ玉。万能ねぎを入れてよく混ぜる」


そうして、奈津女が優しく混ぜ合わせると、いきなり南がキッチンバサミでボウルの中身を切り始めてしまったのだ。


「ちょっと!南さん!」


焦って奈津女がボウルを机に置くと、南は笑いながら訂正した。


「ごめんね~蕎麦切るの忘れてたから、いきなり切っちゃった」

「そ、そういうことでしたか…ビックリしました」


そうして、ラストスパートへと突入した。


「あとは、さっき切った稲荷の皮の中にこの混ぜたやつを入れて、形を整えたら…完成!」


そうして、出来上がった、そば稲荷に奈津女はスマホで写真を撮りまくる。


「すごい美味しそうですね~」

「だね~」


そして、やかんでお湯を沸かし、インスタント味噌汁を作り、

『朝ごはんの予定が、お昼になってしまった二日酔いによいご飯』

が出来上がったのだった。

机にご飯を並べていると、扉の開く音が。そこには、由梨と咲玖が眠そうに立っていた。


「おはよう~ナツ~」

「もうおはようという時間じゃないですけどね。おはようございます由梨」

「咲玖様も起きてきたんですか?珍しい」

「珍しいは余計」


そうして、集まった4人は手を合わせて、無事よい朝(?)を迎えることができたのでした。

今回は料理回という事もあって長くなってしまいました。

そば稲荷。調べてみると沢山レシピがあるので皆さんも作ってみてください。

今回も読んで頂きありがとうございます(*- -)(*_ _)ペコリ

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ