11話 耳元で
〈登場人物〉
空閑 奈津女20歳
?? 由梨 26歳
九十九 南 ?歳
神楽 咲玖 170歳
死神 デス ?歳
奈津女の事をナンパから助け、そして突然頭の上に降ってきた死神のデス。
彼は南と話がしたいと申し出たのだった。
「今回僕が伝えたいのは2つある」
そう言って、2本の指を伸ばす。
「まず、一つ目。お前ら、主2号と君の魂を今度から貰いに来る」
「――という事は、俺らを殺しに来るってことだな」
咲玖がデスに確認をする。
デスは咲玖の方を向いてから、笑顔で
「外野は黙ってて」
そう告げる。
顔と口調があっていない。
そういえば……奈津女は思い出した。
(ナンパ男たちを消した時も耳元で話すとき、
内容までは聞こえてきませんでしたが、笑顔で何かを言っていたような気がします)
そうして、奈津女。由梨。咲玖は静かに南の事を見守ることにした。
「魂を…ね。何をいまさら」
「イヤァ~僕もそう思ったんだよ。
なんで170年たった今になって魂を回収しなきゃいけないのか。
不思議に思ったから、閻魔様に聞いてみたんだ」
そうして、南の方に一歩寄る。
「なんかね。
〈あいつらは生きながらえすぎた〉って言ってた。
あ、あとこんなことも言ってたな。
〈主が死んでいるのになぜ使用人が来ないんだ〉ってね」
そう言って不気味に笑うデス。
南は下唇をかんで下を向く。
「まぁ、今日は平和に行くからそこは信じて。
で、2つ目が意外と主2号からすると大変な事かも……」
そう言って、南を手招きする。
だが、南はそれを鼻で笑った。
「殺害予告してきたヤツの隣に行けってか?冗談を」
「――さすがの僕でもこの仕事は片づけたくないレベルでヤバいんだって」
真っ直ぐと南を見つめる目。
その目に南は昔信頼を置いていた。
「――鎌を置いたらそっちに行く」
「出さなきゃ大丈夫って事でしょ?わざわざ重たいもの出さないよ」
そうして、手を上にあげるデスに南が近づく。
そして、小声でとある事を教える。
「――」
「⁉」
その瞬間、南は絶句した。
そして、元居た場所まで戻る。
「それって。どういう……」
「ね。僕も気が引けるレベルなんだって……
だから、これは僕の中で後回しにすることになった」
「ハァ!」
その時、デスの胸倉をつかむ、南。
「後にして良いわけねぇだろ!人の命だぞ!」
「だったら!……主1号も同じ命だと思うんだけど!」
その言葉を言われたとたん、南はデスの胸倉を離した。
「ハァ……そうなる気持ちもわかるけど、今も昔もそうやって変わらないんだね。君も。
自分の大切な物しか頭にない」
そう囁いて、デスはまた指を鳴らした。
すると、一瞬でもとにいた、賑やかなショッピングモールに帰ってきたのだった。
デスは、深呼吸してから南に伝えた。
「俺もできる限りの事を調べてみる。だから、まだあいつらには伝えるな……頼んだぞ」
そう言ってデスは4人の前から姿を消した。
「――」
黙り込む南を心配して、3人が駆け寄る。
「南さん。何について話してたんですか。教えてください」
奈津女がそう聞くと、南は暗い声で、
「一旦屋敷へ来て。そこで、話す」
声がうまく出せていないからか言葉がつっかている。
そして、そのまま4人は歩いて屋敷へと向かった。
辿り着くと、南が
「ゴメンね。明日でもいい?」
そう提案してきたのだ。
勿論その発言はすぐ却下される……と思われたが、南の様子を見て3人はOKを出さざる負えなかっただった。
南は目に光が宿っておらず、とても疲れ果てていたのだ。
南が暖炉のある部屋から立ち去ると、3人は話し始めた。
「あの様子じゃあ相当ヤバいことを教えられたんだろうね」
由梨が話を切り出す。
「主2号って咲玖さんの事ですよね。咲玖さんが困ることって何なのでしょう」
「――」
「咲玖さん?」
咲玖は下を向きながら眉間にしわを寄せる。
奈津女に話しかけられてからようやく前を向く咲玖。
「あぁ……なんだろうな。
それよりも俺は南の事についてが気になる。俺の親父の事をあの死神は話してた」
「とりあえず、明日聞けるしいいんじゃない?
ていうか、今日は泊りになるって事?明日また来るってなると時間合わなそうだし……」
「そうだな」
咲玖が由梨の疑問に答える。
奈津女は流れるようにスマホをサッとカバンから取り出し。
迷いのない様子で父親の連絡先に電話を掛けた。
「ちょっと待っててください」
そういって、部屋の隅へと移動した。
「はい。奈津女です。明日のお仕事なのですが、お休みをいただいても宜しいでしょうか……
はい。友達が大変なので!……はい。では。失礼します」
そいって電話を切ると、またこちらへ寄ってきて、グッと親指を伸ばす。
奈津女の顔は今まで由梨が見たことのはないほどのドヤ顔だった。
そのため、笑うところじゃないと分かっていながらも、由梨は笑いだした。
「アハハハ。奈津女のドヤ顔初めて見たんだけどアハハ。ウケる」
「えぇ。そんな変な顔してました」
そう焦っている奈津女とは正反対に爆笑している由梨。
そのとき、咲玖が答えた。
「自信に満ちてる感じでいいと思う……ブッ」
そう伝えて、咲玖も口元を抑えて笑い始める。
静かに笑う咲玖と声に出して爆笑する由梨。
さっきまででは考えられないほど、部屋の空気は明るくなるのだった。
笑いきった由梨は深呼吸を3回ほどして、息を整えてから。
「じゃあ、今日はお泊り会決定!」
そう声を出した。
投稿が遅れてしまいスミマセン(;´・ω・)
珠雷自身が体調を崩してしまいまして、投稿できませんでした。
今は体調も戻り、元気ですのでこれからの話も読んで頂ければと思います!
今回も読んで頂きありがとうございます(*- -)(*_ _)ペコリ