電脳空間の戦い! リメイク版
しいな ここみ様、主催の『宇宙人企画』参加作品です。『人類の歴史は戦いの歴史! あなたが選ぶフィールドはどれ⁉』というオ ムニバス連載の四話の文章で気になっていたところを、リメイクして投稿しました。
なぜ自分がこんな、銀河の辺境の地に送られたのか。ボクは宇宙連邦軍のエリートになるはずだったのに……上司の奴はボクがいると組織の協調性が乱れるからと言っていたが。
どうせ養成機関でトップだったボクを妬んだ奴らが画策したんだろう。もう戻りたくも無いが、辺境の地で時間を潰すのもつまらない。
さっさと仕事を済ませてしまおう。
地球という星の住民を観察し、好戦的と判断しだい滅亡させる。
あの星の住民が好戦的という証拠を見つければ、任務完了できるわけか。しかし下等な奴らと混ざるのも嫌だな。
星の周りの電波を解析した結果は……ふーん、どうも奴らは電脳空間で、オンラインゲームという疑似的な戦いを行っているようだ。生態を探るのに丁度よい。ボクもやってみることにしよう。
うっうわ~なんだ! あの黄色くてゴツゴツした醜い生き物は。とにかく作成したアバターとやらを走らせる。ここで死んだらまた一から、あの登録という面倒なことをしなければならない。とにかく逃げまくろう。
『左に曲がって!! 』
後方から炎が放たれた。黄色い生き物に被弾したようだ。
『ビギナー?運が悪かったね。いきなりあんなレベルの敵にあたるなんて。名前は!?』
なっ名前!?確かさっき登録の時に入力したのは……
『うっ宇宙人』
『宇宙人さん!?よろしく~。良かったらうちのチーム入る?俺らレベル上げが目的じゃないから初心者でも楽しめると思うよ』
どっどうするべきなんだ。
『ええっと……』
『ビギナーに親切にするのがこのゲームのマナーだからね。私もお世話になったし。まずは装備から考えようか』
良く考えれば、これはチャンスなんじゃないか!地球人の生態を掴むのに丁度よい!
『それでは……お願いします……』
「「アースチームオフ会かんぱーい!!」」
今日は始めて、オフ会というものに参加することにした。地球人の生態を探るのにちょうどよかったから。
不自然にならないように、周囲を伺う。居酒屋という場所はずいぶん賑やかだ。
先ほど自己紹介で聞いた名前とやらで、ゲームで知り合った住民の外見の情報は得られた。アバターの時と全く違うので戸惑っていると、声をかけられた。
「でも宇宙人さんって思ってた印象と違いました」
「えっ!?えっと、おかしいですか? 」
問いかけに、動揺する。
地球の日本という国の、20代男性の平均的な姿を模してきたつもりだったが……
「あっ違うんです。思ったより普通の方だったんだなあと。あっ、もっと失礼ですよね。えっとゲームの印象だと、どこか浮世離れした方だなあと。人外っぽいとか。本当に宇宙人なんじゃないかと……」
ドキッとした。地球人とやらは意外と鋭いらしい。
ここで蘭さんが、声をかけてくれた。
「性別まで偽っていた、カイさんが言うことですか~。ゴリゴリマッチョなアバター使ってた人が、リアルは華奢な女の人だったって信じられませんよ~」
「ひどーい!蘭さんだって詐欺ですよ。グラマー美女が来ると思ったら、チャラい兄ちゃんだったんですから! 」
他の参加者も入り乱れて、口をはさんできた。もうしばらくは、こんなやり取りをしていたい。ここがボクの居場所かもしれない。
あと100年ぐらい、この地球という国を観察する必要があると母星に報告をする事にした。
最初に投稿したのが今から3年前。企画参加のために、久しぶりに読み返しました。思ったよりちゃんと書けててニヤニヤ。自分に極甘なのがモットーです(^◇^)