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SHADOW  作者: Ak!La
第三章 精霊の御霊
43/103

#43 竜の牙

────シェレブ城4階・玉座の間───

「フェリアは裏切った……か」

 ライナーはポツリと呟いた。半分眠っていたロレンは顔を上げる。

「……何の話だ?」

「いや。独り言だ。まぁでも……そうだな。君にも少しくらいこのゲームの状況を共有してあげよう!」

 ライナーはそう言うと、バッと両手を上に広げてロレンの方へと振り返った。

「昨日! 君の救助隊がこの森へ到達した。潜伏者と陽動に分かれてね。でも陽動部隊の方はすぐに竜族の餌食だ。潜伏の方も僕の部下ラフェリアルが見つけた。……でも、そこでゲームは終わらなかったみたいだ。気が付いたらフェリアはなぜか向こうについてここまで案内しているし……」

 はぁ、とわざとらしくライナーは両腕を降ろして落胆したような様子を見せる。

「しかも竜族のガキが一頭向こうについてる。この気配はあの変わり者の奈落竜(アビスドラゴン)羽毛竜(ウィンガ)の仔だな。ずっと谷に隠れていれば良いものを。一体どういうつもりなんだ……この僕に歯向かうなんて!」

「お前がそんなだからじゃないか」

「どういう意味だ。意味が分からないよ。この森の竜たちは皆僕のしもべで、手足だ。逆らえば死ぬだけ。だからあり得ない」

 そう言ってやれやれとライナーは首を振る。ロレンはそんな彼を睨む。その視線に気が付いて、ライナーは両腕を広げる。

「なんだ。何か言いたげだな」

「別に……何を言っても無駄なんだろうなって、そう思っただけだよ」

「何を。僕に何を言おうっていうんだ。下等な人間如きに指図される()われはないし。君は黙ってそこに吊られていればいい。そして見ていろ。君の仲間が無惨に引き裂かれて死ぬところを! ……僕の部下が殺すところが見られないのは残念だけどね」

「……お前はここの状況が分かるんじゃないのか」

「分かるよ。気配だけだけどね。この森は僕の縄張りだ。侵入者はネズミ一匹見逃さない。中の状況は……大体の位置くらいだ。あとは僕の忠実なる部下たちは、城内にいれば思念が伝わる。それだけだ。だから状況は分かるけど、視覚情報まではね」

 そう言ってつまらなさそうな顔をする。だが、それも一瞬でライナーはすぐに笑みを浮かべる。

「もうすぐ、君の仲間がここへ来るだろう。何人残ってるかは分からないけどね。ここへ辿り着いた者はこの僕が直々に相手をしてやる。そして君の目の前でズタズタにしてやる。君を殺すのはその後だ」

「……お前が思ってるより、皆は強いよ」

「どうだか! そうやって大口叩けるのも今だけだ」

 ────────ロレンは、ライナーを人界で完全にその意思を持たせて顕現させたことはない。だから、彼の完全な力は知らない。でも、信じている。エレン達なら、必ずこの邪悪な竜を倒してくれると。

(……兄さん……心配してるんだろうな)

 彼はここへは来れない。人界できっと自分の帰りを待っている。……ずっと、心配を掛けっぱなしだ。自分では解決出来なかった。皆にも迷惑をかけてしまっている。

(────これが済んだら、今度こそ)

 目の前で鼻歌を歌って部屋の中を歩き回っている竜を、今はただ見つめることしか出来なかった。それがどうにももどかしくて、ロレンは何度目か分からないため息を吐いた。


* * *


───シェレブ城1階・エントランス────

 リオンハートは何かに気が付いたような顔をすると、二人を指差した。

「……そういや、ライナー様が連れて来たのって人間だったよな。もしかして、お前らも?」

「今は、精霊だ」

 エエカトルがそう答える。その冷たい目を見返し、リオンハートは笑う。

「へえ。じゃあ元人間ってことか。二人とも? 面白い。……てことは、それ以外の姿を持ってないってことだな」

「……」

 当然だ。そんなものあるはずがない。カリサはそういうのって後からは得られないのか、と思う。出来れば自分も何かに変身したかった。あの翼のある狼みたいに。

「……で? お前は竜化しないのか?」

 カリサは相手を指差して言う。リオンハートはコキリと首と指を鳴らす。

「竜化しなくても、お前らなんか十分殺せるよ」

「そうか? さっきの感じだとお前弱いけどな」

「何を!」

 フッとカリサは跳んだ。突然目の前に現れたカリサに、リオンハートは目を見開く。

「……い?」

「さっきはお前から来たからな」

 リオンハートの顔を、右から思い切り殴る。そして傾いた体の下側から左膝蹴りを脇腹に入れる。それからさらに腹に一発右拳。

「……ガキがッ……!」

 怒りに任せて、リオンハートは反撃して来る。闇雲な動きで無駄が多い。口の割に格闘戦には慣れていない様子だ。

 突き出された右拳を躱し、カリサはグッと脇を締めて右手を引いて左手を前にした。それから左手を一気に引いて、その反動で右拳を放つ。が、サッと上に避けられた。

「何っ⁈」

「俺をナメるなよ!」

「!」

 宙返りしてカリサの背後に回ったリオンハートは、振り返り様に肘内をカリサに食らわせた。

「あがっ!」

 口の中で鉄の味がする。仰け反ったカリサの首に手をかけ、リオンハートはそのま床へと倒す。

「アスラ!」

 エエカトルが叫ぶ。リオンハートはカリサの髪についている羽根飾り────通行証へと手を伸ばす。

「核を持たねェ精霊さんよ。これがなきゃ力は使えないんだよな?」

「!」

 ブチ、と髪飾りを引きちぎったリオンハートは、それを握りつぶした。パラパラと小さな破片が落ちる。開かれた手の中には砕けた宝石とひしゃげた羽根があった。

「てめ……」

「クハハ! これでお前はもう力を使えない!」

 力が強い。抑えられて動けない。そう言えば、先ほどまでに叩き込んだダメージもそんなに入っていないような気がする。やはり人型をしていても竜は竜か。

「……“風乗りの詩人よ……」

「おっと」

 リオンハートが空いている方の手をエエカトルの方へ向ける。何かを唱えようとしたエエカトルの足元から、床を突き破って枝が生えて来た。飛び退いたエエカトルの前に、それらがバリケードのように立ち塞がる。次の動きを迷ったエエカトルの足元からさらに枝が生え、彼の体を絡め取った。

「……クッ……緑竜族(フィラゴン)か」

闇緑竜(ダークラゴン)だ。……そうだな、折角なら俺の竜形態を見せてやってもいいか……」

 ずも、とカリサを抑えている手に毛が生え、膨張する。爪が伸びてカリサの首に僅かに食い込む。

「ぐ……」

〈おっとごめんよ、この姿じゃ力加減が上手く出来なくてよ……〉

 一瞬リオンハートの姿が闇に包まれ、そしてそれが晴れて現れたのは黒き毛並みを持つ獅子だった。……いや、頭からは角が生え、尾と腹は鱗に覆われ翼もある。

「……黒獅子竜(ブラックリオール)といったところか」

 エエカトルがそう呟く。体躯は普通の獅子を二回りほど大きくしたようなものだ。その手がカリサを押さえつけている。カリサは息が苦しい。。

〈クハハ! これでも()()()か⁈〉

「くっ……」

「“ウィンドバースト”」

 エエカトルが風を起こし、自身を絡め取っていた枝とバリケードを両断し破壊する。そして風に乗って黒獅子竜(ブラックリオール)の上へ飛び上がる。

「“大地穿つ蛇神の進撃コアトルス・フォラータ”!」

 頭上に掲げたエエカトルの手の上で、風が渦巻く。白く。中心に矢のような形が現れた。

「……! 風の槍……⁈」

 エエカトルが腕を振り下ろす。突風が吹いた。黒獅子竜(ブラックリオール)が顔を上げ、その体躯を風が穿つ。

〈ぐお……!〉

 リオンハートの体が浮く。その隙にカリサは脱出した。立ち上がりながら離れる。見上げるとエエカトルが浮遊したまま黒獅子竜(ブラックリオール)を見降ろしている。彼が力をちゃんと使うところを、カリサは初めて見た。人界では、彼の力は自分の力の一部でしかなかったから。

(……なるほど、人界に降りるにはこのレベルにまでならないといけないのか)

 風の槍を、カリサは初めて見た。風属性で物理的な形を作ることは難しい。いや、厳密にはあれも物理的なものではないのだろうが、可視化されるほどの濃密なエレメントの塊。あれが人ならざる精霊の域なのだ。

 高密度のエレメントをぶつけられた黒獅子竜(ブラックリオール)はふらつき、そして顔を上げる。傷は思ったより深くない。竜の体もまた高密度のエレメントで構成されている。

 エエカトルがカリサの隣に降り立つ。竜の方を見ているカリサに、エエカトルは言う。

「……風の石を砕かれたか」

「……あぁ。でも……」

 カリサはズボンのポケットに手をやる。そこにはさっきグレンから受け取った影の石がある。

「────────背に腹は代えられねェか」

「便利なものだな、双守護者(デュアルガーディアン)は」

「ま、考えて見りゃ風属性に拘る必要ももうないわけだ」

 さっき影の力を使った時。人界にいた時よりもずっと扱いやすかった。影の力を常用していた頃と変わらないくらい。この身では、人間における上限値がないのかもしれない。どちらも、強く出来る。

「……もう遅れは取らない。行くぞ」

「あぁ」

 黒獅子竜(ブラックリオール)が咆哮を上げる。建物がビリビリと震える中、二人は竜へ向かって駆けだした。


* * *


───シェレブ城2階・廊下───

「……カリサのことが心配か」

「!」

 城を進む途中、グレンはエレンにそんなことを言われてドキリとする。

「そ……そんな訳ないだろ」

 それを聞いてエレンはやれやれとした笑みを浮かべる。

「な、何だよ」

「いーや? 何でもないよ」

 数奇な運命だ。一度死んだその先で、最悪だった関係が修復されるとは。兄は少し嬉しそうに見える。カリサも然りだ。

 アラドと戦う二人は活き活きとして見えた。あれくらい、自分もアーガイルと一緒に戦えたらいいなと思う。自分たちはまだまだ弱い。エレンはラフェリアルにもまともなダメージを与えられなかった。この先、ライナーにも敵うのか正直不安なところだ。しかも今は頼れる相棒もいない。……いや。

(……エレボスだって相棒だよな)

 神界ではずっと離れているが、エレボスは自分の精霊だ。そう思って隣を走っている彼を見ていると、視線に気付かれる。

「……何」

「頼りにしてるからな」

「ん……何だ急に……まぁ、任せろ」

 猫耳がピコピコと動く。と、そんな彼が突然足を止める。遅れてエレンも足を止めると、先頭を行くローフィリアとラフェリアルも立ち止まっていた。

「……何かいる」

「あら。バレてしもたんか。しゃあないな」

「!」

 廊下に落ちている影から、ぬっと何者かが現れた。スーツ姿の黒髪の男だった。長い前髪の間から覗いた黄色い目が愉快そうに細められる。……闇竜族(ダークラオン)ではなさそうだ。影から出て来たのを見ると、黒竜族(オンバラス)だろう。

「……クロード」

 ラフェリアルが目を細めてそう言う。クロードと呼ばれた男は手をぺっと振った。

「困るでお嬢。ライナー様から聞いてはいたけど。なんで裏切ってまうねん。お陰で俺がお嬢の始末を命じられてもうたやんか」

「なっ……」

 ラフェリアルはショックを受けたようだった。そして右手首に浮かんだ紋様に手を当てる。

「……し、仕方ないでしょ。こうするしかないの」

「なんや縛られてる感じか。可哀想に。ほなら俺が、解放したるわ」

 朗らかに見えた顔が、一気に剣呑な雰囲気になる。ラフェリアルは髪をかき上げ、彼のその目を見返す。

「……冗談言わないで。あなたが私に(かな)うつもりなの」

「出来る思うたから俺が任されたんやろが」

 二頭の竜の間に、ピリついた空気が流れる。ラフェリアルは一つ息を吐くと、背後を見ないまま言った。

「……あなたたち、先に行きなさい。この先の道は単純よ。上を目指して。道中、まだ三頭いると思うけど」

「え」

 エレンは思わず声を上げる。するとローフィリアが振り向いてエレンに向かって言う。

「……僕もここに残るよ」

「ロー!」

「大丈夫。力の使い方は分かって来た。それに、一人じゃないし……」

 そう言いながら、ローフィリアはラフェリアルを見上げる。彼女は彼を一瞥(いちべつ)してフンと鼻を鳴らす。

「せいぜい足を引っ張らないことね」

「うん」

 そう答えるローフィリアの顔は、もう谷に隠れ住む頼りない仔竜ではなかった。エレンはそれを見て、頷く。

「……分かった。ありがとう、気を付けろよ」

「大丈夫。エレンこそ、無事でね」

「なんや。ほな初めから遠慮なく竜型でええ言うことやな」

 クロードの体が影に包まれる。そしてそれはあっという間に膨張して、中から黒い鳥竜の姿が現れ、一声高い声で鳴いた。足が発達した小型竜。広げた翼は飛べるほどの大きさではなかった。

「……黒嵐竜(ウィルバラス)黒走竜(ブラックラティータ)か」

 グリフがそう呟く。イアリは目を細める。

「……嵐竜族(ウィリオン)って飛ぶのが得意なんじゃなかったっけか」

嵐竜族(ウィリオン)に飛べない地走竜(ラティータス)というのがいる。それの混種だろう」

「飛べない鳥……代わりに足が速いってとこか」

 興味深そうにしているイアリ。そんな場合かとグリフはジト目で宿主を見ている。

 ローフィリアが竜化する。通路を半分塞ぐくらいのサイズになる。ラフェリアルは……というと体の一部だけを竜化させていた。両腕が鱗に覆われ、太い尾が生えている。

〈ふふ。お嬢はでかいからなれへんよなぁ〉

「うるさいわね。あなたなんかこれで十分よ」

 クロードの体躯は人間より少し高いくらいだ。この狭い通路では有利に働きそうな大きさである。

 ダン、と鳥竜が床を蹴る。狙いはラフェリアルだ。蹴り降ろされた足をラフェリアルの竜の腕が受け止める。

「行って! 邪魔よ!」

 ラフェリアルとクロードの横を、皆は駆け抜ける。エレン達を鼓舞するように、ローフィリアが咆哮を上げた。


* * *


「……少々良いか」

 しばらくして、フェールが言うので一行は立ち止まった。三階へ続く階段の前だ。

「どうした」

 ゼイアがそう言うと、フェールは残る面々を見渡す。

「この先三頭の竜がおると、ラフェリアルは言っておったな」

「あぁ……確かに。ライナーは入ってないんだろうな」

「ともすれば残る敵は四だ。ライナーのために戦力は確実に残しておきたい。その為に、(あらかじ)め組み分けておきたいのだ」

「……なるほどな?」

 腕を組むゼイアに、まずフェールは目を向ける。

「そなたの能力はライナーに有効だ。ゆえに最後まで行って欲しい」

「……そうだな」

「そしてエレン殿にもライナーの下へ行って欲しい。リリス殿とエレボス殿も共に」

「はい」

「分かったけど……」

 エレボスは両腕を頭の後ろで組みながら、エレンの方を見る。

「……フェールは?」

 エレンがそう問うと、フェールは左手を自身の胸に当てる。

「私は一人で良い。イアリ殿とグリフ殿は共に行かれよ。グレン殿はアレス殿と共に」

 これで四組にはなるが、エレンはフェールだけが一人でいることが少し不安だった。

「……こんなにライナーに必要なのか?」

「竜伐の際に最も多くの被害を出したのが竜皇、即ち奴だ。これも足りぬくらいだ」

 それを聞いて、エレンはゾッとする。……そんな怪物を相手取っているのか、自分たちは。

「良いな。誰一人欠けてはならぬ。敵はいずれも強力だ。油断するな」

「油断~してるよねぇ」

「!」

 階段の上に、いつの間にか男が一人座っている。フードを被り、その陰から赤い目が覗いている。

「……誰だ」

 フェールが彼を睨みつける。男はやれやれと肩の横で手を広げた。

「ライナー様の部下の一人、クライドだ。まったく、お嬢が裏切るなんて。お陰でこっちの人数も把握されてると来た。……オイラの知る限りじゃ、お嬢はそう簡単にライナー様を裏切るような竜じゃないと思うけど……お前ら、お嬢に何をした?」

「さぁ。奴は強い奴には従うと言ってたぞ」

 ゼイアが笑いながら答える。クライドの目がヒクりとする。

「強い? お前らが? ライナー様よりも?」

「気になるなら、試してみるか」

 ゼイアの挑発に、クライドは立ち上がる。フードの下の赤い瞳が鋭く光った。

「調子に乗るなよ、精霊風情が」

 飛び掛かってきたクライドの前に躍り出たのは、グレンだった。拳を腕で受け止め、彼は笑う。

「竜化しねェのか」

「……そんなに見たいなら見せてやる!」

 直後、グレンの腕に痛みが走る。受けている拳に棘のような鱗が生えていた。みるみる内に腕がそれに覆われて行く。

「たッ……⁈」

 グレンの視界の隅で何かが動く。それが長い尾だと認識した直後、グレンは衝撃を受けて吹き飛ばされた。

「ぐあっ!」

「グレン!」

 ゼイアがその体を受け止める。入れ替わるようにアレスが飛び出して行く。

「アレス!」

 クライドの体が黒い砂に覆われ、そして完全な竜人と化す。ダンッと床を蹴った竜人は、アレスへその鋭い爪を振りかざす。

「“闘神の盾(アトロス・スクトゥム)”」

 アレスがそう唱え左手を前へ出すと、その寸前でクライドは見えない壁にぶつかったかのように弾かれる。

「ぐがっ!」

 竜化してもなお、クライドは人の時と同じように声を発した。宙で縦に一回転したクライドは、四足で着地する。

「……闘の精霊か! 妙な力を使うな!」

「そうか? 普通だが」

 アレスはそう言いながら左手をブラブラと振る。そして隣にやって来たグレンに言う。

「大事ないか」

「あぁ……少しびっくりしただけだ」

 ふう、と息を吐き出しながらグレンは振り向いてエレンに言う。

「ここは俺たちで請け負う。後は頼むぞ」

「……あぁ。死ぬなよ」

「誰に言ってんだ!」

 そのセリフは説得力がない。だがエレンは頷いた。そして皆を促して進む。階段を登る精霊たちを尻目に、クライドは首を傾げる。

「……精霊二匹でオイラに勝てるつもりか」

「負けを見ながら戦いはせんよ」

 アレスはそう言って不敵に笑う。彼が戦うのを見るのは初めてだなと、グレンはそういうことに気が付く。少し楽しみだ、属性を持たない闘の精霊たる彼が、どのように戦うのか。

「……行くぞアレス」

「ああ」

 応えたアレスが一息気合を入れる。そして二人は、同時に動き始めるのだった。



#43 END



To be continued...

読んでいただきありがとうございます!


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