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物語のかけらを集めて  作者: 駒野沙月


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恋とは何ですか

 私は、綺麗な恋しかしてきませんでした。


 そこだけ聞くと何やら凄いことのように聞こえないこともありませんが、思い返してみれば当然です。

 だって私は、どの恋も()()()()()で終わらせたのですから。


 私はこれまで、恋が愛に変わる前──もしかしたら、恋を恋だと自覚する前のこともあったかもしれませんね──に、自ら身を引いてきました。

 誰に知られることも、誰に知らせることもなく、気持ちを心の奥底に仕舞い込む。そうすれば、自分も、相手も、傷つきませんから。

 これ以上に合理的で平和な幕引きは、きっと他にはないでしょう。


 人は、こんな私を哀れと称するでしょうか。それとも、自ら想いを伝える度胸すら無い意気地なしと軽蔑するでしょうか。

 私自身、心のどこかでそう思っている部分がないとは言い切れません。でも、その一方で、これでいいとも思うのです。


 なにせ、世間に蔓延る「愛」の形は、酷く歪んだものばかり。

 性愛に情欲、異常なまでの執着。お金目当ての()()。挙句の果てには、かつて「永遠」を誓ったはずの相手からの裏切り。そんな歪んだ「愛」に比べれば、私のちょっとした物思いや苦悩など可愛いものでしょう。


 そういう歪んだ愛情を目にする度に、もう恋などしないと誓います。

 誰かと出会い、恋をして、気持ちを伝えて結ばれ、すったもんだの末(大体エンディングの前には「何か」あるものですからね)にハッピーエンドを迎える。そんな、少女漫画のような恋に憧れたことも確かにありましたが、残念ながら現実はそう簡単なものではありません。

 自分が苦しむだけ。相手を苦しませるだけ。恋をしたって、いいことだけとは限りません。


 しかし、私はまた恋をする。自分にそのつもりがなかったとしても、気付けばまた、誰かを愛しく思う。

 時々、自分が分からなくなります。


 本当に、恋とは何なのでしょうか。

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