ただし26歳です 2
「さぁー、やることやってもらうよ〜」
とじゅうが言う。
「それさっきも言ってたけど、魔法少女?って何するん?」
「んーっ、簡単に言えば困ってる人を助けることかにゃ」
やっぱり、な行は喋りづりゃい…っとじゅうがぼそっと言う。
いや、ら行も苦手そうじゃん…と思ったけど声には出さなかった。
「困ってる人を助けるねぇ…。 例えば? 」
「にゃにゃにゃ、猫に例えばを求めたらだめにゃの」
「え、じゃあ、じゅうちゃんは私のなんなのさ?案内係とかじゃないの??」
「難しいことはよくわかんにゃいけど、実践あるのみ〜!」
あの人もそう言ってたんだにゃ、と続ける。
あの人って誰なのと訊く前に
「んにゃ、出発するよ、パパさんにバレにゃいようにね」
と言い出した。
「え、え、待って」
「早く早く」
とじゅうは私を急かしながら、障子を可愛いお手々をで開け、ぐーんと伸びて鍵も器用に開けようとするが、教えながら鍵を回すタイプなのでさすがに上手くいかず、視線で私に開けるように示す。
私が大人しく鍵をかちゃりと開けると、じゅうがガラス戸をスーッと開ける。
「さ、行くよ、パパさんはさっき見たら寝てたしこのまま電気つけて行けばバレにゃいよ〜」
「う、うん」
戸惑いながら返事をして外に出る。
「どこに行くの?」
「困ってる人のとこ」
「どうやって」
「こうやって」
と、じゅうが急にぐーんっと大きくなった。
「ええええええ!」
「お姉ちゃん、声大きい!」
と怒られる。
ご、ごめん…と戸惑いながら謝る。
「さ、背中に乗って」
「揺れる??私、めちゃくちゃ乗り物酔いするよ?ブランコでも、湯船でも酔うんだから」
というと、じとーっと見られる。
「僕を舐めないでね、そんなの承知〜!」
と伏せのポーズをして言う。
早く乗ってくれ、と更にじとーっと見られるので急いでじゅうに跨った。
「よ、よろしくお願いします…」
「おっけ〜!!」
とゆる~く、だけど元気よくお返事をもらう。
じゅうがふわっと浮く。
「おぉ〜!」
そのまま夜空まで駆けるように飛んでいき、そのまま走る。
「ねぇ。今更だけど、これ人に見られたらやばくない??」
「大丈夫だよーん、大きくなったときは魔法が使える人たち以外見えないようににゃってるんだって〜 」
「そうなのね…」
と安心して、じゅうの首に回してる腕をぎゅっと強くする。
「そういえばなんでじゅうちゃん人の言葉が喋れるの?」
「僕にもよくわかんにゃいの、偉い人が喋りぇるようにしてくれたの〜」
「偉い人?」
「うん、偉い人。にゃんかねぇ、そにょの人が言うには、ある程度の年齢になっても誰とも交わったことがない人を魔法使いにするんだって言ってた」
ん???これって私が未経験なのその偉い人にバレてるってこと??
とりあえず、へぇ〜…と返事をしたが何だか理由もよく理解できず、その偉い人に会うことが会ったらきこう、と思った。
「ねぇ、その偉い人に私も会える?」
「ん〜、たぶん会える〜」
でも、と続く。
「偉い人だから忙しいから、がんばんにゃきゃ会えにゃい」
だから、いっぱい困ってる人を助けるにゃ〜!!
と、やはり、な行が喋りづらいのか、所々舌が回ってないようだが、そこがまた可愛いので全然問題ない。
だけど、困ってる人ってどういうことに困ってる人なんだろう?私になんとかできるの? 助ける人の年代は??性別は?? と急に不安に襲われた。
それをじゅうに伝えようとしたら
「もうすぐ今日の困ってる人のところに着くよ」
と言われた。
「は〜い…」
と返事をし、もう一度じゅうの首に回してる腕の力を強めて、後頭部の匂いを嗅いで気持ちを落ち着けた。
良い匂い…。
心を決めないといけないようだ。