絶望
Episode2絶望
それは突然現れた。
奏の指さす先にあったのは、間違えなく、いや間違えであってほしかった俺の家だった。
俺は無我夢中で走った。
今回のサークルは俺の家の裏に出たサークルの一部と繋がるように俺の家とお隣さんの高橋さんの家に子供たちがたくさん遊んでいたであろう公園が飲まれていた。
?「お兄ぃーーっ。」
絢らしき声が俺の家から聞こえてくる。
俺はもう死んでもいいという気持ちで家族の名前を呼びながらサークルに突っ込んだ。
全身に強い電気が流れるような痛みが走りサークルから追い出された。
サークルに入ったにも関わらず、俺の体も洋服も全くダメージを受けていなかった。
「絢―――!お父さんーー!お母さんーー!」
俺は叫びながら何度も何度もサークルに突っ込み、追い出されを繰り返した。
奏「健大――!もう無理だーこれ以上は危険だ!」
奏が俺の洋服を後ろから強く引く。
「絢?お父さんにお母さんも」
奏「お前何言ってんだよーーもういいから下がれって。死ぬぞ!」
「絢?さっき叫んでたよな?なぁ、皆、俺の声が聞こえないのか。答えてくれ。」
俺は今俺の目に映っている光景が信じられなかった。
サークルの中に閉じ込められているというのに、絢もお父さんもお母さんもリビングの机を囲んで楽しそうに話している。
「おい!俺だよ!なんで聞こえねんだよ!」
奏「健大、お前、誰に話してんだよー!頼むから落ち着いてくれ。」
奏の言葉を無視して俺は段々遠くなっていく家族を追いかけるようにサークルに突っ込む。
次の瞬間、今まで以上の痛みが全身に走りサークルから追い出された。洋服は少し黒く溶け、痛みで立ち上がることもできなかった。
顔を上げた時にはもうそこに家族の姿はなくなっていた。
「あ゛あ゛―――――――――――――っ」
俺はいろんな感情がこみ上げ泣きながら叫び続けていた。
美琴「け、、んちゃん、、?」
あきら「どーなってんだよ。」
奏「二人とも?どうしてここに。」
あきら「帰ってる途中に同じとこでサークルが出たって聞いて慌ててきたら、、」
美琴「こんなことって。」
「どうして、、どうして。なんで俺は。なんで何にも、、だめだ、助けないと。」
俺は動こうとしない体を無理やり動かしサークルに突っ込もうと試みる。
「助、、けない、、と。、、、、、」
動かす度に体に激痛が走る。
あきら「健大、、もう駄目だ。サークルには入れない、わかってくれ。」
あきらは俺の前に立ちふさがった。
「ダメなんだ、、助けないと、今日は、、俺の誕生日で、、やきに、、っ」
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?「健大―、いつまで寝てんのよ、さっさと朝ごはん食べにきなさいー」
「え?お母さん、、?」
?「ああああ。もうわかったよー。勝手に部屋のドア開けるなって」
「どうなってんだ?これは、、、俺なのか?」
いつの間にか俺は真っ白な空間にいて今日の朝の光景が目の前のモニタ―で流れる。
?「うわ。お兄ぃ、寝ぐせキモイ。。」
「絢、、、?ここはどこなんだ。」
ザ――――――――――
俺の言葉と共にモニターが消え砂嵐に変わった。
モニター「・・・どうか!・・・ください!」
砂嵐のままの画面から誰かのしゃべる声が聞こえる。
モニター「・・ごめん・・さい・・お兄ぃ・・」
ザ――――――――――
「絢!絢、どこにいるんだ。生きてるのか。無事なのか?返事してくれ!」
モニターは砂嵐に戻った後、また朝の光景を映し出した。
「おい!いい加減にしてくれ、ここはどこなんだ!」
俺は誰がいるかもわからないどこまでも続いているこの空間に叫んだ。
モニタ―から流れる声だけが響き渡る。
?「・・た!健大!おい!」
奏の声がどこからともなく聞こえてくる。
俺は走った。
奏の声のする方にひたすら走った。
声はだんだん近くなり、、、。
俺は目を覚ました。
奏「健大!健大!大丈夫か。」
「お、おう、奏か、、絢は?お母さんは?お父さんは?。」
俺の言葉に奏は下を向いていた。
「おい!奏、答えてくれよ。あれは夢じゃなかったのか?。」
奏「、、、、。健大の家族は、サークルの一犠牲者になってしまった。」
「嘘だろ、、?なあ?嘘だって、言ってくれよ、、。」
奏「健大の為に何もできなくてごめん。」
奏はいきなり立ち上がって俺に頭を下げた。
何言ってんだ。俺の方があの時何もできなかった。ただ俺の家族がサークルに飲み込まれていくのを止めようと無理やり突っ込んでいっただけで、結局、何もできなかった。
やるせない。。
今になりさらに悟さんの言っていた言葉が身に染みた。
奏「隣にお茶あるから、お茶でも飲んで少し休めよ。」
「おう、、、。というか、ここはどこだ、」
俺は見覚えのないワンルームらしき部屋のベットの上にいた。
奏「ここは健大んちになった。」
「は?どういう事?」
どうやら俺はあの時白目をむいて気を失ったらしい。
あれから三日間もたっていて、俺の家は消滅した。日本で現れたサークルの中で一番大きいとネットやテレビでかなり有名になっていて、今はあの場所には行かない方がいいと奏は教えてくれた。
奏「落ち着けよ。ってか俺の話を最後まで聞け、あほ」
俺は初めて知ったのだが、サークルで負傷した人はファストドクターと言ってお医者さんが家まで来てくれて診察を受けることができる。また、サークルで家を失った人には国からその人が最低限暮らしていける位の家を支給して貰える。それに毎月、国で決められた額だけ補助金も入るらしい。
「でも、変だよな。国がそこまでの支援体制を俺たちにしてくれるのはいいけど、サークルの謎には誰も触れてこない。こーなることがあらかじめ国はわかってたかの様な対応に思えない?」
奏「確かに、言われてみれば変だな。」
「あきらと美琴はどうしたの?」
奏「昨日まで一緒にいたけど、帰った。あ、そうだ!」
奏が多分備え付けであろう冷蔵庫から四角い箱を取り出す。
「なに?。」
奏「浮田が言ってたんだけどさ。」
「美琴が?うん?。」
奏「健大の妹が来た日あるだろう。あの裏にサークルが出た時。そん時にお母さんの喫茶店から妹が帰るときに浮田が妹に頼まれてたらしい。“今日の夜、焼肉・仁義に行くのでそこにケーキを持ってきてくれませんか”“きっと友達が来てくれた方が嬉しがると思うので”だってさ。」
奏が手に持っていたのは絢から頼まれていたケーキだった。
俺は思わず涙が溢れた。
「なんで俺は、、なんで俺は先に帰らせたんだ。俺のせいだ。俺があの時一緒に帰ってれば、、絢、ごめんな、、。」
俺はそのケーキを抱きしめて何回も自分を責めた。
奏「もう、やめろよ。同じ経験してない俺が言ったら同情に聞こえるかもしれないけどさ、、健大は悪くないよ。」
俺は奏の言葉に耳を疑った。
「今,、、なんていった?。」
奏「なんてって俺なんか水差すような事言ったか?。」
「今、同じ経験をしてないって言ったか?。」
奏「お、おう、なんだよ?怖い顔しやがって。」
俺は勢いよく立ち上がり奏の胸ぐらをつかむ。
「おい!お前もしかして忘れちまったんか!。」
奏「何のことだよ!離せよ!。」
奏は無理やり俺から離れた。
奏「なんなんだよ、いきなり。今、情緒不安定なのはわかるけど手は出すなよ。手は。」
俺は、俺の家が飲まれる前のあの帰り道で奏が言っていた言葉の意味をようやく理解した。
奏は忘れてしまったんだ。あんなに大好きだったお父さんを。
忘れたくないと泣いて、スマホにメモまで残して想ってきたお父さんを。
奏「おーーい?健大まだ怒ってんのか。」
「奏、奏のお父さんは何してる人だっけ?」
俺はほんの少しの望みをかけて奏に聞いた。
奏「え?お父さん?俺、家族母親しかいないけど?知ってるだろ。」
奏は俺の質問にケラケラと笑って見せた。
「あぁ。そうだよな、ごめんごめん。」
奏からは完全にお父さんの記憶は消えていた。
奏「ってか、なんだよ。忘れたって。」
「思い出したいか?。」
奏「いや、人ってどうでもいい記憶は忘れるようにできてるから、いいや。」
俺は奏にこんなことを言わせてしまったことに胸が締め付けられた。
ここで俺に二つの疑問が生まれた。
なぜ俺の記憶は消えていないのだろうという事。
こんなに日本中でサークルが現れてるというのに確かニュースでは行方不明者という言葉は聞いたことがない。そこに人が住んでいたということさえ、世間に忘れ去られているようだった。
もう一つは、サークルに入っても初めの何回かは俺の体や洋服が溶けなかった事。
絢や悟さんはサークルに触れて溶けていた。俺もこの目でそれを見た。
でもこれについてはもしかしたらサークルがそこに現れてからの時間が関係しているかもしれないと俺は睨んでいた。
ピーンポーン
奏「俺出てくるわ。」
ガチャ。
?「長瀬健大君の家でお間違えないですか?。」
奏「あ、はい。本人はあっちにいますが。」
?「健大君を呼んでくれ。」
突然来た体格のがっちりした白衣の男はもう靴を脱ぐ準備をしていた。。
奏「あの、、何の話でしょうか。」
奏は不思議そうな顔をしている。
?「健大君の健康状態を確認しに来ただけだ。サークルで家族を亡くした親族は自殺する可能性が高いからな。私は大谷研究所で働かせてもらっている、あきらの父だ。」
俺は慌ててベットから飛び降りてあきらの父と名乗る男の元へ行った。
「初めまして、長瀬健大です。お会いしたかったです。」
あきら父「なにか聞きたいことでもあるのかい。」
奏「あきらの親父、初めて見た。」
俺はあきらのお父さんから聞きたいことが山ほどあった。
「あの突然なんですが、サークルの出現による行方不明者の名簿ってありますか。」
俺の質問に少し驚きを見せたがすぐに答えた。
あきらの父「今一番最新のデータを出すからちょっと待ってね。」
そういうと忙しそうにパソコンのようなものをカタカタといじり始めた。
あきらの父が使っているパソコンは変わっている。形はノートパソコンとはぼ変わらないが最近やたらとCMで流れてきていた新しい機種で、コピー機いらずで便利が相性のシーダというパソコンの仲間だ。シーダの手前からA4サイズ位の紙が出てきてそれを手に取ると俺に渡した。
あきら父「これが最新のデータだ。」
俺は真っ先に宮野奏のお父さんの名前を探した。
「あった。」
奏「健大の家族いるな。」
そこには、宮野健司と名前が書かれていた。
「違う。宮野健司。見つけた。」
あきら父「ん?誰だ?一番目の行方不明者、、?神奈川県、、?」
奏「え?なんだこれなんだ、懐かしい名前な気がする。」
奏は急に頭を抱えてしゃがみこんでしまった。
あきら父「奏君、大丈夫か。そうだこれを飲みなさい。落ち着くよ。」
あきらのお父さんが差し出したのは小さいピンク色のカプセルだった。
あきらの父「よかったら、健大君も飲むといい。」
あきらのお父さんから渡された錠剤を俺たちは飲み込んだ。
奏はモヤモヤすると口にしていたが程なくしてさっきのことを忘れたかの様にケロッと戻っていた。
あきらのお父さんに電話がかかり急用ができたと言って、また来るねと言い帰っていった。
俺は急いでキッチンに向かい吐いた。
あの渡されたカプセルを飲み込まないで口の中に残していた。
奏「おい、大丈夫か。」
奏が俺に近づく。
「大丈夫だ大丈夫。悪いが少しやることがある。帰ってくれないか。」
奏「俺も手伝うよ。」
「今の奏には手伝えない。悪い。」
奏「は?意味わかんない。俺、お前の事なんだかんだ一番信用してるんだぜ?」
「あぁ。知ってる!だから奏にはいったん正気に戻ってもらってから頼むは。」
奏「はぁぁぁぁ?もっと意味わかんない。」
「まぁまぁ、待ってろ。」
俺はそう言いながら奏の背中を玄関まで押した。
奏「じゃぁな!また連絡しろよ!」
「おう!連絡する。」
奏が玄関を出て見えなくなるまで俺は見送った。
俺は家に戻りカプセルを軽く洗い、ベットに持って行った。
よく見るとカプセルの外側はDCIの文字で埋め尽くされていた。
カプセルを開けると、中に黒い小さな四角いものが入っていた。
なんだこりゃ。思わず声を出してしまった。
黒い小さな四角いものは確かに赤く光ったり消えたりを繰り返している。
自然光に当たると光ってることがわからないくらいの乏しい光。
発信機、、?俺の頭に真っ先に浮かんだ言葉だった。
でも何のために。あきらのお父さんは敵なのか。その薬はどこで作られたんだ。
いろんな疑問が頭の中で飛び交う。
一つ言えるのは、もしコレが発信機だとしてそれが本意でも不本意でも誰かがナニカの為に俺たちを監視しようとしている。
今ここでコレを壊したら、すぐに気づかれてしまう。
でも何とかして調べたいな。
俺はあきらに電話を掛けた。
プルルルプルルル・プルルルプルルル
あきら「もしもーし!健大?。」
「おう!いきなりごめんな?。」
あきら「大丈夫だけど、、生きてたのか。心配したわ。」
「おい、勝手に殺すな!まだ完全じゃないけどな、、。」
俺は真っ先にあきらに確認したいことがあった。
「奏ってさ母子家庭で小さいころから苦労してんだな。」
あきら「うん。かなり。幼稚園の頃の父親参観とかどうしてたんだろうな。」
あきらも奏のお父さんの記憶は消えている事がわかった。
あきら「って、健大まさかそれ言う為に電話してきたんか?」
「まさか!あきらに調べてもらいたいことがあってよ。」
あきら「なんだ?」
「これから、あきらん家の伝書鳩飛ばしてくれ。あるものを送る、これは内密に調べてほしい。あきらにしかできないことだ。あきらのお父さんにも言わないで調べてほしいんだけどできるか?」
あきら「俺にしかできないこと、?おう!それはぜひやらせてくれ。」
「頼んだ。」
電話を切ってしばらくして伝書鳩が飛んできた。俺はキッチンに置いてあった台布巾らしきものにカプセルと黒い小さな四角いものを別々に入れてくくりつけた。
伝書鳩はすぐに飛んで行った。
あきらの家はお父さんが研究所の博士なのもあり、国から機密の研究を頼まれたりするらしく、この優秀な伝書鳩を飼っている。あきらのお父さんの部屋で飼っているがあきらのいう事しか聞かないといつだか言っていた。
俺はもう一人電話を掛けた。
「もしもし?」
美琴「けんちゃんーーーーーーー?」
「あぁぁぁぁ!うるさいわ!俺だよ!」
美琴「生き゛て゛た、、の、、?うぅ、、」
「美琴まで俺を殺すなって、、泣くなよ、」
美琴「よかったーーうぅ、、これから行こうとしてたんだよ。」
「大丈夫だって、、!」
美琴「奏もパパの事であんなに落ちてたから、心配で、、」
「え、、?」
美琴「だーかーらー、けんちゃん自殺しそうな勢いだったから。」
「違う、その前、なんていった、?」
美琴「えー、、と?奏もパパの事で、、」
「美琴!覚えてるのか?」
美琴「何のこと?奏のパパの事?」
「そう。」
美琴「けんちゃん何言ってんの?あんな事忘れられるわけないでしょ。あんな奏初めて見たし、、。♪♪」
電話の向こうでインターホンが鳴っていた。
美琴「ごめん、けんちゃん!今誰もいないから出なきゃ。」
俺はいきなりとてつもない嫌な予感に襲われた。
「ダメだ、居留守しろ、絶対に出るな。」
美琴「え?なにー?どうしたの?なんか変だよけんちゃん!待ってて。」
俺「美琴!おい!」
美琴は電話を置いてインターホンに出てしまっていた。
受話器の向こうで誰かと美琴の会話が聞こえる。
?「美琴さんの健康状態を確認しに来ました。」
美琴「あきらのパパ?」
予想通りの相手だった。あのカプセルを飲ませに来たんだとすぐに分かった。
俺はまた助けることができなかった。
あきらの父「周りの人が次々にサークルに飲まれていく瞬間を美琴さんは見てきただろう。?」
美琴「まぁ、それなりには。」
あきらの父「美琴さんの精神状態が心配だ。私にはこんなことしかできないが、これを試してくれ。」
美琴「カプセル安定剤?ありがとうございます。」
俺「美琴だめだ、飲んだらだめだ、美琴。」
俺の電話越しの声など美琴に伝わるはずもなかった。
おそらく美琴からも奏のお父さんの記憶が消えてしまう。そして体内に発信機も。
だめだ。俺はその瞬間を助けられるチャンスがあったのに遅かったんだ。
もう俺以外に奏のお父さんの記憶を持ってる人はいなくなってしまうんだ。。
俺は、、俺は、、
?「タスケタ、イ?オマエ、、アノコ、、」
俺「え?誰だ?」
?「ワタシノ、シツモンニ、ダケ、コタエロ」
俺「助けたい。助けたい!当たり前だろ!」
俺は誰かもわからない相手に必死に答えた。
?「イイヨ、、スクウヨ。アノコ」
相手がそういうと電話は勝手に切れた。
俺はわけもわからないまま、すぐに美琴に電話を掛けた。
頼む頼む出てくれ。
美琴「けんちゃんーーーーーーー?」
「おい!美琴か!」
美琴「生き゛て゛た、、の、、?うぅ、、」
「どうなってんだ、?。」
美琴「よかったーーうぅ、、これから行こうとしてたんだよ。」
「それさっきも、、」
美琴「奏もパパの事であんなに落ちてたから、心配で、、」
「戻ってる、、?」
美琴「だーかーらー、。」
美琴・俺「けんちゃん自殺しそうな勢いだったから!。」
美琴「え?今、、はもった、、?」
「俺はこの話するの二回目だからな。」
美琴「え?え?な、何?どういう事?」
「美琴、よく聞け、そして俺の話を信じてくれ。」
美琴「え?うん。わかったよ。」
「これから美琴の家にあきらのお父さんが来る。そしてあきらのお父さんがピンク色のカプセルを美琴に飲ませようとしてくる。絶対に飲み込んだらだめだ。」
俺はとりあえず早口で美琴に危険が迫っていることを伝えた。
美琴「そのカプセル?って何なの?」
「えーっと、、まだ、わからないけど、、わからないけどとにかく危険なんだよ。」
美琴「ええーー?まぁわかったよ!受け取らない。」
「受け取らないのはだめだ、薬を受け取って、あきらのお父さんにこの薬が何の薬かとかなるべく多く情報を聞き出してくれ。」
美琴「はぁぁぁ?どゆこと?、、、♪♪」
美琴の家にチャイムが鳴り響いた。
「わかったか。相手はあきらのお父さんだ。薬は受け取って飲み込むふりをしろ。」
美琴「わ、わかった。行ってくる。」
俺は受話器に耳を当てて目をつぶり聞こえるように耳に神経を集めた。
マジじゃん、と美琴がいい玄関を開ける音がする。
あきらの父「美琴さんの健康状態を確認しに来ました。」
美琴「ほ、ん、もの、、?」
あきらの父「ん?こんばんは。美琴さんは周りの人が次々にサークルに飲まれていく瞬間を見てきただろう。?」
美琴「は、はい、」
あきらの父「美琴さんの精神状態が心配だ。私にはこんなことしかできないが、これを試してくれ。」
美琴「これは、、?カプセル、、」
あきらの父「そうだ。飲みずらいなら粉ものも用意してるから遠慮なくいってくれ。」
美琴「カプセルで大丈夫です。あのこれは何の薬ですか?」
あきらの父「誰かに何か言われたのか?」
美琴「え?どういう事ですか?とりあえず、いただきます。」
あきらの父「いい子だな。この薬はな記憶を少し改ざんすることができる。この中に小さな機械が入っていてな。それが発信機の役割と、、」
あきらのお父さんは出て行ったのだろうか。声が遠ざかっていき聞こえなくなった。
美琴「もし、?おえっ。。けんちゃん?」
「よかった。それは発信機が中に入っている。肩身離さずポケットに入れといてくれ。」
美琴「わかった。ってか、あきらのパパなんかめっちゃ怖いこと言ってた感じだったけど、、」
「あぁ。あれはほんとの事だと思う。」
美琴「あれ飲んだらどうなっちゃうの、」
「多分、奏のお父さんの記憶とか消されるんだと思う。なんの為にそんなことをするのかわからないけど、、」
美琴「それって、あっちゃんも危険だよね。一番近くにいるし。」
「いや、今の事で確信に変わったけど、あきらのお父さんは何かしらこの件に手を貸している。あきらはもう手遅れだ。あんなに時間をかけてもサークルの謎にたどり着かないのはおかしいと思ったんだ。」
美琴「あっちゃん、、奏は?奏は忘れちゃったの、、?」
「あぁ。俺の目の前で、消されてた。」
美琴「ひどい。ひどすぎる。奏、あんなにお父さん大好きなのに、、」
「美琴、俺が今言った事は誰にも言わないでくれ。あきらにも奏にも。誰にもだ。」
美琴「わかった。。」
俺は美琴にそう言って電話を切った。
窓の外には伝書鳩が紙を咥えて座っていた。
窓を開けると、伝書鳩は咥えていた紙と俺の送ったものを俺の手に渡すと飛んで行った。
俺は折りたたまれた紙を開くとそこには一言
【伝書鳩が俺のとこに帰ってきたら電話かける】
そう書いてあった。
しばらくして、俺のスマホにあきらから電話がかかってきた。
あきら「おいおいおいおいおい!」
「なんだよ。」
あきら「健大が俺に送ったやつ、どこで手に入れた?」
「なんでだよ。どうした。」
あきらはかなり焦って興奮してるようにも聞こえる声だった。
あきら「あの後、すぐ調べようと思って、お父さんの研究室にOK分析君を取りに行ったんだ。そん時ふとお父さんの机を見たら、健大に頼まれて送られてきたものと同じやつが大量に置いてあった。説明書は見つからなかったけど、三個くらい持って帰って調べた。そしたら、本気でやべーことになった。」
「なんだ?」
あきらの体内にも同じものが入ってるよなんてとても言えなかった。
あきら「OK分析君に健大の送ってくれた黒いやつを掛けたら、発信機だった。」
「それは、なんとなくわかってた。確信じゃなかったけど。」
あきら「え?そうなのか?なんだよ。。」
「それだけか?」
あきら「いやいや、違う。やべーのはここからでさ、健大の発信機にたくさんの情報が入ってたから、覗いたんよ。そしたらさ健大の個人情報たっぷり出てきて、そのあとに濃い文字ではっきりと、【宮野健司】と【木林悟】って書かれてた。健大の知り合いか?」
「いや。知らない。」
俺は嘘をついた。
あきら「しかもカプセルの方に書かれてた、DCIの意味も分かった。DCIとは、人の記憶を消す薬。それによって病気になったりとかの危険はないらしい。でも、DCIと発信機の何かしらの信号が合うことによって、その人の記憶を置き換えたり、都合のいいことだけ残したりと色々やりたい放題できるシステムになってるみたいだぞ。」
「なるほど。そういう事か。」
あきら「え?そういう事ってなんだよ。」
「いいから続き聞かせてほしい。」
あきら「お、う。俺のお父さんの机の上にあったカプセルたまたまとってきたやつの中の一つが、健大のだった。同じようにデータ覗いたら、【宮野奏】【宮野真菜子】って書いてあったんだ。奏ってあの奏だよな、奏のお母さんか?あと二つも、、」
俺はあきらの言葉を最後まで聞かずに電話を切った。
奏が危ない。おれは家を飛び出した。
俺の新しく支給された家は、俺の前住んでいた家からかなり近い場所だった。
俺は今度こそ助けたいと全力で走った。
夜中にもなれば外は人も車も少なくなっていてガランっとしていた。
俺は奏の家につき、青くなっていないことにほっとした。
インターホンを鳴らしたが誰も出ず、奏に電話を掛けた。
「もしもし?」
奏「健大、どうした?なんかあったのか?息が上がってるみたいだけど。」
「いや、なんもないならよかった。今どこにいるんだ?。」
奏「お母さんの店で新しいメニュー試作してる。」
「喫茶店、、、、。」
その瞬間、俺の嫌な予感が胸を締め付けた。
「今すぐ店から離れろ。お母さん連れて。」
奏「え?、、ガガッ、、け、た、、、うしたん、、あ、れ、」
「おい!奏!奏!。」
スマホ「ピーーー・こちらの番号は現在使われていないか電波の届かないところにーっ」
間に合わなかった。俺はなぜ、奏が危ないと知り家を見てほっとしてしまったんだろう。
喫茶店があるじゃないか。喫茶店が。
俺は間に合わなかった。俺は助けられなかった。
あんなに狂った俺を全力でと止めてくれた奏を。
一番信用してると言ってくれた奏を。
俺は何回、『絶望』という場面に立たされるんだ。
「おい!出て来いよ、、。戻してくれよ。頼むよ、、。おい!」
俺は誰のいない空間に泣き叫んだ。
足は震え、俺はその場に膝から崩れ落ちた。
?「オマエ、ナニモデキナイ。カワリタイカ。カワリタイカ。」
??「オマエ、ダレカヲ、タスケルタメノ、『カクゴ』デキテルカ。」
「覚悟、?ハハッ。笑わせんな。そんなもん俺がサークルを見たあの日からとっくにできてる。俺が終わらしてやる。どんな手を使っても、、。また、あの笑いあえる日々を取り戻してやる。」
第二話です
パソコンの前に座ると自然に物語が浮かんできます。
不思議ですね!




