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17.わたくしより異世界に詳しいのはやめて

ブクマが200件を超えていました!

応援ありがとうございます!

まだ序盤なので、ぜひブクマ・評価等ぽちっといただけると励みになります。



「それが」


 わたくしはゆるゆると首を振りました。

 フィルがぱちくりと瞬きします。

 まぁ、綺麗なお顔ですこと。


「知らないのですわ、わたくし」

「え?」

「いえ、簡単なあらすじ程度なら知っているのですけれど」


 口ごもりながら、言葉を切ります。

 困りましたわね。こういう言いにくいことほど、記憶を覗いておいてくださったらよろしかったのに。


「お恥ずかしながら、わたくし、原作未読なのです」

「原作未読」

「しかもアニメも3話で切りましたの」

「3話で」

「わたくしも頑張りましたのよ。流行っているから見てみようって。1話の時点でだいぶキツかったのですけれど、学園に入ってからが本番だしそこまでは、と思って」

「はぁ」

「ですが、結局耐え切れませんでした。完全にNot For Meでしたわ」


 アニメとか漫画とか、何となく世間からはオタクという一括りで「好きなんでしょ?」と言われがちですけれど、当たり前ですがその中にも好き嫌い、得意不得意がございます。


 これはどちらが良いとか悪いとか、そういった話ではございません。

 わたくしには向いていなかった。わたくし向けに作られていなかった。

 ただそれだけのことですわ。


「ですからわたくし、後半は悪役令嬢の方がなんやかんやあって溺愛されることと、田舎で猫カフェを経営なさることしか知りませんのよ」

「なんやかんやって、何」

「なんやかんやはなんやかんやですわ」


 わたくしに聞かれても答えようがございません。

 だって履修していないのですもの。


「ていうか猫カフェって猫がいるだけの喫茶店でしょ? 人間ってそんなもの有り難がるの?」

「あら、猫カフェはいい文明ですわよ」

「だって絶対毛とか入るじゃない。わざわざ猫がいるところで飲む必要性ある?」

「最近の猫カフェは猫を撫でるだけでお茶が出ないところもありますわ」

「それもうカフェじゃないよ」


 そう言われたらそうですわね。

 フィルはどうにも「猫カフェ」部分が気になるようで、揚げ足取りのようなことをつらつらと並べ立てます。

 まぁ猫カフェ以外の部分が「なんやかんや」なので、そこしかツッコミどころがないのかもしれませんが。


「猫が接待してくれるのがキモってことでしょ? じゃあカフェって言うより猫キャバクラじゃない?」

「どうしてわたくしよりあちらの知識を上手に使うのかしら」

「まあカフェって昔は若い女性の給仕さんとセットだったみたいだから当たらずとも遠からずだけど」

「わたくしより異世界に詳しいのはやめてくださるかしら」


 フィルはわたくしの記憶を覗いただけのはずなのに、わたくしが知っていたかどうか自信のない豆知識を知っているのは何故なのでしょう。

 これが深層心理というものなのでしょうか。


 わたくしの深層心理にカフェが「カフェー」だったころについての知識が刻まれていたとしたら、それこそ「何故?」と伺いたいくらいなのですけれど。


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― 新着の感想 ―
[一言] たしかに、ご近所の猫カフェも缶ジュースとパックのお茶しか出てこないな……
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