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アンベールの嘆き


 ユリウス様がティエラ様の捜索に出かけてから3ヶ月近くが過ぎようとしていた。


 王都ではアダム様指導による改革と再編が進んでいるが、ここ北方に展開されていた部隊は、戦後処理に忙しい。


 国を一つ丸々手中に収めて、暇な時があるわけがない。


 王都から多くの文官が応援に来ても、仕事が減ることはなかった。


 ユリウス様が不在でも混乱が起きていないのは、前もってアダム様が適切な人材を送ってくれたからだが。


 騎士学校の同期であったトリスタンから、ユリウス様は大丈夫だと聞いたが、アダム様が国王となった今は、本当に大丈夫なのか、不安しかなかった。


 ふと、遠くに見知った姿を見かけた。


 ティエラ様の暗殺未遂をしでかした、ラザールだ。


 ユリウス様に利き手を潰され、爵位を剥奪された今は、一般の兵士に混ざり傷病者の世話をしている。


 騎士であり身分至上主義であった者が、剣を二度と握れず、平民となり、平民と共に生活を共にしている。


 苦痛であろうが、罰としては軽いものだとしか思えない。


 多少の情けがかけられたのか。


 例え糞尿の始末をしたりだとか、使用後の蛆の湧いた包帯を洗わなければならないとしても、その命があるだけマシなのではないか?


 本人にしてみれば、死んだ方がマシだと思っているかもしれないが、逃亡も自棄も起こさずに真面目に働いているから、己の行いを反省しているのかもしれないな。


 元同僚のことよりも、目の前の書類の山だ。


 ユリウス様に帰ってきて欲しいが。


 そして、この書類の山を片付けて欲しいが。


 その望みは叶わないだろう。


「はぁ……休みが欲しい……異動したい……」


 人のいない場所でのため息だ。


 俺の嘆きが聞こえた者はいなかったのだが、意外にもその願いは、わりと早くに聞き入れられることになった。






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