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今度は姉が

 嫌なことは続く。


「御機嫌よう。ティエラ」 


 ジャクリーンに遭遇した日から数日。


 働きに行こうとしていたところ、姉とは思いたくもないリゼットが離れにわざわざやってきた。


 やたら御機嫌な様子で、ニヤニヤと嫌な笑いを私に向けている。


 近付いてくるだけでリゼットの香水の匂いが届いて、この甘ったるい香りが私は嫌いだ。


「……こんにちは、リゼット」


 返事をしながらも、思わず顔をしかめる。


 でも、そんな私の態度にも構わずリゼットは御機嫌な様子だった。


「今日はね、貴女に良いものを見せたくて持ってきたの」


「何でしょう?」


 へー。じゃあ、私にとっては悪いものだね。


 戦いに勝ち続けているユリウスの事を、誰もが無視できなくなっていた。


 だから、あのジャクリーンもリゼットもユリウスの妻の座を狙っている。


 まもなく19歳になるリゼットに至っては、ユリウスの帰りを待っていては行き遅れ寸前だ。


 子爵家が本気で王子の正妃になれると思っているのかな。


 さっさと他の誰かに嫁げばいいのに。


 私が特殊なだけで、そもそも妃扱いされているわけではない。


 そういえば、ジャクリーンも婚約者がいたのに保留にしているらしい。


 バカだよね。


 でも側妃は、私が死なない限りは私を理由にしてユリウスが別の女性と結婚するのを反対する。


 だから、ますます私の命が狙われる可能性が高い。


 そんな事を考えている間も、リゼットは先程から煩く私に纏わりついていた。


 仕事に遅れるから早く解放してほしい。


「見て、これ。つい先日、ユリウス様から贈られたものよ」


 リゼットは、ダイヤモンドがたくさん使われている豪華なネックレスを身につけている。


 それがどれだけ高価な逸品なのかは、私でも分かった。


 今日の一番の目的は、それを私に見せびらかしに来たようだ。


 ユリウスは戦場にいるから直接は無理でも、店に頼んで贈らせたのかな。


「愛を誓う手紙も、ほら。私の所には届いているのよ。あんたの所には一通の手紙すら届いてないのでしょ?」


 勝ち誇ったように直筆の手紙らしきものを、私の目の前でピラピラさせている。


「ふふっ。ユリウス様の愛は、私のものね」


 ああ、そうですか。


 仲がよろしい事で。


 勝手に二人で愛を確かめ合えばいい。


 決して、私には一つもくれなかった手紙に、苛ついてなんかいない。


「この手紙にもね、“必ず帰るから、待っていろ。どこにも行くな”そう書かれているのよ。素敵でしょ?」


 もう分かったから、さっさと帰ってくれないかな。


「素敵ですね、リゼット。ユリウス様もきっと貴女のもとに早く帰りたいと思っている事でしょう」


 だから、心にもない事を棒読みで言ってあげたら、高笑いしながらリゼットは来た時と同じように御機嫌な様子で帰っていった。


 仕事よりも、ここに来る人達の相手をする方が疲れるのは何でだろう。


 重い心と足を何とか動かして酒場に行ったけど、この日仕事を遅刻してしまって、危うくクビになるとこだった。


 親しくなった常連のお客さん達が助けてくれたから、何とかクビを免れることができていたけど、こんな事が続くようなら私が職を失う日も近いかなと思っていた。








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