表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
53/62

05-01.聖女と名のつく奴は信用するな



とにかく聖女には関わらない方向で。

あと王都の方にも近寄らない。

そう決めていたのだけれど。


なんでまた、ここにいるかなぁ、とため息が出てしまう。


そういや思い出したのだけれど、異世界人を探している人がいやがりましたよね、迷惑野郎が。


宮廷魔術師だっけ?

名前はもう忘れた。


あいつが探している「異世界人」は誰だったのだろうか。

聖女ではないのか。また別の人間か。






今ここで「落ちてきた」という聖女が話題になっている。

王都よりも少し離れた田舎村にも「異世界人」が現れたらしいのだ。


さて、この話には一つの問題点がある。

その少し前に「召喚された」聖女がいるらしいのだ。


召喚、などと言うのは酷い話だと思う。

こっちの都合で勝手に呼び出すやつだ。

呼び出した相手に何もかも捨てさせて、突然呼びつけるやつだろう。最悪だ。


そういう話は大抵、物語では幸せになれたりするけれど、現実問題、そんなわけねぇだろ、である。


わざわざ「召喚する」という事は「何かに使いたいから」という目的があって召喚しているのであって、それなりの危険まで冒して行うぐらいである。

見返りを求められるに決まっている。


こんなクソみたいな世界に、誰がいつどこでどうして召喚なんかしたのだろうか。

ホント、勘弁してあげてほしい。


この世界に聖女は複数人存在するようだ。

ムカツクことに、敵は一人ではなかった。


複数人ということは、もちろん順位付けがあるらしく、力の差によってランクがある実力主義だそうだ。


この世界で生まれた者の中から「聖女」になる人間が輩出される。

別に異世界人に頼る必要などないだろう。


だが今、その異世界人の聖女を「召喚」し、さらに別で「落ちて」もきたらしいのである。

一体何が起こっているのだろうか。


正直、聖女には関わりあいたくないが、うちの可愛い子達に何かあっても困るので、情報は仕入れておきたい。

というわけで、情報収集することにしたのである。





     *-------------------*





聖女が拾われたという村でまで行って、話を聞くことにした。

これに関しては、皆が知りたがることらしく、定期的に説明会が行われていたので助かった。


あちこちの村からそれはもう、聖女サマの話を聞きに訪れる人がわんさかいた。

そこに紛れさせてもらったのである。


小さい子達は聖女に憧れるらしい。

私ぐらいの年頃の子はたくさんいた。

皆、目をキラキラさせている。

反聖女派は私だけだろう。


バレてはいないと思うけれど、居心地はもちろん、良くはない。

彼らの話によると、一月ほど前に聖女サマが落ちていたのを拾ったそうだ。

拾うって言い方はどうなのかね。


まぁつまり、保護して王都までの道のりを案内したそうだ。


それはもう、見目麗しいだのなんだのといらぬ修飾子がつきまくりだった。

絶対に信用ならないだろう。


だが実は、王都ではちょうど三ヶ月ぐらい前に、聖女の召喚が成功していたらしい。

なぜ召喚したんだ。そこをもっと詳しく。


もちろん説明してくれた人はそんなことなど知らず、教えてくれたのは、その召喚された聖女が役に立たないそうで、拾われた新たな聖女が大変喜ばれた、という話だけだった。


ちなみに追い出されたらしいよ、召喚された聖女サマ。


なんだそれ。鬼畜が王都にいるじゃないか。

いや、王都には鬼畜しかいないと思うけど。


勝手に呼びつけて追い出すとか、人としてどうなんだ。

この人達は、聖女を拾ったのだという手柄を自慢したいのだろうけれど、その説明もどうなんだ。


人間としてちょっと語り合おうか、そこの鬼畜共。


ちょっと聞いただけでも不審な事だらけすぎる。


かわいそうに、無理やり召喚された方の聖女は王都を追い出され、今や行方不明だそうだ。

代わりに拾われた落とし子である聖女が今は大活躍だそうである。

それをとても鼻高々に、自分たちの手柄のように自慢しているのだ。


要は、拾った聖女が召喚された聖女を蹴落としたって話だ。


蹴落とした事が素晴らしいかのように言っているが、その蹴落とされて行方不明になってしまった聖女は、探してあげないのか?


もう何から突っ込めばいいだろうか。

とりあえずお前ら全員、血の色は赤じゃねーだろ。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ