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04-01.そういや聖女がいるのでしたね。敵認定です



ようやく隠れ家候補に着いたのは、予定よりも二日遅れでした。

あの野郎のせいで。

二度と会いたくないですよ。


目的地だった隠れ家候補ですが…残念ながら、なくなってしまった。

跡形もなく。


ムムがとても困ったようにうろうろしていましたが、もはや無いものはないのだと思います。

というか、痕跡が一応あるので、ここにあったのだとは思うのだけれど。


「燃やされた感じだねぇ、これは」


真っ黒のススが地面に残っているだけで、他は何もないわけで。


「木の建物だった?」

《そうだ》

「じゃあ燃やされちゃったか…残念」


家っぽいものだったのならますます残念である。

けど、家っぽかったら誰か人が訪れるかもしれないので、なくなっていて良かったのかもしれない。


「温室っぽい方が私は好きかな」


あと廃墟っぽい方が、人は来なさそう。


「残念だけどまた別のところをゆっくり探せばいいよ。周辺探索もあるし」


周辺探索魔法のおかげで、建物の位置はわかるのだ。

辺鄙なところにある建物を見て回ればいいだろう。


「ここまで連れて来てくれてありがとう」


落ち込んでいるのが可哀想で、撫でてやる。


あ、すみません。嘘です。

私が触りたかっただけです。ごめんなさい。


さて困った。

戻ると、もしかしたら宮廷魔術師のあいつがまだいるかもしれない場所を通るので、ぐるっと回り道をして、他の場所も見つつ移動した方がいいだろう。


あいつにはもう関わりあいたくない。

態度、悪かったし。


「遠回りして他のところを見ていこう」


よさ気な場所は他にもあるかもしれないし。




*-------------------*




さて、野宿が続いておりますが、とりあえず寝場所がもふもふなムムさんの腹ベッドなので、とてつもなく快適です。

この世にこんな素晴らしいベッドがあるとは知らなかった。


ぬくぬく暖房完備とか、もふもふ最高です。

寒がりなので助かります。ありがとうございます。


しかしですね、浄化は毎日しているものの、やはり汚れすぎた時には水浴びは必須です。

お風呂というか、身体を洗う事も必須です。

なのに、あろうことか石鹸を持ってくるの忘れました。


私の馬鹿!馬鹿すぎる!

買わないと無いので、近くの町で買っておこうと思います。

売っているといいな。


「誰か一緒に来てください」


一人は怖いです、と正直に話したら、全員来てくれる有様。

甘やかされまくっています。


隠蔽魔法をかけたけれど、宮廷魔術師の野郎が看破できてしまったので、頭に布を巻いて額の角を隠してみましたが、いつも何もつけていないのでやっぱり気になるようです。


邪魔だよね、ごめんよ。

でも付けていてくれるととても精神的に安心します。

この子達が迫害されるとかマジ嫌なので、できる限りの手は打っておきたいです。


魔物だとバレたところで、迫害されるのは相手の方だろうって?


知っていますか。

言葉ってのは相手を切り裂くのですよ。


アホな奴らが考えもせずに吐く言葉は、心に酷い傷をつけるものなのです。

ちなみに、三匹が酷い言葉を投げつけられて、傷つくのは私です。


メンタル弱くてすみませんね。

でもマジで嫌だ。嫌なものは嫌だ。

だから自己防衛です。本当にすまない。


可愛い子達が貶められる事に慣れたくなどない。




*-------------------*




そんなこんなで近くの町に立ち寄りました。

三匹とも小さくなってくれています。


すばしっこいので、人が多くてもぶつかったり、踏まれたりする事はないけれど、心配なので抱き上げます。


特にモモちゃん。君は噛み付きグセがあるからね…隠蔽魔法状態で噛み付いたら、異常現象だからね。やめておこうね。


目的のお店屋さんを見つけて買い物をする。


相変わらず不審そうな顔をされるけれど、両親に頼まれて来ました、と告げればOKな程度には大きくなっている。

容姿って大切だ。


お金は先に、必要そうな分だけ出しておくのが大切です。

小汚いカバンは上着の下にね。

一応魔道具なので。


買い物を済ませると、外が騒がしかった。

皆がはしゃいでいる様子。

何事かと思ったら、アレでした。


「聖女様が来てるんだって!」


敵や!敵がいる!

なんでこんなところにいるんだよ!


モモちゃん、おとなしくしておいてね。

よーしよしよし、いい子いい子。


ムム達の兄弟が聖女に殺されたので聖女は敵だけど、さすがに年数がたち過ぎているので、殺した本人ではないだろう。


聖女ってのは、前世でもたくさん物語がありましたな。

主に異世界人がなったりしていた気がするけど。

でもここの聖女は、この世界の人だ。


そういやあの宮廷魔術師、「異世界人」を探していたな…本当に何の為にだろうか。


一応、聖女にもマーキングをつけとこう、と姿を高台から遠目で拝見する。


ふむふむ。

遠くから見ても美人さんかな?

皆に群がられていて大変そうだ。


ああいうの、怖くないのかな…知らない人間に盲目的に囲まれるやつ。

私だったら恐怖だ。絶対に怖ぇ。


そういや昔、見世物にされた時に群がられて怖かった。

柵はあったけれど、ニヤニヤしながらとか、縋るように手を伸ばされるってすげぇ怖いんだよ、アレ。


見世物にされている奴ら全般に言えるけど、皆、よく怖くないなと思ってしまう。


生活浄化の強化版を使うのが聖女だっけ。

うちの可愛い子を滅してくれやがった奴な。


彼女がやったわけではないだろうけれど、うちの子を殺せてしまう聖女という職業が嫌いになった。

近寄るな。天敵だ!


うちの子可愛い!な私にとっては敵でしかない。


そういやあの人の周囲に黒いもやがいっぱい見えるのだけれど、あれで本当に聖女なんだろうか。

宮廷魔術師にもあったけれど、あれほどじゃなかった。


聖女の周りには黒いのがもやもやしている。

ああいうのを浄化するのが聖女なんじゃないのか?と思っていたら、違うらしい。


《あれは浄化で消えることはない。心の在りようだからな》


え、そうなん。じゃあ何を祓うのさ。


《貧弱な魔物ぐらいならば浄化できるが、強い魔物相手には行動を止めることぐらいしかできないのが、聖女の浄化だ》


だから兄弟達にとどめを刺したのは聖女ではないという話だけれど、殺しに関わっているのだから、私にとっては同罪だ。

私にとっては三匹が一番大事だ。


あ、あとまだ会ってない二匹も、もちろん大事!

いつ会えるのだろうか。楽しみです。



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