02-01.封印について考えるべきこと
闇夜に紛れて夜逃げ同然で逃げようぜ、という事にはならず。
白昼堂々、隠蔽魔法でお出かけをしました。
騎士団は私を追って魔の森まで来ていたようですが、準備がないとやはり厳しいらしく、二の足を踏んでいるようです。
それでなくともムムが魔の森の魔物たちに命じて、温室のあたりには入らせないようにさせているようなので、奥地までは来ないだろう。
ただし、私の作った回復薬を飲まれると、効いている間は近寄りがたくなるらしく、通してしまうらしい。
回復薬、本当に役に立ってたんだなぁ。
さすがにもう、どこにもないと思うけど。
領主の自衛団達も同じ状況のようですぜ、旦那。
頑張るのはいいけどほどほどにした方がいいと思うよ。
私は出かけるので、いくら頑張っても見つかりませんから。
まあその隙に、逆方向に抜けたわけだ。隣領ですね。
あれだ。たぶん、私が生まれた領地である。
そこを横切って、さらに隣領の山中が目的地らしいのだけど、領を横切るのでそれなりの距離で、野宿の予定であります。
ムムさんは前回同様、大きめの姿で疾走するのが大変爽快らしく、楽しそうでなによりです。
よかった。
彼が疾走すると風が大変な事になりますが、隠蔽魔法をかけている為に、突如、突風が吹き荒れたようになっています、すみません。
近隣住民の皆様にはご迷惑をおかけします。
これでも一応、人様が住んでいなさそうな場所を通ってもらっているのだけれど、それでも影響が出るってすごい。
で。本日、野宿です。
これまた見晴らしの良い平原に堂々といるのですが、良いのでしょうか。
ムムは広い場所に、のびのびと手足を伸ばしてご満悦そうです。
たしかに隠蔽魔法はかけっぱなしだけど、火をおこしたりすると普通に見えますよね。
いいのか?
布を敷いて寝ようかと思っていたらムムさんが、乗って寝てよいとか誘惑をしかけてきたのでお言葉に甘えることにしました。
そもそも昼間も運ばれている最中、気づいたら寝落ちしていますよ。
もふもふの中に埋もれ、かつぬくぬくな体温ですよ…きもちいいに決まっています。
だとしても、さすがにここは見晴らしが良すぎて落ち着きません。
なんとなくの知識で、野宿って寝ずの番とかするんじゃないのかと尋ねたら、
「魔獣がそんなことをするはずがないだろう、何か来たら普通に気づく」
とか言われてしまいました。
人間と一緒にするなってことですね、すみません。
けどそれって、ずっと緊張しているという事なのでは?
疲れが取れないのではないだろうかと、封印方法を考えてみました。
出入り禁止の封印ができれば、危険はない。
そもそも地下室だってそのおかげで私は安心して眠っていたわけなので。
何かこう、見えないテントみたいな感じで上手く張れないものかと悩んだ末に、持ち物で棒状の物を四方に打ち込み…あれだ、自作の箸とか…あとはムムさんの耳の先端を設定しました。
一番高い位置がそこだったので。
するとどうでしょう!
上手に封印ができました。
私、天才か!(自画自賛)
「おぉ、これで全員安心して眠れる!」
彼らにはまったくもって必要ないらしいけど、もはや私の気持ちの問題である。
今まで閉じ込められてきたけれど、自分でする分には外敵からも身を守る事ができる封印。
最高か。
ムムは微妙そうだったけれど、それはたぶん、自身の耳の先を始点にされたせいだろう。
ごめんよ。だがそこが一番高いのだ。頼む。
メメとモモはまったく気にした様子なく、甘えっこで身を寄せ合っている。
可愛い。
持って来た食材で夜ご飯を作って食べた。
さすがに平原には何もないので、火魔法と水魔法を多用である。便利ですね。
お腹がいっぱいになったら、ムムさんにもたれかかっておやすみなさい。
成長期の就寝は早いのである。
《ちなみに主様、気づいているとは思うが、》
言い難そうにムムさんが呟いている。
なんだねムムさんや、幼女な私はもうおねむの時間…
《封印の中にずっといると、成長しないぞ》
…あ。
ほとんど成長せずに幼女のままで一生を終えていたのはそのせいか。
時間感覚がおかしかったのもそれですね。
状態維持は完全に停止するけれど、出入り禁止だけだとしても封印の中にいると、成長速度は落ちるらしい。
そもそも「封印」なので、時間の流れと切り離されるそうだ。
なるほど、成長したかったら封印内に居てはいけないのか…ソウデスネ。
しかし封印の安全性を知ってしまった今、これに頼らない生活が考えられそうにない。
「か、考えてオキマス…」
ムムさんはそれ以上何も言ってこなかった。
とりあえず今日はもう考えたくないのでこのままで。
おやすみなさい。




