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01-02.前々世の自分が死んでから、十年+年齢しか経過していなかった件について考えてみる



三匹はずっと、旅をしながら私を探してくれていたらしいので慣れているそうだけれど、私はまったく慣れていない。

なんせずっと連れ回されるだけの「物」でしたからな。

むしろ前世でも旅行なんてあんまりしなかった。


すみませんね。動かない事がもう身体に染み付いている気がする。

足を引っ張るだろうし、荷物だって、魔獣の彼らと私とではまったく違うだろう。


(できる限り荷物は少なめで…)


こういう時、前世で読んだ物語のような、チートな道具があると良いのにと思えてならない。


「○次元ポケットが欲しい…」

《よじげ…?》


メメが不思議そうに尋ねてくる。


「小さいポケットに、色んなものが大容量で収納できちゃう便利アイテムかな」


主にネコ型ロボットが持っていた気がする。

あれこそ元祖、チートだったよな。


「小さいカバンの中に無限大の収納とかでもいいけど」

《まほうぐ?》


こちらの世界だとそうなるのだろう。

それしか聞いた事がないネ。


「魔法具でもそういうの、あるの?」

《見たことはないよ》


さすがにそんな便利道具は存在しないですよねー。

ため息が出てしまう。


「必要最低限のものだけを選ぶの、苦手なんだよな」


旅行に必要なものってなんだっけ。着替え?

野宿するなら鍋とかもいる?

よくわからん。


《主様の荷物は我々が》


ムムは優しいから運んでくれるだろうのは知っている。

だがそれはそれで問題だ。


「それは非常に申し訳がないので、自分で持てるだけにしようと思うんだけど」


回復薬は一本ぐらいだとしても、作成する道具は持っていった方がいいだろう。


「うーん…」


三匹が常に一緒にいてくれるのならば安心だろうけれど、そうじゃない場合の事も考えておいた方がいいだろう。

出先ではぐれるとかは、ありえない話ではない。


はぐれたとしても、マーキングで相手の居場所はわかるけれど、すぐに合流できるとは限らないだろう。

現に、ムムたちの兄弟である残りの子達といまだ、合流できていないのだし。


《主様の行きたい場所は?》


それなんだよなー。

町に行きたいというよりは、隠れ家探しみたいなものなんだよね。


「どこかオススメとかあったりする?」


私の言葉に三匹が顔を見合わせた。




*-------------------*




とりあえずムムさんのオススメを回ってみる事にした。

そこならば一日走れば到着するそうです。


てことは、通常は片道十日ぐらいなんじゃないでしょうか。

前回もそんな話したよね。

なので片道三日ぐらいのイメージでしょうか。


ムムさんに全力で走られると、私が生き延びる事ができない気がするので手加減してもらう必要があります。

野宿二泊コースぐらいで考えれば良いと言われました。

ありがたいです。


そんなわけで、必要な物を考えました。


二日分ぐらいなら携帯食を持っていけば良いと思います。

野宿の寝床は固い地面の上なので、マントみたいな分厚い生地のものを買った方がいいと思います。

回復薬は必須ですが、地下にいっぱいあるので準備する必要はありません。

持っていく量だけ考えましょう。


あとは封印の魔道具です。

もしも行った先にある建物を気に入ったのならば、手をつけておいた方が良いと…一応、持って行った方がいいのではと三匹から薦められました。

三匹の方がしっかりしている。


すみません。

もはや主従逆転でいいんじゃないでしょうか。


あ、ダメか。

私がまったく役に立たない。

従者なんて、とてもできそうにありませんな。


ダメダメ主人でごめんよ…本当に。


見つけた場所は封印してしまえば他が手出しをできないから安全らしいです。

そんな勝手なことして良いのだろうかと思ったけれど、そもそも廃墟になっているのだから誰も所有権なんか主張してこないような場所だそうです。


どんな場所なんだそこ。


「じゃあ町に行って、封印は多めに買っておいた方がいいね」


必要なものだけ買い揃えてさくっとお出かけいたしましょう。

この領地からはしばらく遠ざかっておいた方が良いと思われます。




*-------------------*




三匹を連れて町に行きました。

もちろん三匹には隠蔽魔法がかかっています。

あとムムにも子犬の姿でお願いしました。

大きすぎると万が一の時に目立ちすぎ、パニックになるのは間違いないので。


とりあえず絶対に欲しい魔道具屋に一番に出向き、そこにある封印の魔道具を三本全部買い占めるのが目的だ。

封印の魔道具は一本一本作られているので各々、多少の使い勝手が違いそうだけれど、まあなんとかなるだろう。


「おじさん。これください」


店主が私の顔を見て明らかに驚いた。

すぐに視線を反らされたのが気になった。


「…お前さん、前にも同じものを買ったと思うが、また買うのかね」


以前は同じものを買っても何も言われなかったのに、突然である。どうしたのだろうか。


「何に使用するのか聞いても?」


使用方法を聞きたいのか…でも決まってないしなぁ。

困った。


「今のところすぐに使う予定はないですけど、急に必要になった時の為で」


正直に答えると、少し困ったような声になっている。


「必要がないのならば買う必要はないのではないかね」

「いえ、ちょっと出かけるので持って行きたくて」

「出かける?どこにかね」


え、そっちの話に食いつくのか。


今までは親切で優しかったのに、今日はなんだか違う感じである。

店主はチラチラと何かを気にしている様子で…もしかして時計を気にしている?


あれ?

もしかして時間稼ぎされているのか?


もう嫌な予感しかしない。


というか、肩に出ている幸運の光が鈍くなっているのが見える。

あと、今気づいたけど黒いもやが…そうかぁ。


《主様、青騎士団の連中が来そうだ》


腕の中のムムが教えてくれる。

ちなみにメメとモモはお店に入るなり、はしゃいで走り出し、どこかに行ってしまっていた。

相変わらず自由な子達である。


なぜか青騎士団を呼ばれたらしい。

しまった、もうここは安全な場所じゃなかったのか。


もう帰ったとはいえ、弟領主が滞在していたのだ。

何か指示を出していると考えるべきだった。


この人達は領民なので、領主には逆らえないだろう。

けど封印の魔道具は欲しいしなぁ…強引だけれど、買って帰ろう。

時間稼ぎをしているだけで、売るつもりがないわけではなさそうなので、良いだろうと勝手に判断する。


「騎士団の人達、呼んだんですか。領主のご子息達に捕まえるように頼まれました?」


店主は驚いた顔をしている。


「魔道具代、置いておきますね。お釣りはいらないです」


支払うので封印の魔道具は貰っていきます。

強引ですみません。いつも通り、定価で買うので許してください。


あと、お釣りは渡されるの待っていると間違いなく捕まるので、いらないです。

むしろそれで時間稼ぎされても困る。


呆気にとられている店主を尻目に、筋力増強剤を取り出して飲んでおく。

彼が手を伸ばして捕まえてきそうになっても、これで大丈夫だろう。


ムムが《近いぞ、急げ》と告げたのを合図に店を出る。


「おじさん、さようなら」


今まで魔道具の事を色々と教えてくれてありがとうございました。

でももう二度と、この店には来ないと思います。




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