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19-02.性格が悪い事など百も承知だ



色々気持ちも落ち着いたので、町に行ってみる事にした。

怖いが、あの後どうなったのか確認した方がいいと思ったからだ。


隠蔽魔法もあるしな、と思っていたらモモが《ついていきたい》と言い出した。


「え、大丈夫?」

《いんぺーまほー、あたしにもかけてくだしゃい》


モモちゃんはちょっと舌ったらずだ。可愛い。


お兄ちゃんのムムに聞いたら《連れて行っても大丈夫だと思う》とは言ってもらえた。


実は一番やんちゃなのはモモだそうで…暴れないように言い聞かせてあるとも言われた。


…子犬姿だとしても、暴れたら絶対に手に負えないですけど大丈夫ですかね、ムムさんや。


とりあえず抱き上げて連れて行くことにした。




町まで行き、先にオレンジ騎士団を見に行くことにした。


状態があんまり酷そうなら、回復薬をこっそり置いていくぐらいのことはしようと思って、少しだけ持ってきている。

重いから数本ですけれど。


納品時のように筋力増強剤を使ってまで持ってくるつもりはないです、すみません。


主従契約らしいので、バレたらムムのした事の責任を問われる気がするのだ。

バレればの話だけれど。

しかし自己防衛の一種だと思っている。


散々嫌な目や酷い目に合わされてきているので、とりあえず回避できるのならばどんな手段でも厭わない。

その後の事は後で考える。


あいつらに捕まったらまた酷い目に合わされることはわかっているのだから、誰だって避けるだろう。






オレンジ騎士団員たちは元気そうだった。

怪我はしているようだが、あれぐらいなら訓練時の怪我と変わりないだろ、とか勝手に判断する。


手加減してくれていたらしい。

ムム偉い。

彼が本気で暴れたら死者多数だったろうので、その場合は天災にでもあったと思ってもらうしかない。


迷惑クソジジイと元養父母の姿は見えない。

あの人達は酷い状態だったからな。

わざわざ見に行く事もしない。

むしろこれを機に、おとなしくしていてくれ。





買い物はいつもの青騎士団の町でする。

購入するお店も決まっているし、オレンジ騎士団の方で姿を見せると、万が一にでも元養父母の耳に入ったら厄介だ。

そのままそっと移動した。


姿を偽る幻影魔法が使えないので、モモはずっと姿を見せることはできないわけなのだが、私は姿を見せないと買い物ができない。

なので町に入ってから隠蔽魔法を解いておく。


久しぶりの買い物である。

ご飯はちゃんと作りましょうと(言われてはいないけれど)言われたので、仕方なく自炊に使いそうな食品を買っていこう。

お惣菜はダメだって。ちぇっ。




忘れがちですが、外見が七歳児なのですよ。

そして最近は納品をしなくなって久しいものの、子どもが一人での買い物は目立つのですよ。


一人の時はかなり警戒していたけれど、今回はモモを抱えていたこともあり、ちょっと忘れていたせいで、あっという間にチンピラ風な大人に囲まれました。


ニヤニヤして見下ろされています。

強盗か人攫いかロリコンか。


大人、と言ってもまだ若そうけど、七歳の幼女からしてみたら全員、いい大人だ。


「おい、本当にこんなガキが金持ってるのかよ」

「騎士団に納品に来てるガキってこいつだろ」


いえ、最近はずっと納品していませんが、何か?


「独りなら連れてって売った方がいいんじゃねーの」

「変態どもが喜んで買うだろ。これぐらいのガキは」


子どもの前でなんて話をするんだ、この馬鹿野郎ども。


「なんだよ、売り払うなら先に味見してぇ」


ゲハハ、とか下種な笑いをしてくれる本物の変態までいるとは、さすがに予想していなかったのでため息しか出ない。


もう少し買い物がしたかったけれど、筋力増強剤を飲んで走って逃げよう。そうしよう、と思ったのだけれど。


《マスター、マスター。こいつら、かみ殺していいですか》


腕の中からとんでもない意見が出た。


「モモちゃん、穏便に行こう」

《でもこいつら、イヤなにおいしかしないもん。かみ殺そう、そうしよう!》

「モモちゃん、ちょっと待とう」


やべぇ、この子、喋りだしたら意外にサイコっぽい。


「なにこのガキ、独り言言ってるんだ?」


目の前のチンピラが不審そうである。


モモちゃんの声、聞こえないのか。そうですか。

まぁそうか。

…そうなのか?


《マスター。あたしたちの声は、マスターにしか聞こえないんだよ》


ありがとうモモちゃん。

そういうことは早めに教えて欲しかったな。

というか、私の心、読んでないよね?


《とりあえず、かんでいい?歯がむずむずしてきたー》


むずむずしてきたのか。それは仕方がないな。


そういやモモちゃん、肉の感触、好きなんだっけ。それってやっぱり、噛むのが好きってやつですよね。

…そうか。そうだよねぇ。


「殺さないならいいよ」

「なんだって?」


私の独り言を聞きつけて、チンピラが凄んでくる。


「何言ってんだこのガッ…!」


言葉が途中で切れた。ガキ、て言いたかったんだろうな。

ご愁傷様です。


モモちゃんが勢いよく相手の腕に噛み付いていた。

もちろん隠蔽魔法が掛かったままなので、姿は見えていない。


考えてみたら、モモちゃんは子犬サイズなんだよね。

そこまで酷い事にならないかな、と思った私がバカでした。


だが後悔はない。むしろやっちまえ、な気分である。


その隙に私は逃げる。


お店に駆け込むか、このまま帰るか…と迷っている間に青騎士団が来るのが見えた。


これだけ早い対応だと、誰か通報してくれたのかな、と思う。


「大丈夫か?」


おぉ、団長さん。お久しぶりですね。

ご無沙汰しております。


でも嫌な予感しかしませんよ。

団長自らお出ましになるとか。


「相変わらず一人で買い物か。絡まれるな」


今までは納品をしていたので、誰かしら騎士団員の目があったし、クスタさんがよく付き合ってくれていたので何もなかった。


納品をしなくなってからは、一人で買い物していると確かに絡まれるのは増えたが、なんとかなっていたのだけれど。

今回ばかりは失敗だった。


「あれはお前さんか?」


相手が怪我しているのを見て、怪訝そうに言われてしまう。


「違います。なんか勝手に痛がりはじめたので、怖くなって逃げました」


しれっと答えたけれど、めっちゃ不審そうな顔をされた。


ですよ、ねー。


でも、誰にも見えないモモちゃんがやった事なので、私も知らないはずなのです。

腹黒上等ですが、何か?


団長が目の前で、深い深いため息をついた。


「…まぁ、そういう事にしておいてやる。やるから、ちょっと付き合え」


そのまま騎士団に連れて行かれました。


私もため息しか出ません。




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