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15-01.新しい魔法はじめました



気が付けば七歳になっていた。たぶん。

家から逃げ出して一年が経過していた。


納品していたのは半年に満たないぐらいだったが、それなりにお金は溜まっているのでしばらくは静かに暮らしていけるだろう。


元手0円の薬草から回復薬を作っていたからな…私がぼったくりだと言われてもおかしくない状態だったのだ。


だがそこはそれ、これはこれである。

引き篭もり生活ができるのならば必要である。

もらえるものは貰っておく主義です。




誕生日を覚えていないので、たぶん七歳になったと思う、である。五歳のターニングポイントは別に誕生日限定では無いので、自分の誕生日がいつなのかは微妙にわからない。


一歳年を取ったからか、使える魔法が増えていた。

隠蔽魔法は突然使えるようになったから、年は関係ないかもしれないけれど。


新しい魔法は「周辺探索」だった。

なんかこれいいやつじゃね?

引き篭りにはありがたい魔法である。


引き篭もったまま周囲の情報がわかるやつだ。

もちろん範囲はあるが、それでも大助かりである。


なんなら副団長が襲撃してくる前に欲しかった…こういう能力ってなぜかお約束的に、先には貰えないですよね、そうですよねー。


世の中ってそういうものですよね。


とりあえず新魔法が発生したので温室を中心に走らせてみました。どこまで使えるのかわからないのでまた魔力回復薬を目の前に並べて使っています。


倒れてもすぐ飲めるようにですね。準備は大切です。

目の前に常備薬を置いておくのは必須です。




探索魔法で何がどこまで見えるのかと期待していたわけですが。


なんか集落があるってのがわかるのと、誰かが近くにいるかどうかがわかるようです。まじか。

便利じゃないか。


(…あぁ、なるほど。マーキングをつけないといけないのか)


集落があるってのは地形と建物で判断ができるが、動くモノはマーキングしないとわからない。

対象をマーキングできるという事が驚きだが。


(でもあれだ、また魔力が続く限りって感じなのか…)


一人頭のマーキング程度ならばたかが知れていそうだが、どんどん増えていくと塵も積もる感じだろう。

対象者は限定すべきである。


封印も常時魔力消費なので、気をつけて使わなければならないだろう。


「うーん」


探索マップ内に集落が三つあった。目を閉じると見える。目を開けていても感じる事はできるが、はっきり見るのならば目を閉じる必要があるようだ。


二つは簡単である。青騎士団の町とオレンジ騎士団の町だ。あと一つ、知らない町がある。

今まで出かけていた方向と逆方向だった。


マップは領地線まで記載される優れものだ。その線を跨いでいるという事は、隣領なのだろう。


(…もしかしてそこが今回の生まれ故郷だったりするのかな)


だとしたら近寄らない方がいいだろう。

あの馬鹿両親が何を吹聴しているかわからないし、下手な噂が立っていたら面倒である。


一度町に出て探索をかけてみたい。

あとはマーキングもだ。

物は試しである。




*-------------------*




納品の為に定期的に町へ降りていたが、引き篭もって以降は間隔もバラバラだ。

隠蔽魔法を使って行っているので、誰かに出入りを見られている事はないだろう。

突然町中に現れていなくなる幼女である。


おかげさまで変な奴に絡まれる率は低くなっている。


騎士団に回復薬を納品しなくなったので、クソ野郎な薬屋にも絡まれなくなった。

ただ青騎士団はもうクソ野郎な薬屋からは買っていないらしい。

どうしているのだろうか?

違う伝手を見つけたのならなによりだけれど。


隠蔽魔法でこっそり入り、先に周辺探索魔法を使うと範囲が広くなった。

…これ、使ったところだけの範囲表示ではなく、蓄積される系のようである。


あれかな、一度取り込んだマップは消えないよ的な。

但し、更新をかけないと最新状態ではないですからねー、という。


土砂崩れなどで地形が変わった場合は再度、周辺探索魔法を使ってね。という推測である。

でも便利だ。




地形なんかはそうそう変わらないだろう。

魔物に襲われて、壊滅して町がなくなるとかはあるかもしれないけれど。


マーキングを付けてみようと、騎士団にこっそり立ち寄った。

上手い事団長がいたので団長をマーキングした。あと二名ほど適当な青騎士団員にもつけてみた。


今日はオレンジ騎士団がいなかったので、後ほど隣町にも行ってみよう。


そういえば最近、動向は静からしい。

あれか、私が納品をしなくなったからだろうか。


元養父と元養母にもできればマークを付けたい。

あいつら怖いから行動を把握したい。





買い物をする前に隣町に移動する。

先にこっちに行けば良かった。

しかしこの町には、できる限り近寄りたくない気がするのだ。


残念ながら二人は見つからなかった。

必要な時にはいないな、あいつら。

会いたくない時にはいるクセに。


オレンジ騎士団員を見つけたのでマーキングしておいた。団長と副団長も顔は覚えていなかったけれど、青騎士団と同じで団服についているマークでわかったので付けておいた。


彼らとは保護された時に顔をあわせたきりだ。

顔など覚えているはずがない。

熱も出ていたので朦朧としていたしな…。


考えてみればこいつらが「子どもを引き取ったら昇格してやる」とか言ったせいで面倒な事になったんじゃなかったか。

要注意マーキングである。



範囲はそんなに変わりないだろうけれど、念のため周辺探索で更新をかけた。

ほんの少しだけ範囲が広がった。



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