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13-04.こちらが招いていない以上、客ではない



元養父は青騎士団員に追い返された。


すみません、もう二度と関わりあいたくないので、そいつを出禁にしてください。


ここは一つ、まったく知らない人だよアピールをしておくべきだろう。


「あの人、誰なんですか」

「あー…あの人、有名だよな」


美人を嫁に貰ったことでも有名らしい。

へぇ。


で、その後、子どもができなくて悩んでいたらしいのだが、オレンジ騎士団で保護した孤児を引き取ったことで出世したそうだ。


というか、子どもを引き取ったら出世って意味がわからんのだが。


だがなるほど。納得した。

だからあいつ、放置だったのか。


そもそも子ども好きで引き取ったわけじゃないと。

まぁ今更どうでもいい話だけど。


しかしその後、嫁が複数相手に浮気をして夫婦喧嘩が耐えなくなったらしい。


その間に引き取った子どもを育児放棄したらしく、子どもがいなくなっている事にしばらく気づかなかったそうだ。


育児放棄については多数目撃証言があるらしい。


おぉ、ちゃんと見てくれている人もいたのか、ありがたい。


引き取り、保護する義務のある子どもが行方不明になったということで、降格したそうだ。

いまは新米の研修期間直後の位に戻されたらしい。

ほー。


大体あっていますね。


でも境目があるのに意外と騎士団同士、情報筒抜けじゃないですか?

ちょっと怖い。


私を引き取ったのも昇格したかったからか…なるほど。


あれですかね、子どもを見つけて再度保護したら降格を取り消してもらえると思っているのかな。

もしそうなら嫌だな。

帰るつもりなどあるわけがない。


「それって、行方不明の子が見つかったら、降格したのが取り消しになったりするんですかね?」


知っているかな、と思って尋ねてみる。


「いや、それはないだろう。引き取ったのに子どもが行方不明って何したんだかな。そもそもあれだろ。まだ五歳ぐらいの子だったんだろ?気の毒だがもう生きてないんじゃないか。もしくは人攫いにあっているだろうな」


おぉ、五歳から更新されていないのか私の情報。

どうなんですかね。

じゃあなんで私を探しているんだあいつ。

まさか「幸運」に気づかれたとか?


一瞬、ゾッとしてしまう。そっちの方が困る。


「ちなみに離婚したらしいが、あいつもあいつで遊んでいたみたいだからな…人は見かけによらないっていうか」


という事は、幸運が効いている間にそれを望んでいたという事だろう。

単なる女好きだったのか、おっさん。


あぁでも、自慢できそうな美人を妻にしているあたり、そもそもそういうタイプだったのだろう。


離婚したのか。

ちなみに奥さんは浮気相手と逃げたそうだ。

へぇーほー。

ヒモ男なんかと逃げ出してどう生活しているのだろう?


幸運は、私が離れても少しの間は余韻が残る。

だから「私」が幸運持ちだと気づかなければ、気づかないままで過ごす人もいる。


ところでそんな話を、外見幼女の私に聞かせる受付の騎士も大概だな。

女の子の結婚に対する夢を潰してどうする。


そもそも持っていないから、いいけどね。




納品を済ませると騒ぎが聞こえてきた。

なんだろうか、と首を傾げる。


受付の人が駆け込んできた青騎士団員に声をかけた。


「どうした」

「っ、魔の森で、襲われて…!」


巨大型の魔物が出たらしい。

慌てて外に出ると、確かに森の方が騒がしかった。


受付の人も、今日が受付当番なだけで、普通に騎士団の人だ。


「俺は行くが、お嬢ちゃん、どうする」

「帰ります」

「わかった。気をつけてな」


最近はお見送りもナシですんなり帰してもらえている。

幼女だけど、大丈夫だと認定されましたかね。

助かります。


分かれるとすぐに隠れて隠蔽魔法を使用する。

変なやつらに絡まれないようにである。


もしかしたら元養父もまだ近くにいるかもしれないから念のためですな。


少しの間、魔の森には近づかないほうが良さ気だろう。


あと、魔の森でいつも使っている道は通らない方がいいかもしれない。

人がたくさんいそうである。


温室が心配だったけれど、何も連絡が入ってこないという事は、温室は関係ないはずである。


(…なんだろう)


町は騒ぎになっている。

魔物が出るという事はそれだけ大事だ。


とりあえず騒ぎに乗じて買い物して帰ろう。

今なら皆、気を取られているから変なのもいないだろう。そんなことを思った。




いつもとは違う道を通った為、少し遅くなったし、色々と服が汚れてしまった。

獣道は幼女には厳しすぎる。

筋力増強剤、万歳。


温室は無事だった。

誰が近寄った形跡もない。


封印しておいたので大丈夫なのはわかっていたけれど、やはり不安になってしまう。


ただ、温室の前で三匹がおりこうさんに座って待っていた。


おぉ…天使がおる。

封印していったので入れなくて困っていたのだな。

ごめんよ。


「ただいま。待たせた?ごめんね」


出入り禁止の封印を解いて、中に入る。


魔の森内で巨大型の魔物が出たらしいので、怖いので入ってから再度、出入り禁止の封印しておく。

魔力が不足しそうなら、後で魔力回復薬を飲めばいいだろう。


三匹に、町で購入したお土産のご飯を出してあげて、食べ終わったら一緒に水浴びをした。


そういやこの子達、妙に汚れている。

きっと森の中を駆けずり回ったのだろう。


浄化すれば取れるけれど、今日は石鹸が手に入ったので一緒に泡立てて洗った。

お風呂が懐かしい。


(浴槽、欲しいなやっぱり)


結構欠如しているはずなのだが、前世の記憶のせいで、浄化でも別にいいのだが、なんとなく水浴びはしたいのだ。

いつかなんとかしたい。


綺麗になってから風魔法で乾かして、地下室に入ると今日は三匹共に一緒に入り込んできた。

ふわふわで石鹸の良い香りがする。


浄化魔法だとこの匂いは無理なので、なんだかとても幸せだ。


「今日はもう朝までここにいるけど良い?」


一応、尋ねておく。

出たければまた催促するだろう。


結局、みんなで朝までまったりと過ごしていた。



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