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13-03.こちらが招いていない以上、客ではない



なんか副団長が怪しい。

近寄ってくんな。

怖い。


あれ以降、クスタさんの後ろに隠れるようにした。

副団長嫌い。

本当にこの人、なにしに魔の森の奥まで来たんだろう。


本日は納品の為、町に行くのに温室を出た時もなんとなく怖くて封印をしてきた。

そして案の定、納品時を狙うようにして温室に来たようなのである。


封印ってちゃんと使えば便利ですね。

封印を使って監禁されていた元・被害者ですけれども。




副団長にはきっと、完全に温室に住んでいると思われている。

面倒くさいことになってしまった。


今日は三匹も一緒に出てきたので、森の途中で分かれてきた。


彼らはどこかに遊びに行くのかもしれない。

そういえば魔物って結局、親はいるのだろうか。

もしかしてあの地響きが彼らの親だったりするのだろうか。


見た目が見た目だけに、普通にいそうな感じである。





最近は、クスタさんと町の入り口で待ち合わせをしなくなった。

一人で大丈夫だからだ。


クソ野郎な薬屋の奴らも、知らない間に現れるので見つけられないらしい。

隠ぺい魔法様々だ。


というわけで、隠蔽魔法を使用して魔の森から出、そのまま町に入り、隠蔽魔法を解除する場所を探し…路地裏でこっそり解除してから青騎士団に向かったのだが。


「ネア!」


突然、くそ懐かしい呼び方をされたのにギクリとしてしまった。


というかなんでコイツがここにいるんだろうか。

オレンジ騎士団員はよほどの何かがないとこちらに来られないはずではないのか。


あれだ。元養父だ。


あれから一年…は経過してないか。

けれども、もはや懐かしい顔と言えばものすごく懐かしい、二度と会いたくない人間だ。


自覚のない幼児虐待男である。

いやあの家にいるのはもう無理だったから逃げ出しただけで。


見れば肩辺りに黒いもやが、めちゃくちゃかかっている。


うわー…。

なんかやらかそうとしてやがるなコイツ。


知らない振りをしてこのまま全力で逃げたい。

納品せずに。


元養父はオレンジ騎士団の制服のまま一人、青騎士団の受付に立っていた。

とりあえず知らない振りである。


「どちらさまですか」

「ネア!」


手を伸ばされて、咄嗟に逃げた。

まだ筋力増強剤が効いているので多少反応が遅くとも無理やり逃げることができる。

するりと逃げたことに驚かれた。


騎士団員という人種は身体能力によほど自信があるらしく、逃げるとよく驚かれます。

自作の筋力増強剤のおかげですけど、なにか。


逃げた私を見て、けれども彼は受付に顔を向ける。


「この子がこの団の薬師ならば、保護者は私だ。契約は認められない」


あ。難癖つけに来たのかこいつ…面倒なことしやがって。しかし、いつどこでバレたんだろうか。

受付の人が応酬してくれている。


「彼女の保護者は別にいる。それに名前が違う」


青騎士団のいつもの受付の人が冷たい目で養父を見ている。


ですよねー。

これではただの勘違い変態野郎である。


しかし戻る気はないし、関わりあいたくないので静観しよう。


「この子はネアだ。間違いない!」


今すぐ帰って欲しい。


本当になぜバレたんだ。

勘弁してほしい。


子どもらしく怯えたように…というかマジ怖いから怯えているんだが…「知っている人か?」と青騎士団の受付の人に尋ねられて、首を横に振る。


「知らない人です」

「ネア、どうしてだ!」


縋られるのを逃げる。

怖ぇ。


だからまだ幼女なんだって。

騎士みたいに体格の良い大人が体当たりで来たら怖いに決まってんだろーが。

考えろよ脳筋め。


ちょっと必死すぎて怖いんだけど…なにかあったんだろうな。

もう関係ないけど。


青騎士団の受付の人がカウンターから出てきてくれて、後ろに庇われる。

さすがに、このまま腕を掴まれて連れて行かれるのはマズいと思ったのだろう。


「彼女はネアなどという名前ではない」

「じゃあなんだ!」

「知らない、という事は、アンタは彼女の知り合いではないという事だろう。お引き取りを」


名前、変えといて良かった。


まあ、こんなことがあるかもしれないと思っていたからこそ、使わなかったんだけど。



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