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12-01.居留守は常套手段です



薬屋のクソ野郎が相変わらず町の入り口にいるので、魔の森を出る前に隠蔽魔法を使ってみることにしてみた。


ちなみにぶっつけ本番ではない。

可愛い三匹に先に披露してみている。


視界からは消えるらしく、驚いて探し回っている姿は可愛かったのだが…残念ながら彼らは鼻が利くので直ぐに気づかれてしまった。においは消えないらしい。


彼らは正確には犬ではないけれど、同じぐらい鼻の利く犬には効かないだろうから、覚えておこう。




今までは筋力増強剤等で強引にまいて来たのだが、最近は手段を選ばなくなり始め、傭兵的な人を使って捕まえようとされたりもしている。


もちろん騎士団員達も手を打ってくれているので、両者睨みあいの時もある。

が、騎士団の方に利があるのは当然なので、町から出て道の途中で待ち伏せていることもあるのである。


これは魔の森の中に入ってくるのも時間の問題かもしれない。


(うーん…)


隠蔽は効いているようで、気づかれていないようである。

どちらにせよ筋力増強剤は、大量の回復薬を運ぶのに必要なので飲んでいる。

今までは駆け抜けていたが、認識されて追いかけられるよりは気分的に楽だった。


迎えに来てくれているクスタさん達だが、最近はずっと駆け抜けているので、もはや迎えの護衛というよりは、薬屋に対する牽制の為に居てもらっている状態になっている。


申し訳ない気持ちになりつつも、今日は走ることなく通り過ぎた。




無事、騎士団に到着した。誰にも気づかれていない。

これはすごく便利で私向きだ。


ところで到着したというのに、こちらも騒がしかった。

何の騒ぎだろうか。


「だから薬屋を通せと言っている!」

「必要はない。そもそも直接契約は、正式な手続きの上で完了している」


言い争っているのは騎士同士だった。

隠蔽魔法のおかげで気づかれていないのでそっと端によって様子を見守ってみた。


ほぼ確実に回復薬の話をしているので、私が出たら厄介な事になることこの上ないのは見えている。


青い騎士団服がここの騎士さんである。

応対しているのは副団長だ。

対し、相手の騎士は見覚えのあるオレンジ色である。


青と言えば赤じゃね?という気分なのだが、なぜ赤ではなくオレンジなのだろうかと素朴な疑問を持ってしまう。

オレンジだけを見ていた時は疑問に思わなかったのだけれど、隣町の騎士団が青だと知ったら、なんだか不思議な気持ちになる。


なのでオレンジ色は隣町の騎士団カラーだ。

私を最初に引き取ってくれた元養父もこの色だった。

そのオレンジ騎士団員が三人、詰め寄っている。


一瞬、ギクリとした。

ここで隠蔽を解かなければ会った事にはならないとわかっているけれど、元養父じゃないよね、と思ったせいだ。

顔を見て違う事を確認し、ホッとする。


「そもそもお前らが薬屋を通さないから、うちにも流れてこないんだろうが!」


薬屋ってあのクソ野郎の話か。


というか隣町の騎士はこの町に入れないのではなかったか。

わざわざ許可を取って文句を言いに来たのだろうか。暇人だな。


「うちの専属契約だ。難癖をつけられても困る」


そもそも、と副団長が不機嫌な声で続けている。


「その薬屋で酷い目にあわされていた薬師を保護して契約している。薬屋を通させるつもりはない」

「はぁ?なんだよそれ!薬屋を通させるのが当然だろうが!」

「回復薬の値段がこちらとそちらとでは違うのだが?」

「そんなのはウチと薬屋での契約の問題だろうが!」

「お前のところが高値で売りつけるように誘導したと聞いている」

「んっ、なわけあるか!証拠もないだろうが!」


あ、したのか。顔に出た。

なるほど、オレンジ騎士団は薬屋と共謀して青騎士団に売る回復薬の値段を操作していたようだ。


その様子だとその分で値引きをさせていたというところだろうか。

やる事がせこくね?


「そちらが薬屋と別契約しているのならば、こちらも別の契約を持っていても問題あるまい」


副団長、めっちゃ怒っている。声が。


この人、そもそも態度が高圧的なのでこういう対応にはうってつけなのだろうけれど、怖い。

私は苦手なタイプである。

その為、彼の肩の光はかなり小さい。さらに鈍い光である。


鈍い光というか、わかりにくいけれど、濁っているわけではない。

なんというか、もやがかかっているように見えるというか。


「貴様らが薬屋を通して納品を邪魔しようとしているのも知っている。一度も成功していないようだが」

「くっ…」

「お前らはお前らで勝手にすればいいだろう。関係のない話だ。うちの専属業者を紹介もしない。帰れ」


素気無く言い放たれ、オレンジ騎士団の人はまだ噛み付いていたけれど、青騎士団の人達に囲まれて追い出されていった。


なるほど、あの薬屋、青騎士団に嫌がらせをしていたのか。


オレンジ騎士団がいなくなったので副団長がため息をつき、引っ込もうとしているので慌てて隠蔽解除をする。



明けましておめでとうございます。

本年もよろしくお願いします。

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