26話 乱入者
本来、客の来訪を告げると同時に歓迎の意を込めて慎ましく奏でられる心地よいはずの音色は、しかし。
ガランガランッ!! とさながら警告のようにけたたましく鳴り。
「――よう、調子はどうだい。ボロ商店街のしけた喫茶店さんよぉ」
そんな中、勢いさ故に開いたままの扉からぬっと姿を見せたのは、巨漢の男であった。
その体躯はといえば、大柄さに見合うように筋骨隆々。上下に纏った黒い衣服の上からでも分かるように力強さが存在を主張している。
目元を隠す黒いサングラスにスキンヘッド、加えて日に焼けたような浅黒い肌という様相はそれだけで大抵の人間に威圧を与えることだろう。
そんなインパクトのある登場、見た目厳つい男の両側に控えるように、一組の男女も続いて店の扉から入って来た。
男よりはまだ薄いが、そちらもそちらでパンチの効いた外見というべきか。装いからしてまともな一般人なら極力関わりを避けようとする類の人間である。
「……いらっしゃいませ。申し訳ありません、お客様。他のお客様もいらっしゃいますのでもう少しお静かにしていただ――」
「ハッ、客。客ねえ……」
だが、そこは店主としての矜持、接客を生業とする者故か。
即座にとはいかなかったものの、物腰柔らかく迎えつつやんわりと注意しようとする店主のゆりであったが。
スキンヘッドの男はそれを鼻で笑いながら、じろりとサングラス越しに店内を見回すように顔を動かし。
「こいつは驚いた! まだこんな所に来る客がいるとはなぁ」
テーブル席に座る辺莉達四人組、そして何事かと席に戻る途中で足を止めている播凰と万音の姿を見つけて声を上げる。
特に張り上げているわけではないようだが、生来或いは声質の問題なのか、その声は店内中によく響き。
・コメント:なんだなんだ
・コメント:トラブル発生か?
・コメント:ヤバそうな人達が出てきたぞ
・コメント:これ大丈夫なんか?
無論、それは配信を介してこの場にいない人間にも伝播していく。
「ハンッ、こんな潰れかけの大して料理も美味くねえ店にわざわざ来るなんざ、とんだ物好きもいたもんだ」
「本当、そうよねえ」
「全くだぜ、兄貴」
しまいには、躊躇も遠慮もなくケラケラと。好き勝手言う三人分の哄笑がリュミリエーラを満たす。
彼らの下品な嗤いは店内に流れる音楽を掻き消すほどで、店の扉が開いたままの今の状態であれば外にも届いていることだろう。
そのいきなりの態度、あまりの言い種に、対応をしに行ったゆりすらもしばし動けないでいた。
が、そんな時である。
「――ふむ、聞き捨てならんな。ここの料理はどれも美味ぞ。特に、チョコレートケーキは最高だ!」
「あン?」
誰よりも――それこそ店主であるゆりよりも早く、動いた人影が一つ。
言うまでもなく、リュミリエーラを絶賛しており、それ故彼らの発言を見咎めた播凰である。
進み出て反論してきた播凰に、スキンヘッドの男は当然のように首を僅かに傾けるが。
「……なんだい、この前いた頭のおかしいガキじゃないか」
「んー? ……あっ、この間の!」
傍らにいた男女が、播凰の顔を見てそれぞれ思い出したように口を開く。
「どうしたテメエら、この坊主と知り合いか?」
「い、いや、兄貴。別に知り合いってわけじゃねえぜ」
「前にちょっかいかけに来た時にいた客で、生意気だったんで軽く脅してやっただけですよ」
振り返って問うスキンヘッドの男に彼らが口々に答えたのを聞いて、播凰もまた思い出した。
初めてリュミリエーラに訪れたその日、注文もせずよく分からない行為をしていった二人組であると。
するとそれを聞いた男は、少しだけ顔を播凰に向け。
「フゥン、まあどうでもいいが。……んで坊主、この店の料理が美味いっつったか。だとしたら、どうしてこんなにも客がいねえんだろうな? 本当に味がいいなら、もっといてもおかしくないだろうよ」
半笑いで、リュミリエーラの現状を指摘する。
開店直後でもなく、かといって閉店間際でもなしに、空席の目立つ店内。
評判がよければ客は入るはずで、しかしそうでないのは料理に原因があると、そう言いたいのだろう。
極論ではある。だが、第三者が見れば――それこそ、電子の声しか上げられないリスナーからしても、男の言に一理あるのではと捉えられる閑散具合なのは、動きようのない事実で。
「うむ、お主は勘違いをしておる」
「へえ?」
それでも、播凰は主張する。
「それはだな――きっと、知られていないだけだ! たくさんの人に知ってもらえれば、絶対に客として来てくれるぞ! なにせ、こんなにも美味しいのだからな!」
美味しいのだから、客は来る。美味しさが知られれば、客は来る。
それはあまりにも、単純で短絡的な思考であった。あまりにも、青臭く無垢な理想論であった。
正しく、机上の空論。根拠のないそれを、しかし自信満々とした笑みを浮かべ。
「……そうかよ、ならそう思っときな」
拍子抜け、というよりは単に呆れたのだろうか。
元より播凰に用事があったはずもないので、男はそれを適当にあしらうと。
「さて、アンタがここの責任者でいいのかい?」
「……は、はい、そうですが」
「なぁに、んな警戒しなくても、今すぐどうこうってわけじゃない。こちとて穏便に済むに越したことはねえからな」
「…………」
「ただコイツらから色々聞いてな。顔の一つも見てやるかと来たわけだが――」
男とゆりとの間で会話が交わされる。
これが単なる客であったのなら、さして問題はなかったのだろう。しかし入店直後の言葉からして、ただの客と言い難いのは明白。
流石のゆりも男の風貌を前にして緊張せずにはいられなかったのか。僅かに強張ったゆりの顔に、男の口元が歪み。
「――年は少しいってるが、中々の別嬪じゃねぇか」
その顔の動きが、ゆりの全身を見るようにゆっくりと移動する。
「女の身一人で無理をするのはいけねえ。ああいや、旦那がいるんだったか? いずれにしても一つ助言をしてやるとするなら――さっさと店を畳んじまった方が賢明だとは思うがな」
「……っ」
サングラスで目元が隠れていようと、分かるものは分かる。
嫌な視線に、言葉に含まれた意味。ぶるり、と微かにゆりが身を震わせた。
「それは困るぞ!!」
「……あぁン!?」
刹那、割って入った声に、視線は移動する。
男の意図を、会話の意味を理解したわけではない。
店を畳む。ただその言葉だけに反応し、播凰が異を唱えたのだ。
「おい坊主、こっちは今、大事な大人の話をしてんだ。人の話に口を出しちゃいけません、ってパパとママに教わらなかったか?」
「うむ、無いな!!」
先程までとは異なり、圧の入った声。若干の苛立ちが混じり始めたそれに、しかし播凰は臆することなく正直に答える。そう、ただ正直に答えた。それだけだ。
が、受けてにとってはそんなの知る由もなく、またとんと関係無い。
「っ、このガキ……っ! チッ、じゃあ今俺がここで教えといてやる。痛い目を見たくなかったらな、黙ってろ、いいな?」
怒鳴り散らしてこそいないが、舌打ち一つに、険の入った物言い。
男の容貌も相俟って大抵の人間ならば、それで押し黙ってしまうかもしれないが、しかし。
「しかし、店が無くなったら私がチョコレートケーキを食べられなくなるではないか!」
そんな脅しめいたものに屈するはずもなく、店内に響くは播凰の渾身の抗議。
店がなくなると困る理由、それは他でもなく自身が料理を、特にチョコレートケーキを食べられなくなるから、それに尽きる。
ゆりのためではなく、そこで働く者のためでもなく、あくまで自分本位。もっとも、あくまで播凰は客の立場なのでそれでもおかしくないといえばないが、その思いが純粋なのか邪なのかはこの際置いておく。
……違う、違うよ播凰にい。
……は、播凰さんらしいっすねぇ。
…………。
……彼は何を言ってるのでしょう?
緊迫した様子に、固唾を呑んで見守っていた面々――辺莉達もこれには脱力。
「……成る程、確かに生意気だ」
一瞬の沈黙の後、スキンヘッドの男が静かに口を開く。
その言葉に、傍らの女の方は肩を竦め、男の方は馬鹿を見るような目を播凰にやった。
「やんちゃなのは嫌いじゃねえが、相手は選ぶべきだな。穏便に済ませるに越したことがないのは事実だが、それは何もしないということにはならねえ。この意味が分かるか?」
「ふむ……つまり、相手になってくれるということか?」
「……ほー、俺を前にして舐めた口利いてくれるじゃねぇか。吐いた言葉は取り消せねえぞ」
ポキポキ、と男が威圧するように指の関節を鳴らす。
・コメント:煽りよる
・コメント:これ本当に大丈夫なの!? ヤバくない!?
・コメント:客将ーー!!
・コメント:ドッキリじゃねーの
・コメント:最悪、警察への連絡の準備だけしといたほうがいいかも
・コメント:だが場所が分かんねえ
物々しい雰囲気に、コメントもざわつく。
ドッキリだと疑うものもあるが、判断に迷っているもの、警察への連絡を準備するもの――しかし場所は伏せているので通報できないが――と、反応は様々。
「そこまで言ったんだ、それなりに痛い目にあってもらうぜ。怪我の重さは……そうだな、多少の手加減はしてやるが、お前次第だな」
「おお、怪我をさせてくれるのか! 怪我などいつぶりだろうな!」
互いに仁王立ち。にやりと嗤うスキンヘッドの男に対し、播凰もまたにやりと笑い、はしゃぐ。
少なくとも、この世界に来てから播凰は怪我らしい怪我をしていない。否、元の世界においても、最後にまともにダメージを受けたのは――。
「このガキが……」
ピキッ、と男の顔に青筋が立った。
馬鹿なガキだ、と傍らの男が播凰を小声で嘲笑う。
一触即発の空気。だが、それを黙って見過ごせなかった者がいる。
「待って、その子に手を――」
「よい、止めるな」
男に気圧されていたものの、播凰に危害が及びかねないとあっては、と制止を呼びかけようとした店主のゆり。しかし、それはいつの間にか彼女に近寄っていた万音によって遮られた。
けれども、そのやりとりは自然と目につき。
「なんだテメエ、証拠に動画でも撮ろうってか?」
「いや、動画ではないな。そして、仮に播凰が怪我しようが余の与り知るところではない。そも吹っ掛けたのはこちらなのだから、安心して痛い目とやらを見せてやるがいい」
「……チッ、まあ例え撮られていようが、後でどうとでもなるがな」
万音は巨躯ではあるものの、ひょろっとした外見とも言える。
故に、ニヤニヤとしながら端末を持っている人物の存在は気になったものの、対処は容易であると判断したのだろう。
まさか、男は思うまい。動画を撮られているどころか――。
・コメント:まあ動画ではない、のか……?
・コメント:どうせ、動画ではない配信だー、フハハハハ、とか言うんだろ
・コメント:いやまあ、うん……
・コメント:人はそれを屁理屈といいます
・コメント:てか、大魔王様が焦ってないってことはそういうことでいいのかな
正に今、リアルタイムで配信されているなど。
当然、男には流れるコメントなど見れているはずもなく。彼は傍らの男女に、おい、と一声だけかけた。
それを受けた彼らの行動は、不思議なものであった。服のポケットから取り出した何かを耳に入れ、更にその上から手で塞いだのだ。
もっともその答えは、すぐに判明する。
「音介――」
男が呟いた、と同時に。その背後に、何かが浮かび上がるように現れる。その形状は六角形で、ぼうっとした輝きを放っており。
それが天能武装であり、彼が口にしたものが天能術の詠唱であると咄嗟に理解し、反応できたのは全員が全員でなく。
「――不協奏騒!」
瞬間、その場にいた者の――播凰の耳を貫いたのは、何とも形容しがたい音であった。
ストレスを与えるような雑音。顔を歪めたくなるような高音。重く深く響くような低音。つんざくような爆音。
その一つをとってして不快だと断言できる音がこれでもかと混じり合い。鼓膜を、脳を揺らしたのである。
「ぬぅっ……!?」
形容しがたいものの、しかし確実に誰もが口を揃えて酷いと表現するであろう、音。
それをまともに聞いてしまった播凰は僅かによろめき、思わず耳を押さえるも。それは大して意味をなさず、変わらず音は行動を阻害し彼をその場から動けさせずにいた。
「ここまでやるつもりはなかったが……あそこまで虚仮にしたんだ。その馬鹿さ、無様に吹っ飛びながら後悔しやがれ。――この俺の、音速の拳でなぁっ!!」
そんな播凰の姿を、男は嗤い。その鍛えられた右腕を引き絞る。
「――音溜・性質継承」
「……っ、性質継承っ!」
男の行使した術に、驚きと警戒を込めて反応したのは麗火。
その対面で耳に指を突っ込んで蹲る毅と違って、顔こそ顰めているものの彼女はまともに状況を把握できる程度には意識がしっかりしており。
「オラァアアッッ!!」
しかし、未だ両手で耳を塞いで動けずにいる播凰目掛け、拳が振るわれる。
その速度は、目に見えぬ程に早く。男の言ったように、正に音速。
動きを捉えるどころか、そもそも顔すら向けることができていない播凰へと。それは、あっという間に迫り――。
二つの人影が接触する、と同時に。
一方が旋風を撒き散らし、吹き飛んでいった。焦りすら、痛みすら。そも、声すらなく。
場に残るは、もう一方。こちらも声はなく、しかし確りと二本の足でそこに立っている。
そんな、光景を。
「は?」
「…………」
ポカンと口を開いた男。目を見開いて言葉を失くしたように女が。
「……え?」
「おおっ、さっすがー! やっぱりアタシの目は間違ってなかったねっ!」
「……フン」
麗火は困惑したように、辺莉は目を輝かせ、慎次は無表情に鼻を鳴らし。
「フハハハハッ! よもや、ああも綺麗に吹っ飛び、自ら店を出て行くとは……クククッ、よい、その滑稽さに免じて、余にくだらぬ音を聞かせたことは許してやろう!」
万音――大魔王ディルニーンが、腹を抱えて大爆笑しながら、それぞれ見ていた。
「……むぅ」
残っていた方の人影。
それは拳を振るわれた側――つまり本来であれば吹き飛んでいた側であるはず――の播凰であった。
店中の視線を集める彼は、行動を妨げていた不快な音からようやく立ち直ると、きょろきょろと周囲を見回す。
「うう……な、何が起きたっすか?」
殆ど同じタイミングで、辺莉達四人の中で唯一行動不能となっていた毅も、苦悶の声と共に頭を上げる。
「二人共、大丈夫ですか?」
店主のゆり、そしてアルバイトの女性店員は床へと座り込んでおり、彼女達の側に寄り添ってジュクーシャが介抱をしていた。
「――あ、ありえねえ……お前、一体何しやがったっ!?」
ようやく我に返ったのか、呆然としていた男が唾を飛ばす勢いで播凰に怒鳴る。
それが自らに向けて問われているのだと理解するのに、数秒。
しかし不快な音に行動を阻害されていた播凰には、何が何だか分からない。
――いや、一つだけ。
「何をも何も……まあ強いて言うなら、その場で踏ん張っただけだが」
そう、踏ん張った。ただそれだけ。
気配が近づいてきたのは咄嗟に把握できた。だから咄嗟に、本能的に踏ん張ったのだ。何が起きているのか、何が起ころうとしているのかが分からなかったから。
「この、ふざけっ――」
「やめな。それより、兄貴が心配だ」
「っ、そうだ、兄貴っ!」
ふざけているとしか思えない返答に、男は激昂するものの。女に窘められ、二人揃って踵を返し店の外へと走っていく。
彼らは動きを目で追えたわけではない。が、あの瞬間、すぐ側を突風が過ぎ去っていったのは分かっていた。
故に、スキンヘッドの男――男女が兄貴と慕う男がどこにいるかも理解していた。
そう、店内から姿を消したスキンヘッドの男は、店の外へと吹っ飛んでいたのだ。丁度、自身が勢いよく蹴り開け、そのせいで開きっぱなしとなっていた入り口を綺麗に通り過ぎ。店に一切の被害を出さず。
リュミリエーラから少し先の道の上でスキンヘッドの男は大の字となって倒れており。慌ててそれに近づいた男女が声をかえたり体を揺するが、反応はなく。
最終的に何とか、ピクリともしないスキンヘッドの男を二人がかりで引き摺りながら立ち去っていく様子が店内から見えた。
・コメント:まだ頭がガンガンする……
・コメント:今まで聞いた中で一番酷い音だった
・コメント:なんか気持ち悪くなってきた
・コメント:一瞬意識飛んでたわ
・コメント:てか、どうなったん
・コメント:何が起きた
「――フハハハハッ、配信の最後を飾るに相応しいとは言い難いが、実によい茶番であったな! さて、此度の会合はこれにて終了である」
あの凄まじい音は、店内以外でもその猛威を振るっていたようで。
数秒前までピタリとその勢いを失くしていたコメントが、ここにきて再び流れ始める。
しかしそれを全く意に介さず。
「今回訪れた場所は、今夜にでも情報を発信する故――気が乗ったら、足を向けるがよい。ではなっ!」
万音――大魔王ディルニーンによって終わりが宣言され、彼らの疑問は解消されることなく配信は一方的に終わるのであった。
――――――――
その部屋の中では、ただPCの無機質な光だけが、闇にあって存在を主張していた。
「――うふ、うふふふっ」
すっかり窓の外も暗くなり、しかしまともな灯りも点けられないまま。
カチカチというクリック音が響き、唯一の光源たるPCの画面に流れているのは、とある動画。
『――うむ、その戦意に応じ、次の一撃を以て幕引きとする。制約のため技は使えぬが、今の私の本気の一撃だ』
聞こえてくる音声は、VTuber大魔王ディルニーンの配信に登場した客将――もとい、三狭間播凰のもの。もっとも、加工された音声ではあるが。
映っているのは、黒きドラゴンとの戦い、その最後の一幕。
「うふふっ」
それを除けば。聞こえるのは、若い少女の声。
正確には、笑い声。それも、ただの笑い声ではない。
一頻り映像が進み、その最後にまで辿り着くと。
すーっ、と物音一つ立てずにマウスは動き。
『――うむ、その戦意に応じ、次の一撃を以て幕引きとする。制約のため技は使えぬが、今の私の本気の一撃だ』
その操作によって、先程と同じ場面が再度流される。
繰り返される映像、その音声を前にして。
「うふふふふっ」
ただただ、少女は笑う。
瑞々しく、しかしどこかそれに似合わぬ妖艶さを含んでおり。
と、今度は動画を流しながら、新たな画面がPC上に表示された。
【大魔王ディルニーンについて語るスレ】
783:名無しの大大大魔王軍配下
今回の配信も結構よかった
色々とびびったけど
784:名無しの大大大魔王軍配下
それな
ただ、いきなり新キャラ出てきてちょっと不安
ちょい配信事故? っぽい場面あったし
785:名無しの大大大魔王軍配下
まあそれは今後に期待ってことで
声はよかったし、大魔王様との掛け合いもよかった
何より俺はくっ殺スキー
786:名無しの大大大魔王軍配下
ぶっちゃけ、VTuber? って気はするが
いや、大魔王本人は姿見せてないんだけども
787:名無しの大大大魔王軍配下
まあそこはほら、うん……
788:名無しの大大大魔王軍配下
取り敢えず、ジャンナがコメント欄に降臨したのはマジで驚いたな
なんか前に客将について触れてたし、ワンチャンコラボ来るか?
789:名無しの大大大魔王軍配下
いやー、どうだろう
あちらさんは企業勢だから、そこらへん難しいんじゃないかな
790:名無しの大大大魔王軍配下
俺的にはああいうレビュー系好きだから今後もやってくれると嬉しい
近ければあの喫茶店とか行ってみようと思ったけど、ちょっと遠くて無理ぽ
791:名無しの大大大魔王軍配下
喫茶店ていえば、あの商店街があるとこ、東方第一に結構近いんだよな。。
マジで客将、あそこの学生説あるんじゃね?
チロ、とまるで極上の獲物を前に舌なめずりをするように。
マウスカーソルが動き、今度は別の動画が再生されていく。
『――この俺の、音速の拳でなぁっ!!』
それは、大魔王ディルニーンの商店街レビューの一幕。
音の性質の天能術を扱う相手に、逆に吹っ飛ばす客将の姿。その瞬間は大魔王の手によってちゃんと配信され、動画に残っていたのだ。
「――これ程の強さですもの。きっと東方第一の武戦科代表選手として、四方校天奉祭に出てくるに違いありませんわぁ」
ほぅ、と。熱っぽい吐息を漏らし。
少女は――女は、悩まし気に自身の身体を掻き抱く。
「素敵に、激しく肉体をぶつけ合いましょう……ねえ、私の王様? うふふ、うふふふふ――」
その、いっそ狂気的ともいえる笑いを聞く者は、他にいない。




