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優しさの消しゴム
嫌な人に優しくする度に
心が削られていく気がする
自分を犠牲にして誰かに親切にする
のは当然だと思ってたから
見返りを求めるわけではないけど
嫌な人は優しくした後に
心が満たされることはない
温かい気持ちにはならずに
一方的に神経がすり減っていく
自分に優しくする人がいなければ
分け与えるだけになってしまう
厚意だからと言い聞かせていても
思いやりの貯蔵はなくなり続ける
まるで消しゴムみたいに
汚れをこすって消して
ボロボロになっていく
残った黒いカスだけが
今の本当の姿
気が付けば汚れているのは
こちらの心かもしれない
どうしてあんなやつらのために
何かしてあげなくちゃならない?
もういやだ
やりたくない
損をするのはこっちだ
お前が一度でも
何かしてくれたことがあったか
それでも反射的に親切をしてしまう
黒い黒い心で
自分をころして残りカスになっても
それで世界が愛に満たされる
ことは一切なくても
胸が苦しい窮屈なにち
む
人に優しくするのと
性格が良いのは
違う気がする