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八話 鉱山での死闘

「ねぇアレス本当に私の光魔法で倒せるかしら」


俺がメリアと一緒に依頼の鉱山に向かっている時にメリアが不安そうな声音で聞いてきた。


「どうしたんだよ、まさかメリア様ともあろうお方が緊張か?」


アレスは緊張を解すためにわざと少しおどけて言った。


「だ、だって私の魔法が要じゃない緊張ぐらいするもん」


メリアはアレスの気遣いを察して、頬を膨らませた。


「大丈夫だ俺はメリアを信じてる、だからメリアはそんな俺を信じれば良いんだよ」

「そ、そうなのねアレスが信じてくれるなら出来る気がするわ」

「ああ、いつもの調子で頼むぞ」

「ええ、任せなさい」


そう言ったメリアの表情にはもう不安はなかった。


しばらく歩くと鉱山の入口が見えてきた。


「依頼を受けてきた冒険者だ」


俺は門番にギルドカードを見せた。


「あんた達が今日来ると聞いていた冒険者か…よし通ってよし魔物全部倒してくれよな」

「任せなさい、私とアレスがキッチリ殲滅するわよ」


そう言ったメリアの目はメラメラと燃えているように見えた。


「メリアどの穴から一番魔力を感じる?」


この鉱山には沢山の穴がある為、まずは魔物がいる穴を見つける必要があった。


「んー、あの穴が一番濃いわね」

「よし、じゃあまずそこに行ってみるか」

「賛成よ」


俺達はメリアが指した穴に向かった。


「確かに威圧感を感じるな」


アレスは魔力こそ見ることが出来ないがこの穴に沢山の魔物がいることは分かった。


「アレス来るわよ!」

「おう!」


穴の奥から沢山の足音が聞こえる。


「アレスここは私に任せなさい」


メリアが前を出て言った。


「魔法を使うのか?」

「そうよ」


メリアはアレスの問いに力強く頷き、周りに光球を六つ出した。


「"光よ、今こそ集い、敵を薙ぎ払え!、光線(フォトン・レイ)”」


メリアの周りに浮遊していた六つの光球から光の線が出た。


「「グギャ!?」」


メリアが放った光線は鉱山から出てきた魔物を殲滅した。


「メ、メリア、今の本気か?」


俺は恐る恐る聞いてみた。


「んー、鉱山を破壊するわけにはいかないから三分の一くらいね」


(前に城壁を破壊することになるってそういう事か)


メリアのいつぞやの発言に納得した。


「やっぱりメリアの魔法は凄いな、魔力操作が巧みだし」

「私なんて凄くないよ光魔法しか使えないし」


メリアは振り向いて悲しそうな悔しそうな声音で言った。


「いや、メリアの使っている光魔法は規格外だと思うぞ」

「え、そうなの?」

「まぁ俺も光魔法使いをメリアしか見たことないけど、メリアは最大幾つの光球を操作できるんだ?」

「えーと、このくらいかな」


メリアは頭上に千を超える光球を出した。


(いや、多過ぎるだろ!?)


「こんなに光球を操れるメリアはめちゃくちゃ凄いと思うぞ?、自覚が無いのか?」


魔力というのはいくら沢山持っていても操れなければ意味はないそれに確かに魔力操作というのは魔力を操れば操るほど上達するが俺と同い年で千を超える光球を自在に操作出来るメリアは規格外だ。


「そ、そんなこと言われたことなかったわ」


メリアは突然涙を流した。


「え、え、俺なんか変なこと言ったか?」


突然泣き出したメリアを前にしてアレスは慌てふためいた。


「違うわ、そんなこと言ってくれた人アレスが初めてだったからよ」


メリアは涙を拭いながら言った。


「そうか、メリアの初めてになれて嬉しいよ」


ドクンッ


メリアは自分の胸が高鳴ったのを感じた。


「ま、まだバジリスクが居るわ、い、行きましょう」


(何なのこれはアレスを見ると胸が暖かくなるこの気持ちは何なのよ!?)


メリアは初めての感情に戸惑った。


「ああ、そうだな気を引き締めて行くぞ」


アレスも同意して、二人は穴の中に入った。


何故か先程からメリアが目を合わせてくれないけど、


「アレス、何か来るわよ」


メリアが魔力を感じたようだ。


地響きとと共に()の体色をしたトカゲの魔物(バジリスク)が出てきた。


(何!?、バジリスクの体色は緑のはずだぞ!?)


赤いバジリスクは口を開けた。


「アレス!、下がって!」


メリアが叫んだ。


赤いバジリスクは口を開くと炎の吐息(ブレス)を吐いた。



アレスはメリアの警告に従って咄嗟にメリアの後ろに隠れた。


「"我らを守れ、聖盾(ホーリーシールド)!”」


メリアの周りを浮遊していた光球が六枚の盾に変わった。


「く、コイツ、バジリスクじゃないわ!?フレアドレイクよ!」

「なんだそれは!?」

「アレスに貰った本に書いてあったの!、強靭な外皮と鋭い牙を持ち吐息(ブレス)と炎魔法を使う特級危険種よ!」


(なんでそんな魔物が!?)


パリン!、パリン!、


メリアが張った六枚の盾の内二枚が割れた。


「メリア!、その盾もつのか!」

「咄嗟のことでイメージが足りなくてキツイかも」


メリアは苦しそうに端正な顔を歪めて言った。


パリン!、パリン!、


更に二枚の盾が立て続けに割れた。


「く、くぅ」


(考えろアレス=バハムートお前に出来ることはなんだ!?()()を使うか?だが…)


アレスはメリアを見た。


「アレスぅ!」


パリン!、


(迷ってる暇はない!)


メリアの苦しそうな表情を見てアレスは覚悟を決めた。


「《龍闘気開放》!!」


パリン!、


アレスが鍵言を言い放った瞬間、メリアの光の盾が全て消えた。


メリアは咄嗟に目を瞑った、だが想像していた火炎はやってこなかった。


「え…」

「この力他人に頼るみたいであまり使いたくなかったけど…」


メリアが目を開くと二本の刀を抜いたアレスが目の前に立っていただが全身から目に見えるほどの(くれない)覇気(オーラ)を出していた。


「メリアを守るためなら全力で行くぞ!フレアドレイク!」


「ガァァァァァァ!!!」


フレアドレイクは再び炎の吐息を放った。


「アレス!、危ない!?」

「"双魔刀技 烈風”!」


アレスが二本の刀から放った風が盾の様になり吐息(ブレス)を防いだ。


「メリア!吐息(ブレス)が邪魔だ相殺してくれ!」

「!?、分かった任せて!」


(アレスの様子からしてあの状態は長くは持たないのね)


メリアは切羽詰まった表情のアレスの様子から察してそう思考した。


幸いさっきまで狭かった穴の中はフレアドレイクの攻撃で広がっていた為メリアは百個の光球を出し銀光剣を召喚した。


「"今こそ・我が光よ・我が銀光よ・集え・我が敵を滅さんが為に!”」


メリアの周りの光球が銀に光った、


銀滅光線(シルバリーレーザー)!!」


銀光球から放たれた光線が吐息(ブレス)を吹き飛ばしフレアドレイクの鼻先に当たった。


「ありがとうメリア!」


アレスは龍星(オロチ)を地面に突き刺し、雷を(ほとばし)り風を纏いながら地面を蹴り駆けた。


「コレが今の俺の全部だ!、受け取れ!」


アレスは全ての力を月夜に込めた。


漆黒の刀身だった月夜が紅く発光した。


「"全刀一閃”!」


アレスの全てを込めた刀がフレアドレイクの首を叩き斬った。


「フゥ、フゥ」


荒い息を吐くアレスから出ていた覇気(オーラ)が突然霧散した。


「あっ」


疲労が限界に達したアレスは後ろに倒れそうになった。


「危ない!?」


倒れる前に後ろからメリアに抱きとめられた。


「大丈夫?、アレス」

「いや、魔力も闘気も全部使ったから寝ちゃいそうだよ」

「眠っていいよ、アレスは頑張ったもん」

「そうか、じゃお言葉に甘えて…」

「お疲れ様、アレス」


メリアの声が遠く聞こえたような気がした。



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