六話 ギルドでの出来事
俺達は巨大イビルトレントを倒した森からノイスに向かって歩いていた。
俺はふと気になったことを聞いた。
「メリアのあの銀の剣は魔法なのか?」
戦っている時にメリアの銀髪と合わさってとても美しかったのを覚えている。
「ああ、飛光剣のことね、あれは剣の力よ」
「剣の力?、ということはメリアの剣は魔剣なのか?」
「そうよ、銀光剣クレセントと言うのよ」
やっぱり魔剣だったのか、
「剣がいきなり現れるのもその剣の力か」
「そうなのこの剣は私だけが使えるものなのよ」
「随分と不思議な魔剣だな」
「まぁ確かに家でも私だけが使えたから」
家と言った時にメリアの表情が暗くなった気がしたがすぐ霧散した。
俺達がノイスに入ってギルドに向かう頃には日は傾いていた。
「何だと!、トレントの森に新人が向かっただと!」
ギルド内でそんな怒声が聞こえた。
「で、ですがあれは銀級依頼でしたよ」
「だかあの森は森全体が魔物でいくら登録初日で銀級でも無理だ」
「そうだったんですか!」
「何かしらね?」
メリアが聞いてきた。
「さぁな?」
俺達はとりあえず受付に向かった。
「ア、アレスさんにメリアさん!」
受付嬢が目を見張りながら言った。
「何?、お前たちがあの依頼受けてトレントの森に行った奴らか、撤退してきたのかこれはギルドの不手際で依頼失敗にカウントしないから安心しろ」
おっさんが一気にまくし立てた。
「何言ってるんだおっさん依頼完了だぞ」
素材置き場に依頼分のイビルトレントの死骸を出した。
「な、な、なんだと!?確かにこれはイビルトレントだが数はこんなもんじゃなかったはずだが…」
「ああ、全部出したいのらやまやまなんだがここには出せないぞ」
ここは所詮受付の素材置き場だ限界がある。
「何!?まだあるのか!」
「そりゃ全部倒したもんな」
俺はメリアに聞いた。
「確かにあの数は凄かったけど私とアレスで全部倒したわよ」
メリアは胸を張って言ったそれと一緒に月の光のような銀髪が揺れた。
(可愛いな)
そんなことを思考しつつ、
「ーーーーー」
おっさんは絶句していた。
「と、とりあえず倉庫で出して頂けますか」
少し声が震えていたが受付嬢がそう言って来た。
俺はギルド倉庫に巨大イビルトレントを含めた死骸を全部出した。
「こ、こりゃ特級危険種のギガントイビルトレントじゃねぇか!」
復帰したおっさんがそう大声で叫んだ。
「こいつは外皮が固くそう簡単に刃が通らないから魔法しか効かない魔物のはずなんだが…」
「き、斬られていますね」
おっさんと受付嬢がそう会話していた。
「おい、依頼は達成したんだから帰りたいんだが、」
「このイビルトレント達の素材をギルドで買い取らせてくれ相応の代金は支払う」
おっさんがそう言ってきた。
「元々そのつもりだったから構わないぞ、いいよな?」
俺は一応メリアに確認した。
「アレスが良いならいいわよ」
そう返してきた。
「査定には時間がかかるのでまた明日の昼前に来ていただけませんか?」
「分かった」
そう会話しギルドを出ていった、その頃には外は真っ暗になっていた。
「いや初日からえらいことになったな」
「ふふ、確かにあの数は大変だったわね」
そういえばメリアと一緒に戦うのは楽しかったな、
そんなことを考えていると、
「ね、ねぇアレス!」
メリアが少し緊張した声音で話しかけてきた。
「なんだ?」
「私と一緒にパーティーを組んでくれないかしら」
俺はその言葉に目を見開いた。
「そ、その今日一日アレスと一緒に戦うのがとても楽しかったのだから、その…」
メリアは少し言葉を溜めると、
「これからもアレスと一緒に居たいのよ」
メリアは頬を染め恥ずかしそうに言った。
(メリアも同じことを思っていたのか)
俺はそのことに少し嬉しくなった。
「俺もメリアと一緒に戦って楽しかったメリアが言わなかったら俺から言うつもりだった」
「そ、それって」
「こっちこそよろしくなメリア」
「うん、よろしくアレス」
俺とメリアは握手を交わして笑い合うのだった。
ここに後の世に数多の伝説を紡ぎ人々に尊敬された伝説のパーティー《雷光》が誕生した。