第3章
突然携帯電話から、優真とは違う軽快な音楽が鳴り、着信を知らせる。
この着信音は美鈴のものだった。
一瞬、優真から力が抜けたのを感じると、その下から何とか抜け出した。
携帯電話を掴むと、私は受話ボタンを押し電話を耳に当てる。
「あ。理子姉?」
「…美鈴。どうしたの?」
「んー、なんとなく?どうしてるかな?って、思って…理子姉。なんか、息荒いけど、大丈夫?」
「へ、部屋の片付けしてたから…それでよ。きっと」
「そっか。実はさ………」
美鈴が、学校であった出来事を話しているが、頭にちゃんと入ってこない。
美鈴への、罪悪感からだろうか。
「…理子姉。聞いてる?」
「き、聞いてるよ」
そう美鈴に答えた時だった。背後から、抱き締められる。
「ゆっ!」
思わず名前を呼びそうになって、口を手で塞ぐ。
「理子姉?」
「…理子」
二人が、私を呼ぶ。
私は、完全にパニックになっていた。
何かを察したのだろう。美鈴が、突然…
「っ…今から、行くからっ!」
ツーツー
電話が切れる。
「ゆ、ゆうくん!今日は、帰って!美鈴が、来ちゃう」
「美鈴にも、話す。俺の気持ち」
そんなことしたら、私たちの関係は崩れる。ゆうくんも、みーちゃんも、私にとっては大切な幼馴染みなのに…。
みーちゃんは、私の大学の近くの高校に入学した為、私の家の近くで一人で暮らしていた。
だから、ここまで歩いてても30分とかからないだろう。
どうしたら、いい。どうすれば…。
ぐるぐると、私はゆうくんの腕の中で長考していると、ピンポンピンポンピンポン!と、何度もチャイムが鳴った。