第1章
大学の授業が終わり、買い物してから帰ろうとした矢先。
~♪
鞄の中から軽快な音楽が鳴り、着信を知らせる。
鞄から携帯電話を急いで取り出して画面を見れば、幼馴染みで、好意を寄せる相手からだった。
胸を弾ませながら、少し悪戯な口調で電話に出る。
「もしもし。ゆうくん」
『理子。ゆうくんは止せって、言っただろう』
電話越しでも苦笑いしてるのが伝わってくる。
「ふふ。ごめんなさい。でも、突然どうしたの ?優真』
『ん?ああ。…今から会えないかな。ってさ』
「今から?優真にしては、珍しく突然ね。いい わよ。学校も終わったところだし…美鈴には、 連絡した?」
美鈴とは、もう一人の幼馴染み。私たちより二 つ年下の女の子だ。
その子も、優真を幼い頃から好きで、よく二人 で喧嘩したなぁ。
…喧嘩した思い出ばかりじゃないわよ?…多分。
『…悪い。美鈴抜きで話したいことなんだ…今 から、部屋に行ってもいいか?』
「…?わかったわ。いいわよ。待ってる」
『悪い。それじゃあ…』
ツーツー 電話が切れた。急いで帰って、片付けないといけない…。
私は携帯電話を鞄にしまい、買い物は止めにして、衣服で散乱する部屋を片付ける為に足早に家路に就いた。