和歌山対山形マッチレポート
〜剛よく柔を捩じ伏せる〜(浜田友美)
開口一番「因果応報。チャンスをものにできなさすぎた」と敗軍の将、奥田監督は肩を落とした。試合自体は山形のゲームプラン通り進み、混戦から押し込んだ先制点は理想的な展開だった。だが、その後は流れの中で再三作ったチャンスを決めきれずにいると、前半終了直前に追いつかれてしまう。「リードしたままなら、逃げ切れる策もあった(奥田監督)」だけに悔やまれた。
逆に和歌山は同点に追いついたことで「気持ちを切り替えられて、いい意味で余裕ができた(GK天野)」。今季初めて組んだ最終ラインのメンバーは、後半に高い集中力を見せ、依然山形ペースのなか決定機を作らせない。踏ん張るチームに今石監督が、桐嶋、朴の投入という援護射撃で攻撃の圧力をかけ、桐嶋の独走ドリブルは実らなかったが、朴のロングキックが竹内の逆転ゴールを生んだ。山形は終盤DF高橋を前線に上げるパワープレーで同点を狙ったが最後のシュートがクロスバーを叩くなどツキもなく、力技で粘る山形を振りほどいた和歌山に、雨中の凱歌を上げた。
採点・寸評
和歌山
1 天野大輔 6
失点はノーチャンス。冷静な判断で以後を耐え抜いた
2 猪口太一 6
よく体を張り、よく走り切る。反撃の機転にもなる
6 川久保隆平 6
久々のスタメンで意地見せる。制空権を守り切った
28 藤川克己 5・5
林の対応に後手を踏んだが、要所を締めトータルは及第点
13 村主文博 5
失点場面は佐々木へのマークが甘かった
17 チョン・スンファン 5・5
チームのバランスを取るのに腐心し瓦解させず
8 栗栖将人 6
悪天候の中、好パスを供給。攻撃のリズムを作った
16 竹内俊也 6・5
オフサイドにめげず7戦ぶりゴールで勝利導く
22 西谷敦志 5
ハットトリックの勢いは持ち込めず、一人蚊帳の外
9 剣崎龍一 6・5 MOM
高いシュート意識でチームを鼓舞。お立ち台では得点王宣言
18 鶴岡智之 6
同点弾をはじめ、ポストプレーが効いていた
7 桐嶋和也 6
ジョーカーとしての役割をまっとう。山形の脅威となった
26 朴康信 6・5
乾坤一擲のロングキックでチームを勝利に導いた
4 江川樹 −
時間短く、評価なし
C 今石博明 6
同点に追いついた流れを生かし、効果的な交代策で勝利を得る
山形
1 佐藤浩一 5
数少ない被決定機を決められたが、思い切りもなかった
2 鈴木正之 5
朴のロングキック、竹内の突破に完全に後手を踏んだ
3 高橋修吾 6
最もゴールを予感させたが実らず。守備は安定
5 渡辺健吾 5・5
鶴岡をマークしたが封じ切れず痛み分け
14 山口哲夫 6
中盤の主導権を死守。山形の攻撃のリズムを生んだ
7 山本一久 5・5
大きなミスなく舵取りをまっとうも、意外性が欲しかった
19 林博之 5・5
藤川との攻防は、優位に立ったが決め手に欠いた
10 加藤由紀也 5・5
多彩なパスを供給したが、消えた時間も少なくない
13 佐々木誠 6
よく詰めて先制点ゲット。何度もゴール前に顔を出す
8 中村健一 5
セットプレーで「らしさ」を見せたが、言いかえればそれだけ
9 小林進二 4・5
3度の絶好機を全て外し味方の流れを経った。交代は当然か
11 吉田琢磨 6
途中出場で最多のシュート4本。味方をプレーで鼓舞した
20 清水直樹 −
時間短く、評価なし
15 松本潤哉 −
時間短く、評価なし
C 奥田亮佑 5・5
プラン通りに展開したが、交代が後手に回り勝ち点取れず
コメント
和歌山
今石博明監督
「今日の勝因は前半で追いつけたことに尽きる。よくチャンスを作りよく決めた。山形は試合巧者で逃げ方を知っているので、余計に大きかった」
−最終ラインのメンバーについては
「今日の出来はいわゆる“良”。特に藤川は試合勘もあるんやろけど、要所を抑えるんで手一杯にも見えた。カバーリンクのうまさや読みの早さはあるから、もっと堂々としてもよかった」
−前節のように竹内を右サイドバックに使う案はなかったか
「考えた。ただ今日の試合はビルドアップするより、前線の圧力を高めたほうが効果的だと判断したから、攻守のバランスでああなった」
−残り試合の戦い方は
「順位や勝ち点云々で変えるつもりはない。今まで通りにやるだけ。結果はあとからついてくるもんだから」
山形
奥田亮佑監督
「因果応報だね。あれだけチャンスをフイにしていたし、点の取られ方も悪かった。悔いの残る試合。山本、山口の両ボランチがバランスをとって主導権を握れていただけに、勝たないといけない試合だった」
−逃した決定機をどれか一つ決めていれば勝てたか
「たらればは好きじゃないが、前半で試合を決めることができていたと思う。そうでなければ因果応報なんて言葉が出てこない」
−今日の敗戦は今後に影響するか
「取りこぼしてはならないという警鐘にはなる」




