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試合後の監督談話

今回は両チームの監督談話と、少し趣向を変えました。かなり適当です。

 試合終了後の会見場。千葉の木田監督は席につくと、ため息混じりに呟いた。

「和歌山のサッカーは厄介なものになりつつある。今日はそう実感しましたね」





 後半、和歌山は左サイドバックを桐嶋に代えて村主を投入し、千葉の攻め所を消した。守備が安定したことで、和歌山は中盤の攻防も主導権を取り戻しつつあった。

 そして木田監督が唸ったのは、後半15分の得点シーンだった。西谷が中央に切れ込むことで出来た、左サイドのスペースに剣崎が走り込み、逆サイドの竹内がこの日唯一と言うべき高精度のクロスを供給。それを剣崎は左足のダイレクトボレーで叩きこんだ。


「私が見るかぎり、竹内がクロスをゴール前に上げられたのはあれだけだったと思う。その唯一のチャンスをファーストシュートで仕留めるなんて、剣崎にはただただ恐れ入りました」


 剣崎はさらに後半33分、栗栖のキラーパスにただ一人反応し、DF山内を背負いながらボールを受けると、強引に体を反転させて右足を振り抜き、試合を決定づけた。



「今日彼(剣崎)は3本ぐらいしかシュート打ってませんけど2点取った。これは今石監督にとって一番の収穫じゃないでしょうか。今の和歌山は新しい戦術を模索しているところですが、ストライカーがどんなときでも点を取れれば間違いなく勝ち点はとれます。サッカーの内容は私たちが圧倒してましたけど、勝ったのはより多く点を取った和歌山ですからね」

 ここでJペーパーの記者、浜田か質問した。

「今日、千葉の選手たちは、特にサイドハーフ封じに奮闘していましたが、そこで主導権を取れたのは狙い通りだったのでしょうか」

 これに対して木田監督は、言葉を濁すことなく答えた。

「前回の対戦を含め、今シーズンここまで和歌山が得点できた試合のうち、サイドが基点になっているゴールを見ていると、サイドバックの選手がアシストするシーンは少なく、特にここ最近は竹内と西谷がよく効いていた。だからまずはここを抑えるのが肝要と判断し、指示しました」


 浜田はさらに攻撃についても質問した。

「攻撃については、右サイドを中心として攻めているのが印象的でした。これは桐嶋選手の特徴を意識したものですか」

 この質問には、木田監督はこう返した。

「和歌山の左サイドバックは、まだ併用しているような印象があり、それぞれ攻撃あるいは守備に特化している。今日のように中盤を膠着させれば、桐嶋選手が攻めるたびにスペースができることはスカウティング通りでした。彼がいた前半で点を取りたかったのですが…」

 苦笑いを浮かべる木田監督に、浜田が「取れていれば勝てたか」と聞くと「勝てたとは断言出来ませんが、有利になったのは間違いない。キーパー様々ですね」と答えた。





 しばらくして、今石監督が会見場に現れた。今石監督は、浜田から木田監督の言葉を聞くと、少しニヤリとしながらも「褒め殺そうったって、そうはいかねえよ」と突っぱね、苦笑いを浮かべた。

「今日やってて手応えはほとんどなく、十中八九千葉の思い通りの展開だった。だから木田監督の言うように、友成様々、剣崎様々。この二言に尽きるわ」と少し嘆き節にも聞こえた。

 ただ今石監督は、弱点扱いされた桐嶋の起用方について浜田に聞かれると、「その辺は全然気にしてない。だってFWだった人間使ってるわけだし。今日もできることなら代えたかなかったんだけど、千葉のリズムは桐嶋の後ろで出来てたからな。まああいつは必死になってやってるし、これも糧にしてくれるはず」と選手の奮起を促した。

 そして最後にこう呟いた。

「内村って本当にレッドカード好きだよなあ」





試合記録


和歌山2−0千葉

得点:剣崎(60、78)

退場:内村(93)

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