「追い越すまではここにいる」〜天野大輔インタビュー〜
番外編です。小説の中に出てくる「Jペーパー」に掲載された特集です。
今回は第2GK特集。J2からはアガーラ和歌山のルーキー、天野大輔をピックアップ。ユースでは友成哲也とともにツープラトン体制で快進撃に貢献。類い稀なる体格と冷静な視野の広さ。GKとして高いポテンシャルを持ち、高校卒業後にはJ1の強豪からもオファーがあったが、あえて和歌山のトップチームで友成と切磋琢磨を続けることを決めた。
「あいつを超えない限り、ここを出ていくつもりはない」
今季リーグ戦の出場は今だない(4月8日現在)が、その座を奪わんと技術を続ける俊英に心境を聞いた(取材・文:浜田友美)
−いつも遠くから見てますけど、やっぱり大きいですね。
天野 選手名鑑でも顔だけなんで、サインするときに近づくとすごくビックリされますね(笑)。
−プロ選手になって初めての単独インタビューですが
天野 監督や広報さんから言われたときは「え、俺?」って言っちゃいました(笑)。まだ試合に出てないし、竹内か剣崎が先だと思ってたんで
−ユース時代は友成選手とのツープラトン体制でした。やりにくさとかは?
天野 よく言われますけど、やりがいはものすごくあったし、やっぱり「試合に出れる」って言うのでつねに高いモチベーションでいられましたし、ユースで成長出来た一因だと今でも思います。
−友成選手の存在とは
天野 うーん…(考えこんで)ライバルであり…コーチであり教え子ですかね。お互い気になったことや、良くなかったことを素直にぶつけますね。相手がどう感じたかを、自分の考えとすり合わせて技術を磨く。だから上杉謙信と武田信玄が一番近いかなと思います。
−自分が勝てる点と尊敬する点は?
天野 周りの人は体格っていいますけど、別に勝っているとは思ってません。友成を見ていると「キーパーは体じゃない」って教えられますね。
−ユースから昇格する形で和歌山に入団しましたが、J1のクラブからもオファーを受けた中で和歌山を選んだ理由は?
天野 単純に勝負したかっただけですよ。ユースのときは変わりがわり出ていたんですけど、プロはさすがにそうはいかない。それにユースのときから僕は彼に「勝てた」と思えたことはない。同じチームで争って勝ちたいと言う思いが強かった。レギュラー争いの決着をつけるまで、僕は彼から離れるわけにはいかない。したらその後いくら成功しても後悔が残りますから。
−プロ入りしてからは、開幕からベンチ入りしています。今回は第2GK特集ですが、このポジションはどうですか。
天野 ユースのときもそうでしたけど、モチベーションを保つのがすごく難しいです。だいたい出番ある時はヤバい時なので(笑)。出たいとは思いますけど、徒労に終わることが理想ですね。
−だいたいどんな事を
天野 アップには参加せずにずっと試合見てます。いつ出ても言いように、相手で誰がキレているかとか、味方でヤバいところとか。
−チームにはキーパーが四人います。
天野 瀬川さんは長い間正GKだし、辺見さんはずっと瀬川さんのライバルとして力をつけてきた。今の立場を守るだけで精一杯ですけど、自分の持ち味を最後までアピールしていきたいます。
−最後に今後の目標は。
天野 目下は友成からスタメンを奪う。追い越すまではここにいるつもりですから。一流のキーパーはみんな息が長いので、僕も20年はプレーできる選手になりたいです。




