表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢は断罪後、物語の外で微笑む【完結】  作者: あめとおと


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/7

ヒロインは、物語の外で

 私、マリアは“選ばれたはず”だった。


 悪役令嬢エレノアが断罪され、王太子殿下が私の手を取る。

 皆が祝福し、私は涙を流して幸せになる――そういう物語だと、信じていた。


 けれど。


「……思っていたのと、違う」


 王宮の私室は広くて、豪華で、冷たい。

 誰もが丁寧だけれど、誰も本心を見せない。


 殿下は忙しい。

 会えば「君は優しいね」と微笑むけれど、政務の話は一切してくれない。


「エレノアがやっていた仕事は、誰が?」


 何気なく尋ねた瞬間、空気が凍った。


「……それは、君が気にすることではない」


 その日から、私は“何も知らされない存在”になった。


 財政は悪化し、会議ではため息ばかり。

 貴族令嬢たちは私を見て、微笑みながら囁く。


――あの方、何もできないのね

――そりゃそうよ、比べる相手が悪すぎたわ


 比べる相手。

 エレノア・ヴァレンシュタイン。


 彼女は傲慢で、冷酷で、悪役だったはずなのに。

 彼女がいなくなってから、国は確実に回らなくなっていた。


 ある日、私は聞いてしまった。


「エレノア様がいらした頃は、こんなことは……」

「商会との交渉も、全部あの方が……」


 胸が、ずしりと重くなる。


 ――私、勝ったんじゃなかったの?


 鏡に映る私は、ドレスを着た“置物”だった。

 物語の主人公だと思っていたのに、舞台装置ですらない。


 その頃、噂が届く。


 隣国で、女商人が成功していること。

 冷静で、美しく、誰よりも自由だということ。


 その名は――エレノア。


 私は、初めて理解した。


 悪役令嬢は、彼女じゃなかった。

 何も考えず、何も選ばず、物語に甘えていた――私こそが。


「……思ってたのと、違う」


 でももう、物語は書き直せない。


 だって彼女は、もう振り返らないのだから。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ