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悪役令嬢は断罪後、物語の外で微笑む【完結】  作者: あめとおと


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2/7

物語の外で、悪役令嬢は恋をする

 国外追放の馬車に揺られながら、私はため息をついた。


「……静かになったわね」


 王都を離れた途端、あれほど重かった空気が嘘のように消えた。

 そして馬車が止まる。


「お疲れさまでした、エレノア様」


 扉を開けたのは、黒髪の青年――レオン・アルベルト。

 隣国最大商会の会頭にして、私の“共犯者”。


「相変わらず、いいタイミングですこと」


「断罪イベントは一度きりですからね。見逃すわけには」


 彼は冗談めかして微笑み、私の手を取った。

 その仕草は、王太子よりずっと自然で、ずっと誠実だった。


 ――そう、私は一人じゃない。


 三年かけて築いた商会。

 情報網。

 そして、私を“悪役令嬢”ではなく、一人の女として見てくれる人。


「王都では、すでに噂が広がっていますよ」


「どんな?」


「王太子殿下が、財政難で補佐官に叱責されたとか。例のヒロインも……理想と現実の違いに、少々お疲れのご様子で」


 私は思わず笑った。


「ざまぁ、ですわね」


「ええ。とても」


 彼は私を見つめ、少しだけ真剣な声で言った。


「エレノア様。これからは――悪役を演じる必要はありません」


 胸の奥が、きゅっと鳴る。


「……では?」


「次は、幸せになる番です。私と」


 私は一瞬だけ迷ってから、彼の腕にそっと手を絡めた。


「ええ。物語の“その後”は、私が書きますわ」


 悪役令嬢の物語は、ここで終わり。

 でも――


 自由で、甘くて、少し意地悪な恋の物語は、今始まったばかり。



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