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8 祝宴

「やっぱり、すぐゴールせずに、もう一ターン待った方が良かったんじゃないか?」


「ガオがあそこで三以上の目を出してたら勝ってたんだから、今回は運が悪かっただけだろ」


「俺のせいにすんなよ! カイの運はずっと良かったんだから、戦略が悪かったんだよ」


「俺が立てた戦略が悪いって言うのかよ?」


「リョウの運が良かっただけよ。だいたい、まだ引き分けなんだから、次どうやって勝つか考えましょう?」


 


リョウが三勝目を飾り、通算三勝三敗のタイに戻したその時、リンが大皿に乗せたシフォンケーキを運び込んできた。

いつの間に用意していたのか、シャオユーは慣れた手つきで食器をテーブルに並べていく。


(作っているのは知っていたけど、こんなに豪華だとは思わなかった……!)


商会から仕入れた牛乳や砂糖をふんだんに使ったであろう、黄金色のケーキ。

その上には、ベリーを煮詰めて作られた赤紫色のジャムソースが惜しげもなくかけられている。


「うおおお、ケーキだ!」


「本当に毎日リョウの誕生日がいい!」


第七戦の行方などすっかり忘れ、子供たちは目の前で切り分けられていくケーキに釘付けになっていた。


 


アワル村には、子供の誕生日を迎えると、その子の好きなものを大人たちが話し合って決め、代表として親が贈るという文化がある。


子供が物事を理解し、自分の欲しいものをはっきり認識し始める七歳頃から、大人として扱われる十五歳の誕生日まで続く、村に根付いた伝統だ。


ユイはまだその年齢に達していないが、ガオ、カイ、ランはすでに、それぞれ誕生会で贈り物を受け取っていた。


チョウガンの同僚でもあるガオの父の影響を受け、将来は兵士になりたいと公言しているガオは、チャンバラ用の木刀を二本もらっている。

時折それを託児所に持ち込み、リョウやカイ、時には年上の子供にまで勝負を挑んでいた。

普段は家で、帰宅後の父に相手をしてもらっているらしい。


次に誕生日を迎えたランは、親からは役人になることを期待されているようだが、本人はものづくりの方が性に合っているようだった。

折衷案として、商会に頼んで王都から取り寄せた知育積み木のセットを贈られている。


一月ほど前に誕生日を迎えたカイは、ガオからのチャンバラ攻撃に辟易していたのか、別の遊び道具としてボールをシャオユーに直接ねだっていた。

誕生日に贈られたソフトボール大のボールは人工土製で、リョウも折に触れて触らせてもらっている。


そしてリョウは、リンに「託児所のみんなで楽しめるもの」をお願いしていた。

九歳になったら、将来について何かを決めなければならない。

そんな漠然とした予感はあったが、村や国のことをほとんど知らない今の自分には、決められることなど何もないように思えた。


ベリーソースのかかったシフォンケーキは、そんなリョウの願いを叶えるのに、これ以上ない贈り物だった。


 


ケーキを丸ごと一ホール平らげた子供五人と大人二人は、部屋いっぱいに満ちた幸福な空気に包まれていた。


ランが用意した紙に、ガオとカイが第七戦の作戦を書き込んでいる。


リョウも食器の片付けを手伝おうとしたが、ユイが最初にケーキが乗っていた大皿を両手で死守した。

皿に残ったソースを、どうしてもスプーンですくって食べたいらしい。


そんな、穏やかな時間の最中だった。


「ユイちゃん! ユイちゃんはいるかい!?」


鎧姿の男が血相を変え、オレンジの部屋へと駆け込んできた。

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