26 計画
「いや、仮にその作戦になるとして……どうやって壁の外に出るんだよ?」
ガオは、ユイの覚悟を正面から受け止めきれず、それでも話を進めるために口を開いた。
「何か理由をつけてここを抜け出して、魔法で作った階段を登るつもりだった」
「それ、ユイが登っていっちゃだめ?」
「壁の向こうに何があるか分からないだろ?
僕は、責任を持てないことには協力できない」
「じゃあ、一緒についていってもいい?
もともと一人で行く予定だったんでしょ?」
「いや……」
「それなら俺も行かせろよ。
ここまで話を聞いておいて、二人を送り出すなんてできねえ」
「だから、森は危険で……」
「そんなの、分かって言ってんだよ!」
ガオの声が大きくなる。
それに反応して、カイとランがこちらを向いた。
運のいいことに、シャオユーはおやつに使った食器を片付けに行っていた。
「……分かった」
リョウは一度、深く息を吸った。
「その方針で作戦を立てる。
みんなに協力してほしい。
カイとランにも、あとでちゃんと説明する」
少し間を置いてから、続ける。
「決行は、金曜日の午後だ」
その後、三日間かけて、時には意見をぶつけ合いながら、リョウは計画を共有していった。
「無闇に森を歩き回るのは厳しい。
だから、中央広場の近くにある本屋で、森の地図と、できるなら森人に関する資料も手に入れたいと思ってる。
そういう資料がありそうなのは、前に行ったときに確認してある」
リョウは、自分の考えを整理しながら話すために、指で卓上をなぞりながら説明する。
「金曜日の午前中、父さんから頼まれた用事があることにして、僕がここを出る。
正直……こっそり盗み出すことになるとは思うけど、その本を無事に手に入れたら、玄関に戻る。
そのとき、シャオユーさんが壁の穴から僕を見つけたタイミングで、カイとランに隙を作ってほしい。
その隙に、ガオとユイが合流できればいい」
「もし失敗したら?」
ユイが尋ねる。
「玄関に着いたとき、『ただいまー!』って叫ぶ。
それが聞こえたら、計画は中止だと思ってほしい」
「リョウだけ、泥棒で捕まっちゃうかもしれないよ?」
「……地図なしで森に入るよりは、森人と接触できる確率は上がると思うんだ」
それまで黙って聞いていたランが、静かに口を開いた。
「買えばいいんじゃない?」
全員の視線が集まる。
「私、自分の家の金庫の位置も、鍵の開け方も知ってる」
「それ、自分の家の金を盗むってことか?」
カイが眉をひそめる。
「そうなるね」
ランは頷いた。
「三人だけが危険なことをするのに、私だけ何もしないわけにはいかない。
......あ、別にカイを責めてるわけじゃないよ」
話し合いを重ねた結果、
ランがお金を持ち出す役割を引き受け、
カイは事態の発覚をできるだけ遅らせる役目を担うことになった。
そして、金曜日がやってくる。




