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25 推論

リョウは少し考えを整理すると、おやつの時間にガオの隣へ座った。


ガオの肩を軽く叩き、耳元で囁く。


「ガオの知ってることって……ユイの両親のことか?」


ガオは心底驚いた顔でリョウを見つめた。

その反応だけで、答えは聞かずとも分かってしまった。


「午後はボードゲームにしよう。

作戦会議のフリをして、少し話したい」


続けて耳打ちすると、ガオは驚いたまま、こくこくと頷いた。




「リョウ、どうして分かったんだ?」


「そこに驚いてる暇は、多分ない。

それに……もっと先のことも分かっていると思う。

捜索が減るか、終わるんだろ?」


リョウの勢いに押され、ガオはついに覚悟を決めた。


ボードゲームは、リョウとガオ対ほか三人という構図になった。

三人側にもすんなり受け入れられたため、二人は盤面を見つめながら、周囲からは作戦会議にしか見えないように話を続ける。


「合ってるよ……よく分かったな。

ベルッセの長期遠征が終わるとき、護衛のために兵士がアワルの外に大勢出ていくだろ?

そのタイミングで、ユイの家族の捜索を打ち切るらしいって話が聞こえたんだ」


「誰の話を聞いたんだ?」


「大福を買うときに、後ろに並んでた人だ。

多分、ベルッセの兵士だったと思う。

これ以上捜索しても時間の無駄とか言ってて……

だったら何のために訓練してんだよって思ったけど、その訓練もずる休みして、お菓子を買いに来てたみたいで……」


言葉の途中で、ガオは目に涙を浮かべた。

どうしようもない無力感と悔しさが、そのまま滲み出ている。


「なあ、リョウ。

聞いたってことは、何か考えがあるんだろ?

死んでるだろうから諦めろって言うなら…...俺は、お前と一生しゃべらない」


「思いついていることはある。

僕たちでニンニンの森の奥まで入って、森人に協力をお願いするんだ。

正直、できるかどうかは分からないけど……

これ以外の手段はないと思う」


「ねえ、それユイがやるよ」


「「!!??」」


気づくと、ユイが二人の横に立ち、見下ろしていた。


「来週、兵士さんにユイのパパとママは死んじゃったんだって言われるんでしょ?」


あまりにも落ち着いた口調だった。


「ユイでも分かるよ。

兵士さんにパパとママのこと聞くと、いっつもめんどくさそうに答えるんだもん。『何かあったら教えるから、待ってて』って。

何か教えてくれたこと、一回もないのにね」


ユイは小さく息を吸う。


「リョウたちに迷惑をかけるくらいなら……ユイが自分で探しに行った方がいいよ」


リョウも、来週にはユイが言った通りに処理される可能性が高いと考えていた。


本気で捜索を続けるつもりなら、貴重な情報源になり得るユンから、既に何らかの聞き取りが行われているはずだ。


それなのに、意識を取り戻してもなお、事件当時の状況や捜索の進捗は一切共有されておらず、静養の一点張りのように見えた。


さらに、来週にはユンと自由に話せるとユイに保証している。

それは、それまでに「話す必要のある情報」が消える算段がついているということを指し示しているように思えた。


リョウは、この推論にかなりの確信を持っていた。

だからこそユイだけには、辿り着いてほしくなかった。


ユイは、今にも泣き出しそうな顔で二人を見ている。


「ユイは、どうなってもいいから……パパとママに、もう一回会いたいの……」

25日は4本投稿+おまけを予定しています。

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