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Alegria  作者: A1st
1/5

自殺未遂と救いの手

主人公が幸せになるお話です

男は雨の中一人立ち尽くしていた。


 何かがあったのかと聞かれるとなにも思いつかない


 そのくらい唖然としていた。


 「僕は…なにをしていたっけ…」


 独り言でつぶやく


 それはやや小さく弱々しい言い方だった


 小雨のように静かに、小さく、細やかに


 まるで天気が男の様子を表してるようだった


 男は上を向いた


 雨が冷たい


 ポタポタと身体に打ち付けられる雨粒


 目の中に入るが関係ない


 ひたすら上を見続けた


 晴れる気もせず小雨だったのが段々と強くなってきた。風も強くなりビラが男の顔にビシャっと当たる


 男はビラを手に持ちそのビラをみてみる


「そうだ…思い出した…」


ビラには高校の制服 高校生の写真


 実に青春という感じのものだ


 中学を卒業し今まで順風満帆な生活だったのが一瞬にしてぶち壊されたのだから


 男…いや幸みゆき 航わたるは高校に入り数ヶ月前からいじめられていた


 理由なんて些細なもの


 些細なものだ


 だが学生とはその些細なもので


 言い争い


 妬み


 嫉み


 憎しみなどを積もりに積もらせる


 些細なことでいじめられる


 幸も例外ではなかった


 たった一度クラスのリーダー的立ち位置のチャラ男と意見が違かっただけで虐められるのだ


 いじめの内容としては


 女子の痴漢冤罪


 かつあげ


 奴隷扱い


 全裸写真をクラスに配る


 この数ヶ月間は地獄のような日々だった


「死のう…」


 彼はそう決心し人気のない公園にいるのだ


 この包丁で溝を刺せば…なんてことを考えている


 「これで楽になれる」


 おもむろに腹に刃を向けこの世との別れを決心させる。


 力をいれ差そうとした直前


「…待って!」


 女性の声が聞こえ腹に刺さる前に止まった


 声のする方へ視線を向け飛び込んでくる女性が目の前にいた。


 咄嗟にナイフを横に放り投げ彼女に怪我がないようにした


 彼女が飛び込み倒れ幸も倒された


 彼女は息を荒らげながら言う


「君!なに自殺なんかしようとしてんの!!!!!!」


 はぁ…はぁ…と息を整えながら怒っているようにもみえ仄かに哀しみの目を彼女は僕に向けた


 僕は視線を逸らすことで精一杯だった


 彼女は僕の顔を無理矢理にでもこっちに向け、聞いてきた


「で…なんで自殺なんかしようとしたんだい」


 僕は黙っていたかった


 だが勝手に口が動いてしまった


「いじめられて…それで…」


 彼女は黙ったままだった


 押し倒されてる状況ではなく


 僕たち二人はあぐらを書くような体制になる


 すると彼女の花のような香りと温かいぬくもりが僕を全体で埋め尽くした


「…辛かったんだね…」


 彼女は泣いていた


 僕には意味がわからなかった


 なぜこんな僕の為に泣いているのか


 哀れみ?同情?どれも違うと僕は思った


 気づいたら僕も涙を溢していた


 水晶のように大きく生温い風呂のような涙だった


 僕は彼女にしがみつきながら僕の声が枯れるくらいに声をだし泣いた


 彼女は優しく僕のことを見て一緒にいてくれた


 その眼は慈愛に満ちていた


 僕はその眼が心地よかった


 泣き止み、ひとしきり落ち着いたころだった


 彼女が口を開いた


「濡れちゃったし…家くる?」


 拒否などしなかった


 彼女ならきっと僕のことを拒絶せず受け入れてくれると思ったからだ


 コクコクと顔をうなずき彼女の顔を見た


 とても綺麗な顔だった


 今まではそれどころじゃなかったからか彼女の顔を見ていなかったがこれまでの人生まともじゃない人生だったかもしれないが一番美しい人だった


 腰まで伸びる黒い髪キリッとした目


 身長も170くらいはある


「…綺麗」


 つい口に出してしまった


「あっ…いや…その…つい口に出してしまったっていうか…」


 正直かなり恥ずかしかった。穴があるなら入りたいくらい


彼女の顔を見れない。せっかく僕のことを受け入れると思った人が見つかったのに


 これではただのナンパ師みたいだ


 彼女は失望しただろうか


「…………その…ありがと…?」


 返事はぎこちなかった


 引いたに違いない


 今にでも逃げ出したくなっている自分がいる


 彼女の顔を見た


 具合が悪いのだろうか、顔が火照っている


 そりゃそうだこんな大雨の中長い時間いるのだから


 風邪のひとつでもなるだろう


「とりあえずこんな大雨の中だと風邪引いちゃうし…ね?家に来てくれないかな?」


 そして僕達は公園を抜け彼女の家に歩き出した


 


 


 


 


 



作者のalysaと申します


小説は初めてなのでお手柔らかに


楽しんで見てくれていたら嬉しいです

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