表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ミルクの星

作者: 瓶

トムは宇宙が大好きだった。


きっかけは7歳の誕生日におじいちゃんから貰った宇宙の図鑑だった。

図鑑にはたくさんの星や、昔の人が星の並びにつけた星座もたくさん載っていて、本当にその通りに見える星座や、図鑑を逆さにしても、離れてみても全然見えないものもたくさん載っていた。


トムは生まれつき声が出せなかった。


声が出せないけれど、ママはトムが伝えたいことを魔法みたいにすぐにわかったしパパはたくさん遊んでくれたし、話す以外の楽しいことをたくさん教えてくれた。


トムには大きな夢があった。


宇宙の星を数えたいと思っていた。

ちゃんとした星の数は図鑑に載っていなかったし、魔法が使えるママでもなんでも教えてくれるパパでも頭のいいおじいちゃんでも知らなかった。


それから毎日ベッドに潜った時は窓から星を数えることにした。

数えた星は頭の中に記憶して、なるべく同じ星を数え直さないようにしようと思った。


9歳の誕生日に新しい家族が増えた。

白くてまんまるのとってもかわいいスピッツで、たくさん悩んでミルクという名前をつけた

布団の中でいつもミルクに宇宙のことを話した

絶対に誰にも言わない約束をした後、ベッドからみた星の数をミルクにこっそり教えた

トムは話せないし、ミルクも言葉を知らないけれど二人だけにちゃんと伝わった。


10歳になる頃にはトムはベッドから見える星をたぶん全て数え切った。

トムが近所の友達の家に泊まりに行くときや、親戚や従兄弟のお兄ちゃんとキャンプに行ってベッドから星を数えれない時は代わりにミルクがベッドから星を数えて、それをまた布団の中でトムに伝えた。


トムとミルクは宇宙に行って、ベッドから見えない星を数えに行きたいと流れ星とママにお願いした。


10歳の誕生日。必要なものから、必要じゃないものまで本当にいっぱい色んななものを宇宙船に詰めた、トムのリュックには大好きなおじいちゃんから貰った図鑑を入れて

パパが作ってくれたミルク用の小さいリュックにはママが二人に教えてくれた大好きなチェリーパイのレシピと、ついさっきみんなで撮った写真を入れて宇宙船に乗り込んだ。


寂しい気持ちももちろんあったけど、二人は本当にワクワクしていた

みんなに大きく手を振って二人は宇宙に旅立った。


宇宙に出てすぐは、数えた星ばっかりだったけれどベッドから見るよりも本当に大きかったし、どの方向を見てもカレンダーとか時計とかカーテンとか大好きなおじいちゃんの写真とかはなくって、でも代わりに数えた星が二人を布団みたいに包んでいてトムとミルクはすごくびっくりしたし、秘密を宇宙船の中なら大きな声で話せることが嬉しかった


たまにママやパパに会いたくなる時もあった。その時は二人で来た方向に向かって大きく手を振った。魔法が使えるママだから絶対に気づいてくれると思うしパパも気づいてくれると思った。


二人はとっても長い間星を数えていた。

数えた星をトムはミルクに、ミルクはトムに教えあった。

トランプをしたり、追いかけっこしたり、チェリーパイを焼いたりもしたので正確な数ではないと二人とも知っていたが、二人だけが宇宙にいたし数えた星を教え合ったので別に気にすることではないと知っていた。


トムとミルクはベッドから見えない宇宙にまで来ていた

知らない宇宙でもクリスマスの街並みみたいにキラキラして、二人が宇宙に来る前のことを思い出したりもした。そして来た方向に向かって二人で大きく手を振った。


二人でお気に入りの星について発表しあった。

ミルクは骨の形した星や、ゴムボールでできた星、しっぽのついた星がお気に入りの星だと教えてくれた。

ミルクがその星を初めて見た時、尻尾を大きく振っていたのでそれを聞いた時やっぱりと思って思わず吹き出してしまった。


トムはママに似た星、パパに似た星、おじいちゃんに似た星がお気に入りだと言った

ミルクもそれを聞いた時やっぱりと思って笑った


それから話す星に出会った。

星に呼び止められる事は初めてだったので、とっても驚いたけれど何故か二人とも不思議な事じゃないような気がした。


話す星は宇宙について色んなことを教えてくれた。

ダイヤでできた星や、スライムの星、ゾンビの星、フライドチキンの星など、図鑑やベッドからじゃ知れなかった星を教えてくれた。

二人の質問にはなんでも答えてくれたし、冗談を言って笑わせてくれた。

トムは声が出せないし、ミルクは言葉がわからないのになんで会話ができるのか気になったけれど、星にも耳がなかったし別に気にしないでいいと思った。


話す星は星を跨ぐほどのとっても大きな声を出すことができるらしい。

そこで二人はママとパパに向けて伝えて欲しいことをお願いした。


本当に二人は長い間旅をしていた。

疲れる事はあったけれど、一度も飽きる事はなかった。

何度も来た方向に大きく手を振ったけれど、一度も来た方向に戻る事はなかった。


二人はとても眠くなったので、眠ることにした。

その時、すごく楽しかった思い出をトムとミルクは思い出していた。

二人はそれを話して笑ってそれを続けていると、ミルクはトムに今まで数えた星とこの旅がとっても楽しかった事を伝えて先にミルクは眠ってしまった。


その後すぐ、トムは少し涙を流したけれどミルクの分の星を合わせて眠るのを我慢して少し星を数えた。

それはそれは本当にたくさんの星があった。

どれもがみんなとっても綺麗で、キラキラしていた。

眠ってしまいそうな時、トムは白くてまんまるな星を見つけた。


それにミルクと名付けて、トムは眠りについた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ