トラックに引かれて異世界チャレンジ
不定期更新です
今後女性同士、男性同士の恋愛描写が出てくる可能性があります。
私の名前は水城暁奈、社会人5年目
いつものように女児向け筐体ゲームの"まほみみ☆めいどる♪"をプレイした帰りにトラックに引かれちゃってさぁ大変!
これから私どうなっちゃうの〜!?
いや死ぬでしょ
車に引かれた時、体が宙に浮いている間はスローモーションに感じるらしい
体が弾き飛ばされた時に走馬燈ではなくアニメの冒頭あるあるが脳内再生される位には限界ヲタクな私は来たる衝撃に備えて体をぐっと強ばらせた、が暫くして違和感を覚える。
いくらスローモーションに感じるったって滞空時間長くね?
恐る恐る目を開けてみるとそこは摩訶不思議な空間だった。
消しゴムやリップ、片方だけのイヤリングにゲームのカセットなど雑多な物が今の私の様に宙を漂っている。
周りはなんかうねうねしている感じだ、空間が続いているんだかなんだかよく分からない。
「猫型ロボットアニメに出てくる時空間みたいな場所だ…」
こんな死後の世界嫌すぎる、もっとこうなんとならんかったのか神様。
そんなことを考えながらぷかぷかしているとだんだん眠たくなってきた、そういえば残業終わりにゲーセン滑り込んだんだよな。
なんかもうどうでも良くなってきたわ、寝ちゃお。
「お〜い起きなよ、まったくこんな所でよく寝れるよね」
誰かに揺すられて嫌々目を覚ますとそこに知らない人が居た。
透き通るような肌は真っ白なのに髪は濡羽のように艶やかな黒で、目元はシュッとしていて瞳がワインのような深い赤色に瞬いている。このイケメンまつげ長いなぁとぼんやり眺めていると不意にデコピンをされた。
「あでっ」
「起きた?」
混乱している私にニコニコとした笑みを浮かべた彼は自己紹介をはじめた。
「俺は也々、ここの管理人さ」
「ここがどこか知ってるの!?」
「ここは時空の狭間だよ、狭間に落ちちゃった落し物が沢山あるだろう?」
リップや消しゴムなど、確かにここにあるものは普段無くしやすいものばかりだった。
「時空の狭間は小さいものが落ちてきやすいんだ、人間は滅多に落ちてこなけれど」
「じゃあなんで私はここに?」
也々は少し気まずそうな顔をした。
「俺が君の世界に遊びに行った時に使った出口を塞ぎ忘れてたっぽいや」
そこに車に跳ねられた君がぽーんと、かな?とニッコリ笑った也々
いやいやいや笑い事じゃないんですが、でもそれで命拾いしたからいいのか?
「で、私はこれからどうなるんですか?」
「もちろん望むなら元の世界に帰すよ、俺の手違いだし迷惑料もつけてあげる」
「迷惑料?」
「口止め料でもあるけどね、俺から1つ祝福を…つまり何でもひとつ願いを叶えてあげる」
也々はばちこんっ☆とウインクをした。
この展開100万回くらい読んだことある!
興奮しつつ異世界転生と魔法少女が頭に浮かんで、咄嗟に私の口から出た言葉は
「異世界魔法少女!!」
異世界魔法少女!?なにそれ!?!?
「ちょ、ストッ…「ハイ承認なり〜」
にやりと笑った也々は明らかに私が口を滑らせた事が分かっている様子だった。
私の頭を鷲掴むと横に開いた穴にぽいと放り込み、途端に落ちる感覚が全身を襲う。
「くぁwせdrftgyふじこlp」
「いってらっしゃ〜い」
穴を覗き込む様にした也々が満面の笑みで手を振ってるのを見ながら、私は恐怖で気を失ってしまった。