ロキ「異世界モノはいつになってもやっぱおもろいねん」
ザキ(山鷺)……アニメオタク。異世界といったら、やっぱり剣と魔法のバトル展開。男の子的に剣には憧れがあるが、魔法は異世界でしかありえないので、どちらかというと魔法を使いたい。両方使える勇者タイプにも憧れるが、国の存亡だとか国家間のパワーバランスだとかには巻き込まれたくない。
モヒ(元木)……マンガオタク。異世界といったら、やっぱりハーレム展開。別に普段からモテるわけではないが、だからこそ、重婚可能な国で可愛い異種族女の子たちに囲まれたい。でも、そもそも自分のリソースを他人のために使うのがあまり好きではないので、自分でもハーレムは向いてないと思う。
ロキ(興梠)……ラノベオタク。異世界といったら、やっぱり救国の英雄展開。剣と魔法を駆使して魔王を倒すのも面白そうだが、現実的に考えるなら、現世での知識を総動員して、弱小国家を大国に押し上げるか、姫と結婚して次期国王になって、大国の危機を救ってみたい。そのための勉強をしている。
ヒメ(望月)……ヲタクオタク。異世界といったら、やっぱり悪役令嬢転生展開。普段それ系統の作品を読む方ではないけれど、本来性格が悪いはずのキャラでギャップ展開を作り出すのは楽しそうだと考えている愉快犯。異世界も転生もどうせフィクションだから楽しむという方針が他者と違うところ。
ザキ「最近になってから、ずっと人気やった異世界転生モノがめっちゃアニメ化されてきてるような気がするけど、むしろ今の主流は純愛モノやんな?」
ロキ「主流の基準にもよるけど、なろうとか出版社から出てる文庫とかでは、ブームがきてんのはそっちって気はするな」
ザキ「アニメの感想とかを話すやつらが『今の価値観からするとありえへん』とか、『他の作品で見た展開やわ、古いなー』みたいなこと言ってるの見てると、『時系列的にはこっちのが先じゃぶち〇すぞボケ共』とか思わんの?」
ロキ「イメージの中の俺が口悪すぎる点は置いとくとして、まあ…………思うよな」
ザキ「やんな。俺ですら思うわ」
ロキ「アニメだけ見て『ストーリーおもんない原作クズやわ』とか言うてるやつら、尺の都合で感情移入できてないだけで、原作読んだらボロ泣きするに決まってんねんからな!」
ザキ「おお……経験がありそうな怒り方や……」
モヒ「でも異世界モノって、究極のところ『ロード・オブ・ザ・リング』から引っ張ってきてるやろ? エルフとかドワーフとかはそこが発祥って聞いたけど」
ロキ「それはパクリとは言わん。それに、もう最初の発売から五十年以上経ってるから、著作権も切れてるし」
モヒ「マジか。どうりで俺の発言が伏字にならんかってんな」
ザキ「メタやめえ」
ロキ「純愛モノが人気になってきたからって、異世界モノの人気が落ちたわけではないねんで? ただ、現代社会のストレスに疲れた人々が、ストレスが一切ないイチャイチャ甘々な展開を望むようになっただけのことで、それは異世界無双系の人気と根本的には同じことや」
モヒ「フィクションでくらいスカッとしたいと」
ザキ「メンタル脆くなったよなあ。……人のこと言われへんけど」
ロキ「多様性を尊重する時代やからな。学校に行きたくない理由に『気分が乗らないから』が認められてたり、鬱の類似系の精神診断が細かくされてたり、メンタルの脆さを、精神論で乗り切る風潮は廃れて、それだけ『理由を付けて逃げる口実』も増えたんよ」
ザキ「おお……その発言は関係各所に怒られそうやけど」
ロキ「ホンマに苦しんでる人に対して言ってるんちゃうで? そう言っとけば大人が見逃してくれると思ってるやつらに腹立ってるだけで。それこそホンマに苦しんでる人に失礼ちゃうか?」
モヒ「あと、歯ぁ食いしばって頑張ってるやつにもな」
ザキ「……まあ、それはそう。でもそれ、『自分も頑張ってんねんからお前も頑張れ』みたいに聞こえて、それこそご時世的によくない気はする」
ロキ「まー何でもかんでも認めればいいわけやないってことやなぁ」
ザキ「そんなまとめ方でええんか」
モヒ「そもそもなんの話やっけ?」
ザキ・ロキ「「………………なんやっけ?」」
モヒ「おおう……」
ヒメ「今の主流作品は何かって話だったはずよ。それがなんで現代社会批判になっていたのやら……」
ザキ「……日頃の鬱憤?」
ヒメ「知らないわよ。訊かないでちょうだい」
モヒ「まあ、主流とかいう話はほとんど小説媒体でのことやけどな。コミカライズ作品はともかく、週刊誌掲載系のマンガ作品には、昔からハーレムものとか純愛ラブコメものは多かったし、特別今の時代がどうこうって感じとちゃうしな」
ザキ「確かになあ……。むしろマンガは、バトルものとかスポーツものとかがずっと人気なところとか見ると、小説よりも『その時限りの流行』ってのは少ない気がするな。どのタイミングでどんな作品を出しても受け入れられているというか」
ロキ「どんな作品出してもは言い過ぎやろ」
ザキ「どんな作品出してもは言い過ぎやな。『ただし面白いものに限る』って注釈付けなあかん」
モヒ「それはもう普遍的な真理とちゃうか?」
ロキ「いやまあ、小説には、面白くても『ブームじゃないから』手に取られへん作品も多いからな。作品数が増えても、読者そのものが増大してるわけでもないやろうし」
ザキ「いまだにアニメ作品は全部マンガやと思ってる人、多いしなー」
モヒ「コミカライズを経験しているという意味では、あながち間違いでもないしな。コミカライズの経験抜きにアニメ化してる作品はそんなに多くないし」
ロキ「でも、『面白かったから原作も読も』って言ってコミカライズ版を取るのはなんかちゃうと思わん?」
ザキ「それな」
モヒ「『原作とは……?』ってなるな」
ロキ「最近の異世界モノアニメでもそうやで」
ザキ「というと?」
ロキ「ちょっと前に人気があった異世界モノが、数年の時を経て、ファンに待望されながらアニメの放送を迎えたのに、新規の連中が『ブーム過ぎたやん』とか『今さらテンプレ過ぎん?』とか『ゲーム得意な主人公とか学校で人気者に決まってるやんボッチの引きこもりで久々に外出たらトラック轢かれて異世界転生とか現実味なさすぎウケる』とか『異世界って言っときゃ売れると思ってんねんやろもう飽きたわお約束展開乙~もう見んくても先の展開読めたから切りまーす』とか言うて治安を悪くするのが耐えられん」
ザキ「治安て」
モヒ「今まで史上最長の恨み節やったな」
ヒメ「あまりにも実体験っぽすぎて普通に怖かったわ。SNS上で言い返したりしていないわよね?」
ロキ「大丈夫大丈夫。『#二度とアニメとか語んなボケ』で引用リツイートしてるだけ」
ザキ「何が大丈夫なんか全くわからんかったけど!?」
モヒ「虎の尾を踏んだってことなんやろうな~。…………今度そのハッシュタグ探してみよ」
ロキ「探すのはええけど、いいねとか押さん方がええで? それ用のアカウントやから、割と常に炎上してるし」
ヒメ「いいからまずはアカウント消して!」
ロキ「異世界モノの良さを布教しきるまで、俺は死なん!」
ヒメ「かえって評判下がるから! ライブ会場でたむろして他多数のファンの心象まで悪くしたラ〇ライバーみたいになってるから!」
ザキ「おお~。ヒメもギリギリの発言するようになったな~」
モヒ「成長なんか退化なんか難しいところやな」
ヒメ「誰も聞いてくれない…………グス」
ザキ・モヒ・ロキ「「「ホンマすんませんでした」」」
モヒ・ロキ「(泣くのはズルくない…………?)」
ヒメ「(女の涙でいちいち狼狽えないでほしいわね……頼りない。というか扱いにくいくせに素直過ぎて、これはこれでなんだか申し訳ないわね)」
ザキ「(なーんか理不尽さと胡散臭さの香りがすんねんけどなあ…………詮索すると墓穴堀りそうやし、おとなしくしとこ)」
ロキ「(なんか駆け引きしてる顔してるけど、巻き込まれたくないしそっとしとこ)」
モヒ「(ばなな)」




