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帝都バームクーヘンの悪夢1

それから、私たちはザンツ帝国が首都バームクーヘンに向かう事になった。その道中、この世界の実情を聞いた為ここに記す。

ザンツ帝国が遥か東に、魔族領があるそうだ。魔族とは、悪しき神の庇護下にある知能がある魔物を指すらしい。

そして、ザンツ帝国の属国である都市国家(転生者のローマ人が建国したらしい。幾つかの小さい国の集団だと思ってもらいたい。)"ローマ"が魔族領の目と鼻の先にあり、度々小競り合いがあるそうだ。


150年前には大規模の戦争があり、人類の力が総結集の末ようやく撃退したそうだ。ローマに傘下している都市には、竜人都市の"スパルタ。"魚人海洋都市の"アテネ"。ドワーフと呼ばれる背丈が低い者共の軍閥都市"締結騎士団"。エルフの厳格な立憲君主制の"カルタゴ"。そして、この帝国に最も近いが、猛毒の雪に残酷と言えるほどの山嶺の中に存在する"山幻"。


スパルタは、度々の魔族領との小競り合いの為に空白地帯が多く、もはや都市としての機能を持っていないらしい。


アテネは、ずる賢く。金さえ払えば、魔族でさえ輸送するらしい。しかしその逆も言え、金さえ払えばこの世界で一番信用に値する国だそうだ。


締結騎士団は、魔族領との交易が盛んであり、秘密外交として魔族領との不可侵条約を結んでいる模様。その条約の見返りとして、魔族領に軍の進入許可を与えている模様。しかし、上記は帝国間の都市伝説の域を出ない為少々真偽が怪しい。シスグ曰く、火のないところ煙は出ない為、似たような事はしていると推測していた。


カルタゴは、数百にも満たない民族集団でありながら、都市国家の中で最も大きな領土を有している。実質上のローマの盟主。又、善なる神を狂信しているそうだ。


山幻は、ローマ建国史では度々活躍していたが、戦争の時には人類側にも魔族領にも不参加だったそうだ。ローマ議会にも長年欠席で、ローマから除外しようとする動きもあるそうだ。


バームクーヘンまでの道のりは5日程掛かった。それまでの道のりには興味深い生物がいた為。微小ながら記す。


トビガクレイ

10〜20cm程の、白い体毛を持ったモモンガの様な生き物。夜に活発に動く。木から木へと飛ぶ時に姿を消す。シズクが言うには透明になったいる模様。採取してみた所、生命活動が停止すると白い体毛が茶色へと変色する。茶色の体毛に魔力を送っても透明にはならず、血液などの体液が透明化に作用していると考えられる。又、肩から手に掛けての骨格は始祖鳥の様な進化の中盤と推測できる。この世界も進化論に沿って進化しているのだろうか?。数匹採取してみても、骨格は一緒であった。急激な進化はしない模様。身が少なく、食べる部分は少ないが蛋白な味。



アントラバイシャス


体長2〜3m。姿は大型の熊に近い。しかし、個体によって様々な形のツノを持ち、体毛も千差万別の模様。肉食獣。野営中に筆者は襲われた時に、リボルバーを三発打ち込んだが、目立った外傷はなく致命打にもならなかった。駆けつけたシズクの火炎魔法で塵になった。追記、銃弾は魔物に有効ではない。考えたくもないが人間相手には致命打になるだろう

又、名前はこちらの世界での名前を取った。ツノの多様振りを見るに、ツノゼミの様な進化過程だと考えられる。又、交尾活動を見る限り、余りにもアイデンティティが突出した容姿のオスは嫌われる模様。交尾に失敗したオスを追ってみた所、体毛の色を花のすり潰した物で変えていた。色彩概念あり?また、ツノも盆栽の様に故意に変えている可能性あり。要注意。



夜、バームクーヘンへの一つ目の関所にて、通行許可書の提示を求められたが、勿論持っておらず、シズクに連れられて強引に突破した。

「ま…不味くないか?」


「始まれ、始まれ、瘡神。終われ、終われ、瘡神。導ち給え、導ち給え、氏神よ」とシズクはお経の様な抑揚で呪文を唱え始めた。シズクの周りに黄色い目を覆い隠したくなるほどの閃光が弾ける。


体の周りが熱くなったかと思うと、薄暗い部屋にいた。小さな宿の一室。鎧窓の隙間から、日光が薄く差し込んでいた。


「よかった…飛べた、飛べた」と彼女はベットへと仰向けに倒れ込んだ。彼女の見上げる薄汚い天井からどこからともなく黄色いローブが落ちてきた。彼女はそのローブを被り、フードを目深に被った。


「い、いまのは?」筆者は残念ながら腰を抜かして、床に倒れていた。そんな私を笑いながら彼女は見下ろして。


「異空間魔法の応用よ。このローブを出したのは異空間魔法の初歩なの。私たちを異空間に入れて、そこから熱魔法で時を………」小一時間訳のわからぬ話を聞かされた。


その後、彼女は満足した顔で、私に手を差し伸べて起こした。窓を開けるとそこには、パリを思い起こさせる街並みに、行き交う黒煙は吐く車。上空には飛行船に、空飛ぶ絨毯。道を行き交う人は様々な人種がおり、なにより全員が活気に溢れた顔をしていた。


彼女は、そんな街並みに手を向けて、笑った。


「ようこそ!帝都バームクーヘンへ」


「これが、帝都バームクーヘンなのか?なんて街並みだ。あれって、海か?」街並みの向こうに、青々しい海が見えた。


「そうよ4つの川に、大洋に向かえる大洋。そして、分かるかしら?この溢れ出る魔素の空気。最高の立地の人類最大の都市よ」言われてみると、空気がなんとも言えぬ触感がする。


私が活気溢れる街並みに困惑していると、彼女は私の手を引き、街へと飛び出しだ。


「まずは、ギルドに行きましょ。」


「なんで、行く必要があるんだ?」


「身分証明書よ。それに魔物を調査するんでしょ?ならお誂え向きよ(オアツラエムキ)調査して狩るだけでお金もらえるし、なにより情報が手に入るわ」


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