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プロローグ

この世界での初めての生物遭遇から、数時間位、道の石に腰掛けていた時だった。それが、私の最高の仲間にして、翻訳者、編集者であり、出版者でもある。シスグ・イシュルとの出会いだった。


馬車の音が聞こえて来た、腹も空き、どこに行けばいいのかわからない虚無感。そんな私は、馬車の方に駆けていく。


馬車の貨物は緑の布で隠され見えなかった。馬車の運転手は頭髪はない。ある一点を除いてほぼ人間とそっくりだったが、そのある一点とは皮膚がウロコという事だった。トカゲ特有の冷たい目をしていた。


私は息を切らしながら、その男に話しかけた。


「…め、めし、メシをくれないか?…道に迷ったんだ…頼むなんでもやるから…そうだ」

私はショルダーバッグからサクマレックスの鱗を取り出した。

「こ、これ…これをやるからメシをたべさしてくれ……頼む…」

男は目が飛び出だ様に驚いた後、馬車から降り、強引に鱗を獲り、観察しながら話した。男の股からは尻尾が垂れていた。ズボンの形状は尻尾に合わせて作っていた。後から知ったことだが、この世界では、この男の様な人種は"竜人"と呼ばれているらしい。


「お前これをどこで?ドラゴンの鱗じゃねぇかぁ!」

私はそんなこと聞かずに話した。


「良いからメシをくれないか?それが代金だから……」


男は、黄色い目をギョロギョロと回しながら、話す。

「俺だって商売人だ、詐欺はできねぇ…商品と交換からいいぜ、生憎今残ってる商品は一つしかねぇ……それと一緒でいいならメシをくれてやる…」


「それでいいから…頼む」


男は場所の荷物に被せてある、緑色の布を取った。


そこには西洋の貴族風の着物を着た、長い金髪の少女が蹲っていた。瞳の色は紅で、深緑の光を纏っている。(翻訳者追記、超ド級の美少女である)


男は少女を下ろし、シチューを渡し道を進んでいった。


「奴隷商人だったか………私はサクマタロウ、サクマと呼んでくれ」シチューを貪りながら、目の前に立っている少女に話した。


「すまないが、私に少女趣味はない。君は解放するよ」


少女の髪からとんがった耳が出ていた。


「私はシズク」


シズクと名乗る彼女は私の体を隅々まで見た後、私の顔をみた。


「へぇ〜………アンタさてはここの世界の住人じゃないでしょ?転移者って感じかな?」シズクは髪を掻き分けながら、笑った。


「転移者?」


「転移者と言うのはねぇ〜だいぶサービスが悪いっていうか。この世界はね、他の世界との境界線がガバガバらしいのよ。神様が寛容なのかもね。この世界には、善なる神と悪なる神がいるのよ。で、その神様達は勢力争いしてるのよ、まるで戦争遊戯の様にね、ショウギとかチェスみたいなのよ」


「ショウギやチェスがあるのかい?」


「話は最後まで、きけぇ〜!。話を戻すよ?いい?悪と善の神の能力は五分五分なのよ。だから、馬鹿正直にゲームしてたら一生ドローって訳。そこで二柱の神は特別ルールを作ったのよ。善なる神は、他の世界から色んな人材を持ってこれるの。悪なる神は色んな生物を作れるって訳よ。で、善なる神が持ってくる人材が"転生者"っていう訳よ」

彼女は私を強く指差す。


「で、転移者ってのがね。世界の禁忌に触れた為に飛ばされた人間を指すのよ。要は天罰よ。転生者は神に選ばれた人間だから、それは沢山の祝福を貰えるのよ。転移者は罪人だから、なにも渡されないのよ」


「私は、ただ採掘をしただけなんだがな」


「触らぬ神に祟りなし、よ。これもそっちの言葉のね。」


「そうだが、さっきから将棋とかチェスとか慣用句とかが出てくる事はなんなのだ?」


「神様は誰でも連れてこれるのよ。有名な転生者の例を出すわね。まずはこのガザス帝国を作った200年前の転生者のドイツ人の二人。ヒトラーとビスマルクって言ったかしら?。次に隣国の獣人の巨大帝国のモンゴール帝国を作った。チンギス・ハン?だったかしら?。因みに、モンゴール帝国とガサス帝国は二重国家よ。まぁそれだけ、悪なる神の手先が凶悪なんだけどね?。今の人たちみたいなのが、この世に連れこられるんだからね、そりゃあ嫌でも、そちらの世界の文化が移入されるわ。」


「う…うん……私はどうやったら帰れるんだ?………」



「そうだねぇ…天罰だから、罪を清算すれば帰れるんじゃない?活躍すればいいんじゃない?まぁあんまり転移者の話が活躍した話なんて聞かないしね」


「つまり…?」


「状況は絶望的。まぁ私もだけどね」

シズクは、にこやかに笑いながら握手を求めてきた私は勿論握手を返した。


「そうだ!アナタ。ステータスも見れてないんじゃない?私が見てあげるよ!」


そういうと彼女は右手を私の額に付けた、額が熱くなってきて、光が漏れたかと思うと彼女の右手にはカードがあった。


「なになに…体力知力は一般的でしょ…魔力以外めぼしいのはないね、魔力は一般人よりだいぶ高いけどエルフつまり私よりは低いね、それに魔素が一般人より低いから…魔術師は向いてないかも…あとは投影魔法か…外れ中の外れだね…」


シズクは困惑してる私の顔を見つめて説明を始めた。


「体力知力はわかるでしょ?…魔力と魔素ってのは……例えるなら火と薪だね、魔素が薪なの、で魔力が火なのよ…どんだけ火の勢いがね強くても魔素つまり薪が無いと火がつかないでしょ?だから魔術師は向いてないの…後投影魔法ってのはね私も持ってるんだけど…かげあそびってしたことある?光で映る自分の影で遊ぶ遊びね、あんな感じだと思ってくれていいよ」

シズクは少し困惑しながら


「サクマはこっちで何したいの?」

私は先ほどの大学ノートをシズクに渡した。


「いつも通りの事をしたい」


シズクは大学ノートを読んだ。


「まずこっちの言語を覚える必要があるね、エルフとか魔術師とかの魔力感知が高い種族とかなら言語が読めなくても書いてる時の意思でなんとか解読できるけど………うん…これは売れるよ、だってマトモに研究してる人なんていないもん、いたとしても味とか狩り方とかだからね」


シズクはうなづきながら、大学ノートの白紙部分に指先で文字を書き出した。


「私が翻訳してあげるよ、研究とかするのなら、この世界の事知らないと始まらないからそれも教えてあげるよ、よし、翻訳完了。」


シズクは書き終わると閃いた顔をした。


「魔素が低い人様なのがあったよ…言霊とか知ってる?そんな感じでさこの世界の神話ってそれが記された文字に力があるのよ」


大学ノートの切れ端に文字を書き出した


「例えばね、ここにはね、"炎の巨人は世界を燃やした、炎は広がりいつしか燃やすものがなくなった時、炎は止んだ、炎の巨人は自らの腕を薪にくべた"って書いてあるんだよね、でこれの紙にすこし力をこめる…と」


紙が一瞬で燃えて灰になったかと思うと火の塊が何も無いから飛び出た。その火をシズクは掴み潰した。煙が出ていたが、彼女の手は火傷一つしていない。


「まぁ、こんな感じで炎の巨人の一部分が出るわけ、炎の魔人と言っても一枚で指の肉片だからねぇ、炎の巨人をだそうと思ったら10万枚はいるし、それでも一瞬しか出ないわけ、活版印刷の技術で書いたら質が悪い巨人がでるから兵器としても最悪、けど、投影魔法で自身の魔素を素材にして使ったら結構質がいいのが出ると思うの」


「なら、なんで外れ中の外れって言ったんだい?その炎を瞬時に出すなんて便利そうだけど」


「それはね、古い神話だからの魔術だからよ。貴方達の世界で、二千年前の武器の方が強い事なんてあるかしら?。昔は戦争で炎の巨人を出した国があったって聞くけどE級程度の魔術師に破壊されたって聞いたわ…今の魔法の方が詠唱も早いし連鎖もあるからね…神話について簡潔に教えてあげるわ」


「頼む、巨人がいるってことも、それを呼び出せるって事も興味深いからな」


「まず、神話ってのは昔の魔法使い達を神格化した話だって思ってくれて良いわ、貴方の世界の神話も部族間の戦いの話を神格化してるんじゃないかしら?。


まず最初に最初の民がいたの、でその民は魔法を禁止にしていたのよね。何故かは知らないわ、一説によると善と悪の神は、最初は戦争遊戯をするつもりじゃなかったそうよ


そのうち魔法の民って呼ばれるものが出てきて最初の民を滅ぼしたのよ。


最初の民の生き残りは魔法の民に壮絶な扱いを受けたのだけど、最初の民の恨みが溜まりに溜まっていったのよね、で最初の民の恨みが膨大な魔素に変わったのよ、さっき話したわよね意思を読み取れるってね、人の意思には魔素が関係してるのよ、たまに人の意思は魔素だなんて言う人もいるけどね、まぁ恨みって強い意志が魔素に変わったわけ。


魔法の民はその膨大な魔素に気付かず7つの魔法を使ってしまったのよ。


一つは炎の魔法、これで炎の巨人が生まれたわ

そして

"炎の巨人は世界を燃やした、炎は広がりいつしか燃やすものがなくなった時、炎は止んだ、炎の巨人は自らの腕を薪にくべた"

って訳。まぁ、古代帝国の比喩でしょうね


一つは水の魔法、これで水の巨人が生まれたわ

そして

"それは、この世の都を全て沈没させ、あまつさえ空さえも覆った、しかし炎の巨人との戦いの為、自らは空へと散った"

って訳、つまり蒸発しましたよって話よ。これは古代帝国に潰された国の比喩かしら?


一つは風の魔法、これで風の巨人が生まれたわ

そして

"風が吹き、火を強くする、火が世界を覆い、水の巨人が散った時、散った水の巨人の肉体で炎の巨人を殺した"

まぁこれは水蒸気で炎の巨人が死んだって訳。これは新興勢力の比喩かしら?


この三匹の巨人を"魔法の民を亡ぼし者"って言うの好戦的で凶暴で自分たちの兄弟で殺しあうほどの醜さよ、こいつらが魔法の民のほとんどを滅ぼしてしまったの、残った魔法の民は最初の民と愛し合っていた者どもって訳。


魔法の民の血が濃いいものがエルフなんて言われるわね。私はみたいなのよ。その強さって言ったら、一個師団は塵にできるわ。まぁ純血主義だから人数が少ないけどね。それでもこの帝国の東に、王国は持っているのよ!。私?私は自分自身を売ったのよ、この国にね。奴隷の労働制度だって、そっちの倫理基準だからね。楽ちんよ。


話を戻すわね。

一つは死の魔法、これで死が生まれたのこれが唱えられる前までの世界で自然で死ぬことはなかったのよこの魔法が人を殺すただ一つの方法だったんだけど、魔素の充満で世界中にこの魔法が蔓延してしちゃったのよ。その為、魔法の民は簡単に死んでしまったよ。


一つは闇の魔法。この魔法は特に何か悪さをしたわけじゃないのよね、文字でなんか悪い気がするのだけど、やったことは人間以外の生物に進化する為の導線のリミットを破壊しちゃったの。まぁ悪なる神の得意技よ。


人間にはこの魔法は絶対かからないわ、国のお抱えの魔術師なんかはこの魔法で生物兵器を作ってるらしいけどね。


一つは光の魔法…まぁ人間が使う魔法のほとんどが光の魔法となにかの組み合わせなの、光の魔法単体でも強いは強いんだけど、この魔法の異質さは接着剤みたいなところなの…火の魔法と風の魔法をくっつけたりするのにこの魔法を使うの。


一つは人の魔法……この魔法はね詠唱もできないし存在もしないのよ、この魔法の詠唱文字はあるのよ。


"世界に死が蔓延し、大地は焼かれ水没し、生き残った人間以外の生物は魔物へと変化せり、しかしながら、我が子達は、この悪夢を終わらすだろう。"


要は希望よね、諦めんなよ子孫達!って言いたかったのだと思うわ。


この言葉だけを信ずる宗教が今この世界で一番信者が多い宗教だしね」


「聞いた限りだと、宗教への研究が進んでいるのか?そんな神様の思惑とか、古代の話と神話の照らし合わせとか。こっちの世界でも怖くてできてない事ばかりだが」


「いいや?」彼女はにこやかに笑う。


「もちろん、命も狙われてるわよ!エルフの国からも、この国の信者にもね!だから今こうやってる訳よ!」



以上、この世界と相棒について


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