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世界災厄級から、家庭の隠し味の元の生物まで

私、つまりこの調査記録書の筆者のサクマには、性格の悪い叔父がいる。新年の集まりの時の事だ。私が祖母から買ってもらったピカピカの恐竜図鑑を、彫刻刀を貼ったような法令線(ホウレイセン)を歪まさしニタリと叔父は笑った。

そして叔父は、恐竜図鑑の一ページ目に書かれた。世にも恐ろしき肉食恐竜を開いて見せて笑った。

"恐竜なんてよ、とってもチンケな生き物でよ、例えばレックスだとよ、1回目の噛みつき避ければどうとできるんだぜ?"


それに私はこう聞いた。


「だったら、人間はどうなの?恐竜より小さい軽いよ?」



"わざわざ、一番重力に抵抗する形に進化してんだぜ?この地球って小さな世界ならよ、最強に強い重力に対抗して進化してんだ、恐竜なんて重力と比べたら弱い弱い"


"考古学なんて、人間より弱かった雑魚の死骸を見つける学問さ"


その一言が、ペンに力を与えてくれる。そして私は考古学者になった。なんで、こんな事で考古学者を志したのだろうと思うかもしれない、理由は簡単だ、私が大好きな恐竜が人間なんかに負けないとおじさんに言いたかったんだ。

だから、だから、私は強い生物を見つけるために考古学者になったのだ。



まず、ことの始まりについて書く。



2008年、10月4日、北極にて発見された。新種の古代生物の氷漬け死骸の採掘中だった。

二週間は採掘作業を行なっていただろう、太陽は白夜のせいで沈まなかった。


季節外れの白夜のせいで現地人は軒並み退去し、採掘作業は日本人数名とイギリス人数名とたった一人現地人が残され採掘作業に当たっていた。


現地人は採掘作業をせず、急造基地にて震えて何かを唱えるように呟いていた。


夕方の時刻だっただろうか、氷漬け死骸の一体の採掘、洗浄作業が終わった。


氷漬けの為かとても品質が保っており、死んだ当時の原型のままを留めていた。


これまでにない、古代生物であった。


翼竜にしては、余りにも太すぎる胴体に、翼に付属しているジャンボジェット機の推力機のような浮き袋?がついていた。


そして、鋭利なエリマキを首周りに生やし、頭から足に掛けて鱗が生えていた。鱗の色は黒寄りの赤だった。なにより、体長が3mはある。首の筋肉は猪を彷彿とさせる程、発達しており、顎は恐竜のそれを遥かに超えている。歯は獲物を逃して離さない為か、ノコギリ状に進化している。そして驚くべきことに、歯に伝うように毒の脈があった。我が調査隊は、感嘆のため息を漏らした。過剰装備なのだ。翼竜でありながら、地上の肉食恐竜以上の顎に、毒液。本来、必要の無いものは、進化論的に捨てられていく自然界に置いて、この過剰装備。誰一人口には出さなかったが、同じことを考えていただろう。「こいつが、生態ピラミッドの頂点ではない」と。


採掘用の小型ハンマーにて、剥がした鱗を叩いて見たところ、鋼程度の硬度はあった。それでありながら、アルミホイルのカケラ程の軽さ。世界の航空会社が喉から手が出るほど欲しい物質だろう。


この生物のことを調査隊リーダーの私の名前からとって、サクマレックスと名付けることにした。


現地人はこのサクマレックスを見ると慌てふためきこの様なことを叫んだ。


「なんてことを!!今に夜になるぞ!!そうなったら終いだ!!俺達は地獄に引き込まれる!そしたら終わりだ誰だって帰ってこれない!悪いことは言わねぇからよそいつを埋めて、二度と掘り起こすな!」現地人は、雪が降る中を標準装備で駆け出していった。


イギリス人数名はサクマレックスの写真と鱗さらにはDNA情報がある組織を取った後帰り示度を始めた。そして彼らは、自らを現地人の調査隊と称して、逃げるかのように基地から撤退した。


科学的根拠に基づいて動くイギリス人達が現地人の世迷言を信じて逃げるかの様に撤退した為、我々日本人チームは動揺を隠せれなかった。


「サクマ…夏に掘り返しに来れば良いんだ、帰ろう…あの現地人の話を信じるわけではないけど…わざわざ冬に掘るこたないぜ?な!だからよぉ帰ろう」と私の同僚は言った。


「君達は帰って良い、そう遠くないところにベースキャンプがあるから、私は一人でここに残っても安全な筈だ。設備は整っている。更には発掘地周辺は氷だ、積雪は無い。雪崩の心配はないだろう。」


「しかし、……一人で堀るなら…どんなに安全といっても……」


「なら、掘らない、私はあのサクマレックスだけを調べることにする、それなら良いだろ?」


我々のチームは私を残して撤収した。


勿論、私は掘ることにした。

そこまで硬い氷というわけじゃない。思ったより速く掘ることができた。


現地人の言う通り夜になってきた。基地の中に入る風が生暖かく、隙間を通るせいか風が鳴いていた。その音は、ネズミの断末魔の様な寂しさを残していた。


傷をつけないために、サクマレックスの死骸群は氷を残したまま掘り出した。


仕事を終わり一服をしていると、地響きが聞こえ、基地の外に出ると南の空から眩い光が登ってきた、白夜が戻ってきたかと南の空を見ると、太陽が一点に止まったまま動かない。


太陽にしては不気味な紅だった、目の錯覚か太陽が昇ってるのではなく、降りているように見えた。


いいや、あれは降りている、太陽が落ちている。


太陽が沈んで夜になるというのに太陽がもう一度沈もうとしている。


西、東、北からも太陽が沈む、氷の反射?。


しかし、反射した光には出せない温かみは4個の太陽がそれぞれ自立した太陽と顔の皮膚を通して、頭に知らせた。


太陽が動きをやめた、北東、北西、南西、南東、からも蝋燭が灯るように太陽が出現し、沈み出した。


地平線すれすれに8個の太陽は停止した。


私が掘り起こした、サクマレックス達の浮き袋から紫色の淡い光が漏れ出たと思うと、8個の太陽の光が横に伸び、8個の太陽は一つの光の輪となった。


私を中心として、この輪はできていると感覚的に察した。


8個の太陽は輪の中を移動し始めた、一周、また一周とするたびに太陽の色は変わっていき、紫色になったところで太陽は回転をやめた。


サクマレックス達から漏れ出た光が線香から漏れ出る煙のように天高く伸びた。


私はピッケルと恐竜図鑑にサクマレックスの鱗を持って立ち尽くしていた。


8個の太陽の紫色の光が天井を覆い始めた。


そして天井に、瞬き程の刹那の間、光の隙間に人の様な者が見えたと思った瞬間私は気絶した。


額に燃えるような痛みを感じた時、私は森の中にいた。


太陽が見えない程、木の背は高かった。


ここはどこだ、周りを見ると一筋の獣道が存在していた。


「……サクマレックスがいない…初めておじさんを唸らせれる恐竜が見つかったと思ったのに…どこだ…見つけてやる」


私はピッケルを咄嗟に持ってきた、紺色のショルダーバックから取り出した。頭から血の気が引いていき、スゥーと思考のモヤが取れる。私はパニック状態に陥ると冷静になりすぎると、冷ややかに考えながらバックの中身を確認した。


バックの中にはサクマレックスの鱗に、恐竜図鑑、記録調査用の大学ノート5冊、後入れた記憶がないリボルバー式の拳銃だけだった。


リボルバーには弾が装填されており、ショルダーバックのどこを探しても装填されている六発以上の弾は無かった。


リボルバーは大切に使わないといけないと思っていると草陰の中から物音がした、草から聞こえる物音から察するに猫程度の大きさの生物だろうとわかった。


リボルバーをショルダーバックに入れ、ピッケルを構えながら物音とは対角線上に存在する茂みの中に隠れた、生物を観察するときはできるだけ自然な状態を観察する必要がある。


アマゾンでの調査発掘の時、小型の生物だと安心している所を小型のジャガーに襲われた事があった。その経験上よく知らない場所だと警戒心を最大にした方が良いという経験則に則った行動だった。


なにより、北極からこの"森"に居ると言う自体が私を警戒させるには十分過ぎる程だった。


茂みから、足が生えたキノコが二匹出てきた。


10〜15cm程の大きさで紫色と黄色の個体だった。


紫色の個体は黄色の個体よりほんの少し大きかった。


観察して五分ぐらいして分かったことを記す。


キノコはオスとメスが分かれており、黄色の方がメスと推測する。その理由は紫色の方は黄色にアプローチを繰り返しているためだ。小型の鳥類を黄色の足元にメスの周りを小さな足を振り回して乱舞するのが、この生物のアピールのようだ。

メスのキノコは何かしらのフェロモンを発生さしているのか、一分に二匹程度の頻度で紫色のキノコが集まってくる。


最初にメスと一緒にいた、オスの個体は集まってくるキノコ達と体当たりを始めた。(追加、キノコ達に、目は存在しない。その為、推測の域を出ないが、聴力又は嗅覚が発達しているのだろう、しかし5mほどの距離に居る私の存在に気付かない時点で、そこまでの性能は無いようだ。)


メスの取り合い、自然界にて良くある現象だ。


一つだけ違う点を挙げるとこの闘争は二段階のフェーズが存在する。

まず最初は体当たりの後、怯んだ方にキノコの傘から紫色の胞子を吹きかける。


この胞子は毒のようで吹きかけられたキノコは一目散に走り出す。


三分ぐらいし最初のオスの個体が寄ってくるオスの個体との闘争に勝っているの見た後、メスは地面に潜った。もぞもぞとキノコの傘だけを地上に出している。


オスはメスが潜った辺りを跳ねながら歩き回ると鳥類の死骸をメスの潜った周りに埋め出した。


オスが鳥類を取ってきて埋めるたびにメスの傘の胴体が伸びていった。栄養補給にしては、早過ぎる。


一時間位すると、メスの傘は木の背丈を超えた。


オスはその巨大化したメスの周りを飛び回っていると空から3cm程の大きさのキノコの個体が落ちてきた、色は全て赤色だった。すると、メスの背丈は急激に縮み元の背丈に戻った。メスはオスの手を借りて、地面から這い出ると、疲れたのか座り込んだ。


オスはメスの体の周りに草を敷き詰めると赤色の個体を頭に乗せて茂みの中に入っていった。


メスの体は完璧に草で隠されており、この一部始終を見ていなければ奇妙な小さな丘程度としかわからないだろう。


私はメスの体の周りの草を取り除き、このキノコの組織をピッケルの鋭い部分で削いでみた。メスはカサをパラパラと揺らしている。今考えると、目に見えない緊急フェロモンでも発していたのだろう。


削いだ部分から紫色の液体が滲み出てきた、手に取ると高い粘度を誇っており、臭いは甘い柑橘系だった。


一時間も観察をしていた為、危険だが栄養補給の為舐めてみた所、疲労と何か良く分からない感覚…が補われた気分だった。


私は小さい状態のキノコの個体をチビタケキノコと名付けた。

大きい状態のキノコはオオタケキノコと名付け、そしてオオタケキノコのオスには十分注意がいる、毒の胞子を出す為だ、その毒性は分からぬが、スカンク程度の天敵撃退能力はあるのではと推測する。そうでなければ、こんなバカらしい生き物が生き続ける筈がない。


オオタケキノコから出る液体を啜っていると先程のオスの個体が藪の中から走り出てきた。


オスの個体は赤色の個体を頭から下ろして、一目散に私に突進してきた。


私は判断が遅れ、マトモに突進を受け体制を崩して倒れてしまった。


不味い、毒の胞子が吹きかけられる。と思った矢先オスの個体は胞子を吹きかけようとした。


私は咄嗟に目と口を服の袖で覆った、白衣のままだったが十分に防塵効果はあるだろう。


数秒たっても毒が吹きかけられないため、危険ながらも目だけを覆いから出した。


するとオスの個体は困惑しながら私の周りを走り回っている最中だった。


どうやら出せる胞子には限りがあるようだった。


私は荷物を手早く取り、一筋だけあった獣道へと走り出した。


キノコ達を後ろに私は獣道を走った。


数分走ると舗装された道に出た、獣道を振り返るとキノコ達は追ってきてなかった様だった。


道には看板があったが、英語でも無ければ日本語でもない為読む事が出来なかった。


本当にここはどこだ?と感じながら道にある、丁度いい石に腰をかけて、いつ来るかわからない通行人を待つことにした。


ここにきた理由 わからない


ここに生きる生物 興味深い


結果 いつ帰れるかわからないが帰れた時の事を考えてこの世界の生物の調査記録を書くことにした。


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