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この世界の歴史は、俺が守る!!  作者: 鮎の塩焼き
彼の幼少期
8/13

今できること

「わたくし、セガバンと申します」

そう名乗った男は腰を深々と下げた。

「なんだよおめぇ。さっきは滅相もないとか言ってたのによ。自分の変な力を晒したつでに名乗るか?」

スタバリーは強気に口をきくが額には大粒の汗がいくつもついている。

「そうですね。そうでした。でも気にすることではありません。私の穴に耐えたのですからそれだけの精神はお持ちということですから」

「さっきから言ってる意味が分かんねぇよ」

「そこらの兵隊さんの体にできた黒い穴。それは精神の弱い人間にのみ発生するんですよ。早くしないと手遅れになりますよ。その穴やばいですから」

「あぁ!何がやばいってんだ…」

スタバリーの威勢が徐々になくなっていった。スタバリーは見たのだ。兵士に空いた黒い穴が徐々に広がっているのを。そして冷静さを取り戻した。既にセリドとミラートは動いており兵士を手当している。

『二人はなぜ俺に声を掛けなかった。俺は今の時間何をしていた。こんな奴と口論をしていて。仲間の心配をしていなかった!?いや違う。今できること。そうだ俺の今の役は…』

「うおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉおらぁぁ」

スタバリーはセガバンに向かって突進する。

「無鉄砲なかたですねぇ!」

セガバンは黒い穴のある両手を広げスタバリーに向ける。両方の黒い穴から黒い人型が現れた。

「どらゃぁぁぁあああ!」

スタバリーは勢いを保ちセガバンにドロップキックをくらわそうとするが黒い人型が代わりにそれを受け、スタバリーは教会の床に滑り込んだ。

人型は霧のようなもので当たった感触というのは無かったが効いているようで煙のように四散した。そしてその煙はスタバリーの周囲を囲む。スタバリーは煙のある場所から素早く抜けた。が、セガバンの姿が消えていた。

「くそ。どこいった!」

スタバリーはセガバンの姿を探す。教会を見渡すがどこにもいない。と

「ここですよ」

なぜかスタバリーの正面にセガバンの黒い穴が存在していた。

「なっ?どうやって」

「遺言はそちらでよろしいですね」

グァバっと黒い穴から黒色の布のようなものが生まれた。

「あめぇぇえよぉぉ!!!!!」

隙だらけだったセガバンにスタバリーが渾身のパンチを腹に埋め込んだ。

「ぬっ!」

岩をも砕くスタバリーの殴りに潰れた声を放つ。だが、足はその場からは全く動いておらず黒い布はまだ存在している。

「ひゅひひひ。ざようならあ」

空気の抜けた声でそう言った。が…

セガバンがスタバリーへ向けていた手が消えていた。そして

「ひぇっ!」

という高い声が空間に響きセガバンは教会の壁にめり込んでいた。

「ミ、ミラート様」

「流石だ。スタバリー。あの男はお前にメロメロで周囲が何も見えていなかったな」

そう言ってミラートは「はっはっは」と笑い出した。

「はぁ~。助かったのか俺。」

「ミラート様に感謝だな」

「リーダー。…皆は?」

「まだ容態は良くないな。あいつを倒せば何かしら変化が起きるとは思うが。」

「あいつか。結局よくわかんねぇ奴だよ」

教会の壁にめり込んだセガバンはくの字にめり込んでおり生きているようには思えない形をしていた。

「行くか」

「あいよ。リーダー」

そうして三人は一度教会を後にした。その場に魔教シカルジがいたことも知らずに。




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