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第一章 転生~幼少期編  【第九話 十三夜の攻防】

ルビの字数制限で、やむなくカッコして技名を記入しています。世界観が壊れてしまいそうですが、やむなしです。(TT)


あ、技名のネーミングセンスの無さは自覚しております。ww

2020/6/30改稿しました。


意識の薄れたタマは髪の色、目の色、そして服装も、赤色基調の輝いた装備に変わっていた。


この世界で

〈スピリチュアル・アーマー〉

いわゆる【霊装備】といわれるものを身に纏っていた。一般的には【霊装化した者】と呼ばれている。


「タマよ! しばしお主の体を借りるのじゃ、許せよ。」


《ん?何?どなたかしら?》 火野珠美の意識が問う。


『わしは、精霊ぞ?タマとケーキを食うたとき、楽しかったのじゃ。それにこのタマとやら、花の香りがして良いしの。しばらく付き合うことに決めたんじゃ。そういうお主は誰ぞ?』


《私は火野珠美、タマに転生した人間よ。》


『おお?転生者とは珍しいのう?ますます気に入ったぞ!まぁ、今はそれどころではない。この窮地を脱するために、しばし精神と体をのっとるぞ?』


《えぇ、私にはまだ戦う能力はありませんから、精霊様に任せるわ!》


『わかった!安心して任せておくのじゃ!』


あの《謎の赤い女の子》は精霊であった。人間と霊装化した精霊は、口調も変わるという・・・。 


――― ガーンッ! 馬車が川辺の地面に落ちた!


「おっと!」


霊装化したタマはフワリと飛び上がり、衝撃を避けるが、その衝撃で馬車の扉が開き、

ミネラの体が飛ばされる!


「あっ!まずいのじゃ!霊炎スピリットファイヤ!」


霊装化したタマは両手を突き出し、燃えない炎=霊炎 でミネラを包み込み、サイコキネシスのようにコントロールしていく―――が、タマとは初めての霊装化で、能力がうまくコントロールできていない!


そのままゆっくりと、川の中へ落としてゆく。

ザブァ―――!


ミネラはそのまま川下へ流されていった。


「ふぅ・・・いきなりターニャマリーと一体化したから、まだ力が馴染んでおらぬな。とりあえず霊炎に守られとるから、すぐには溺れはすまいて。」


霊装化したタマは、後でミネラを回収しようと考え、崖の上へ向かって飛びあがる。


――― ヒョォオゥゥー ―――



一方、崖上では・・・

黒装束と剣を戦わせながら、馬車が落ちるのを見たヨーコは、


『しまった!』


と思ったが、切り結んでいる黒装束に隙がなく、見送ることしか出来なかった。


馬車を落ちるのを確認した別の黒装束が、ヨーコへ向かって騎馬を走らせる!


――― バカラッバカラッバカラッ ―――


「⁈ッ」


ヒュッ! 黒装束が剣を振り下ろす!それをヨーコが剣を横にし、受け流す!

――― カンッキンッキンッキンッ!――― そのまま数度、切り結び鍔迫り合いになる。

グ、グググ・・・次の一瞬で、ヨーコが軽く身を引き、すかさず剣を腰から上へと切り上げる!シュバッ!!黒装束がそれを避ける!バッ! 


すぐにヨーコが歩を詰め攻める・・・が、黒装束が剣を受け流し、再び切り結ぶ形となる・・・キンッキンッ! 


――― 攻防は続く ――― キンッキンッ!シュッ!ヒュンッ!キンッ!カンッ!キンッ!


2人の黒装束に、段々と追い詰められるヨーコ!


―― もうすぐ崖の縁だ!


『くそっ、このままでは・・・』


と、内心ヨーコは思ったが、その時、背後から ヒュオッ!と炎のような人影が現れた!


シュンッ! っと黒装束の一人へと火球が飛ぶ!


パシッ! ――― 「グァッ!」


シュンッ!―――ンボゥ! 


「ウあチッ!」 もう一人の黒装束にも火球が当たる!


ヨーコから離れる黒装束達・・・何が起きたのかわからないヨーコ!


ヨーコが人影をよく見ると・・・タマがフワフワと浮かんでいるが、全身が炎のように赤く輝いている。


「え⁈ お嬢様?・・・ですよね???」


「・・・なんじゃ?お主は?」


ヨーコは、タマの雰囲気の違いと口調に驚いたが、執事長 ニコラスから聞いた話を思い出した。『もしかするとこれが噂に聞いた霊装化なのか?』と。


霊装化した存在は機嫌を損ねるとまずいと聞いたことがあるので、ヨーコはすぐに畏まった。


「あ、はい、私はターニャマリー様にお仕えする者でございます。」


と跪き、軽く一礼する。


「ほう、この娘の侍女か?

剣術の腕はまぁまぁのようじゃな。(タマの記憶によると)」


「はぁ・・・《一応、王国十指候補なのですが・・・》」


「じゃが、ワシは久しぶりの地上世界じゃ。あの二人、ちょいとワシの遊び相手をしてもらうが、良いか?」


「え?・・・あ、はい、どうぞ。」


と言ったところで、黒装束達が言う。


「ふざけやがって!」

「ただのガキじゃねぇか!」


「ほう・・・ヌシらよほどワシと遊びたいと見えるのぉ。」


「馬鹿にしやがって!」


と、黒装束達が斬りかかってくる!


「炎短剣!(ファイヤーショートソード)」


霊装化したタマの右手に、炎の短剣が一瞬で出現する!


黒装束の一人が切りかかってくる! 

しかし霊装化したタマはその太刀筋をひらり躱しながら飛び上がり、黒装束の頭上から剣戟を連発する!


「うらうらうらぁっ!」


キンッ!カンッ!ヒュッ!ドスッ!


黒装束は数戟を剣で受け防いだが、防ぎきれず胸に剣が突き刺さった!


「うぎゃあっ!」


バタッ!


黒装束を1騎倒す。


「くそおっ!ハァッ!」


最後に残った黒装束が、霊装化したタマに襲い掛かるが、すべて躱される。


ブンッブンッブンッ!ヒュッヒュッヒュッ!スカッスカッスカッ!


「なんじゃ? そんな振りでワシにあたるわけないじゃろ?」


「く、くそっ!」


炎光線ファイヤービーム微弱ッ!」


霊装化したタマの指先から、ビームのような炎が出る!


シュバッ!ジュッ!


黒装束の髪が燃える。


「あチッ、アツっ!」


「あはははははっ!」


「く、くそぉっ!覚えてろっ!」


バカラッバカラッバカラッ

黒装束は髪の毛を焦がしながら、逃げて行った・・・。


「よし、行ったな・・・ふぅ、タマの魔力はギリギリじゃった・・・な・・・」


ドサッ・・・・


霊装化が解け、その場に倒れるタマ。


「え?あ! お、お嬢様⁈ 大丈夫ですか⁈」


ヨーコは駆け寄りタマを抱き上げる。

返事がない・・・が、スヤスヤと寝息が聞こえてきたので、ホッとする。


今夜は十三夜。 夜とはいえ周りはずいぶんと明るかった。


タマを抱き上げたまま、崖下を見るヨーコ。


馬車はほぼ真っ二つに割れ、車内も月明りに照らされ良く見えていたが・・・そこにミネラの姿はない。


『奥様はいったいどちらに・・・』


今いる崖の上からは、すぐには降りられそうになかった。


周囲を見回すが、ミネラの手がかりは崖の上からでは到底見つけようがないと、ヨーコは思った・・・。


「お嬢様がご無事なのが、せめてもの救いだな。」


と、一安心のため息をつくと、


『取り急ぎ一度屋敷へ戻り、旦那様へ報告し、そしてミネラ様の捜索隊を出してもらおう!』


と考えた。


ヒュゥゥゥゥゥ・・・


馬の鞍にタマを乗せ、ヨーコは先程の霊装化したタマの姿を思い出す。


「まさか、お嬢様にあんな才能があったとは・・・」


と、独り言ち鞍に乗ると、急ぎロージズメル邸へと向かうのだった。



最後までお読みいただき、ありがとうございます!

今回、お話のキリが良かったので、ちょっとだけ短くなりました。


誤字、脱字、ご意見、ご感想などございましたら、遠慮なくお願いいたします。


不定期更新ですが、

今後とも「メイドクイーン タマ!」の応援を宜しくお願い致します!

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