第一章 転生~幼少期編 【第三話 女神 アルフューネ】
物語の進展上、今回長くなりました。すいません。m(_ _)m
目を開けると、見知らぬ場所に寝ころんでいた。
私は体をゆっくりと起こしながら、頭の中を整理する・・・
なんだか色々情報があり過ぎて、ついていけなかったわ。
えっと、まずは・・・そう、わかってはいた。
私、火野珠美は死んだのだと・・・ここは・・・たぶん、あの世?・・・かな。
今からきっと閻魔様の裁定が降るのね・・・生前、私は嘘を吐きまくっていたけど、たぶん他の人もそんな感じだろうから、説得して舌を切られるのは回避できないかしら・・・
なんちゃって、さっき初代メイドクイーンは『女神様』って言ってたもんね。閻魔様ゴメンね。ちょっと、ふざけてみたら心に余裕ができた気がするわ。
それにしても・・・随分と洋風な感じというか、古代ギリシャの神殿みたいな場所ね・・・もっと火炎渦巻く地獄みたいなところを想像していたけれど、ここは随分と静かだわ。
奥の方は暗くて距離感が良く分からない。こんなときは、あれね・・・。
息を思いっきり吸い込んで~~~スゥ。
「あ~っのよ~~~~~っ!!!」
と叫んでみる。いつでもユーモアは大事だからね。
――― よ~よ~よ~ょ~ょ~ ―――
・・・私の声は響きながら、だんだんと周りに吸い込まれていって、やがて消えていった・・・
すると奥の方から光がスッと差し込み、周りが急に明るくなった!
え?ラベンダー畑?
周囲は一瞬で、某北国にあるラベンダー畑のような花一面の景色になった!
あぁ聴こえる!!あの定番の歌が!!!!あぁ~あああああ~♪
でも咲いているのは明らかにバラね・・・でもこっちの方がいい!
「ようこそ、あなたが火野珠美さんですの?」
ん?だれ???と思いながらも返事をする。
「はい、そうです・・・が?」
良かった!どうやら閻魔様ではなくて、本物の女神さまだ!魅力ある美しい声に、間違いなく美女だと確信できる! 女神様だから、美しいのは当然よね!
そして、その女神様が光の中から現れた。その服装は・・・なんとメイド服だった!
「おおぉぉ、イィぃ♡」
顔がにやけてヨダレが垂れそうになった・・・。
女神様のメイド服はワンピースタイプで、控えめだけど新緑のように光輝いていた。スカート丈は膝上で、活動的な印象を与えてくれる。そして、フリフリのついた白いエプロン。全体的に可愛らしい雰囲気なのに体が大人で、見かけは18歳くらいに見えた。
そして何と!胸の部分が大胆にO字に開いているから、まず目に入るのが豊満な双丘、谷間をアピールしてきている!しかも美しい!これは誰だって見惚れるわよっ!
右手には魔法使いが持っているような白色の長杖を持っていて、先端部分には紫の宝石がついていた。
白い肌は透明感があり、顔立ちは小顔で鼻筋がすっと通っていて、目はやや細いアーモンド形で、流し目で男を殺せそうな感じだが温和な表情だ。おっとり系というべきか?
ウエストも細いし、骨盤は安産型で、脚足も程よくスラッとしている。
まさに、あぁっ!神々しい女神様!!!と言いたくなる。
妄想が臨界点に達した私は「ぶほっぉ!」と思わず鼻血が出てしまった。両穴から。
「あら?大丈夫ですの?」
と私に近寄って来て、鼻をフキフキしてくださる女神様。仕草が可愛い。
あの~それって、エプロンですが・・・と突っ込みたくなる。
まさか・・・女神様って天然なの???かな???
「あ、ありがとうございます。あなたは?」
私の声色は《黒〇徹子風》になっていた。
「私は女神アルフューネと申しますの。まずは、お礼を申し上げます。
あなたが日本で助けた猫耳メイド・・・実はあれ私の眷属なんですの。本当は、珠美さんはそこで命を落とす予定はなかった。
人の運命はある程度その人の自由に任せていますの、でも時折こちらの予想できない事態が起きますの・・・それが今回ですの。」
「えっと?どういうことですか?」
「つまり、珠美さんは『まだ本人の寿命ではない』のに、他者の命を助けてお亡くなりになりましたの。だから私達・・・つまり神々といたしましては、お詫びとして《人生をやり直す機会》を提供したいのですわ・・・但し、元の世界には当然戻れません。死んだ者が生き返ることはありませんのよ。だから違う世界、つまり異世界へ行っていただきたいとお願いをしているのですよ?」
と一礼されると、双丘の谷間が近くで見れた。私より大きくて、ちょっと羨ましい。
あぁ、このお方が女神アルフューネ様なのね。なんかもっと威厳があって厳しそうな神様が出てくるのかと思ってた。
「ん?今何か失礼なことを考えている気配を感じましたの?」
フルフルと首を振る私。やっぱりそういうのわかるのね。気をつけよ~。でも、今のは褒めたのよ!誰が何と言おうと!
「なら、良いんですの。では改めて本題に入りますの。実は、メイド好きな珠美さんを見込んで、お願いがございますの?よろしいかしら?」
「えぇ、知っています。その異世界の『魔王』を倒して欲しいんでしょう?」
「あら、なら話が速いですの! では早速、転生していただきますわ!」
「ちょ、ちょっとまった――――――っ!!!!!」
「はい?」
「あの、いきなり何の説明もなしに『はいそうですか!』って行くのは無理ですよ?
転生っていうと大体、すごい能力が選べたりとか、最強の武器や必殺の魔法を授かったりとか色々ありますよね?そういうのは無いんですか?」
「わかりましたわ。では説明いたしますの。
まず・・・今から行く異世界には、近い将来魔王が復活する兆しがありますの。」
「・・・それは、知っています。そうじゃなくて、私は学歴と職歴以外に何の能力もありませんから、武力も魔力もないのに魔王なんて到底倒せませんし、そんな恐い世界には行きたくありませんよ!」
「あらまぁ、でももうちょっとお話し聞いていただけます?
この魔王は異世界人でないと封印、又は討伐ができないようなんですの。理由は我々神も調査しているところですわ。だから、珠美さんにも倒せる可能性は充分にありますわ。
それに、珠美さんは某有名大学を首席で卒業、某有名一流企業のOL様、それだけでこれから行く異世界においてトップクラスの頭脳をお持ちの存在となりますわ。」
え?そうなの?
「猫耳メイドを助けようとしたとき、計算しましたよね?・・・なんかこうエロい手つきで?」
ちがう!あれはエロい動作じゃない!
「まるで未来予知みたいな?でもなぜ計算が違ったのかしら?」
それは、こっちが知りたい。
「実は、あの大型トラックの後ろにもう一台、小型のトラックが来てたのですわ。しかも猛スピードで!」
え?それは見えてなかったわね。
「それは、あなたから見えない位置だったから計算要素に入らなかったのですわ。」
「そういうことだったのね・・・。」
「ですが、珠美さん?転生というのは《今のあなたのまま》転生するわけじゃないんですのよ!
珠美さんは『今の魂』と『異世界での魂』が混ざりあって、新しい肉体で生まれ変わるんですの。
つまり異世界の一般仕様よりもハイスペックな体で生まれますの。だから、その世界にある能力を身に着けることができるんですのよ!
珠美さんの努力次第で、チートも夢じゃないんですのよ?
だから魔王の討伐も不可能じゃないですの。そしてあなたには私という神の加護もある。だから全く問題ないですわ!」
「でも・・・もしその異世界で死んだら?」
「天国に行くだけですわ。そしたらその異世界は滅びますの。
もし運よく生き残った人々で魔王を一時的に封印できたとしても、何千年後かにまた復活するでしょうから、また珠美さんと同じような新しくメイド好きな方を、その異世界に派遣することになりますわ。
ただ、魔王復活のタイミングで、珠美さんのような方が現れるかどうかは不確定ですの。
だから天界の意向としましては今回で魔王と完全決着をつけたいのです。」
そうか、私ができないと言ったら、私のような・・・両親や第三者から見たら、《悲しい状況の娘》がまた出る可能性があるのね・・・・でも、自信はないなぁ。
「たぶん・・・・・・・絶対、無理です。」
「まぁ、そう悲観しないで、これから向かう世界にはメイドさんの作った王国がありますの。」
「・・・なん・・・だと・・・?」
「どの国に転生するかはわからないので、メイド王国に転生する保証はありませんが、その場合は私が導きますわ!そしてメイドクイーンになってもらいますの。」
「メイド女王!ワクワクする響きだわ!確か『神に依頼された世界の守護者』だったわよね?」
「そうですわ。メイドクイーンはその異世界では英雄ですの。あなたの大好きなメイドがあなたの指示で大活躍できる世界。魅力的だと思いませんか?」
「・・・・ゴクっ」
「どうですか?珠美さん?」
「・・・やっぱり無理です!責任が重い。」
「可愛いメイドコスチュームを着ることができるのですが・・・・?」
「・・・・・・・・・無理です。」
「可愛いメイドさんがいっぱいいるのですが・・・?」
「・・・・・・む、無理ですっ!」
「あ、獣人のメイドさんがいますね、リアル猫耳、リアル犬耳、リアル尻尾のモフモフメイドさんがいるのですが・・・?」
「・・・・行きます・・・っ!」
「ありがとうございますですの。ではこれからは天界が全面的にサポートしていきますの・・・あ!一番大事なことを忘れていましたの。珠美さんに、絶対無敵の最強能力を差し上げますの!」
ん?まさか、精霊装化のことかな?
「その能力は・・・『萌えキュン♡』ですの!」
「え???萌え・・・キュン???」
「はい、『萌え萌えキュンキュン♡』って詠唱してから、《愛を込めたスマイル》をすることで、男女関係なく誰でも虜にできる絶対無敵の最強能力ですの。そして使う人によってその効果は未知数なんですのよ?」
へ~・・・まぁ、確かに言われてみれば最強能力かもね。私もキッカちゃんにゾッコンだったし、だとしたら無敵の武力や魔力を持っている人を『萌えキュン♡』で虜にしたらいいのよね。
その人達に魔王と戦ってもらうこともできるかも・・・って、私がメイドクイーンにならないとダメなんだっけか?
だったら、メイドクイーンになる為の人脈づくりに能力を使えば魔王打倒も不可能ではないと・・・うん、可能性出てきた、なんとかなるかも。
私でこの魔王退治を終わらせることができれば、異世界の人々を守ることができるし、異世界から私と同じ境遇の人を転生させなくても済むし、やってやろうじゃないの?
「珠美さん?どうやら『覚悟は決まった』という顔をしていますね?他にご質問はございますの?」
「いや、ありません(今のところは)」
「では、今から転生していただきますの。良いですの?」
私はコクンと力強く頷いた。
「では、転生の魔法陣を起動させますわ!」
女神アルフューネは白杖を持ち変えるとブンブンと頭の上で回し始めた。
まるでモーニングスターのおもり部分を回す感じで。
すると私の足元に魔法陣が現れ、光始める。紫に溢れ出る光がだんだんと強くなり、下から上へと伸びていくと、私の周りに風がフワッと起こり始めた。
その風が強く巻き起こると、体が浮き、私は魔法陣の中をゆっくりとぐるぐる回りながら上昇し始めると、光の勢いがパァッと輝きを増して早くなる!
私はこれから異世界へと旅立ち新たな人生を生きるのだ・・・・。
「そぉれぇっい!いってらっしゃ~いですの! あっ!!」
スポンッと女神の手から白杖が抜け飛び、くるくると回転しながら魔法陣に吸い寄せられると、ガツンと勢いよく私の頭に当たった!イタイ!
・・・その瞬間、私の体も飛んだが意識も飛んでしまった・・・
最後まで読んで下さり、ありがとうございました。
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