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第二章 魔法学園編① 【 第22話 魔法模擬戦① 〜タマ視点〜 】

【 第22話 魔法模擬戦① 〜タマ視点〜 】


ーーー この装置はお主たちの潜在能力を引き出す。簡単に説明すると“ 秘めた能力 ”じゃな。

その能力が ”今は何らかの理由で押さえつけられている”という者も少なからず居るのじゃ ーーー


タマは模擬戦の前に聞いた学園長の発言に思いを巡らせた。


『学園長はどうしてあんなことを言ったのだろう?

わたしには ”何らかの理由で押さえつけられている能力” があるのかな?

・・・もしかしたら、ひぃちゃんのことを勘づいているのかも。

だとしたら、精霊装化スピリチュアルアーマーを知っているってこと?

そりゃそうだよね・・・魔法学園の学園長だもん。知らないはずないよね。


あんまり目立ちたくはないけど。仕方ないよね。


それと《お主なら、全員に勝てるであろう》ってどういう意味なのかしら?

わたし、絶対そんなに強くない!


でも学園長が言うくらいだから、その言葉を信じて思いっきりやってもいいんだよね?

ここがイメージの世界なら、魔力量は関係ないだろうし・・・じゃあ、何でもできるってことじゃない? 

あ、なんか、勝てる気がしてきたかも!!』


タマはイメージをより鮮明にするため、目を閉じる。


『イメージ・・・イメージ・・・ん〜・・・』


タマは目を開けサッチの方を見る。サッチは余裕があるように見えた。


『魔力量が高いんだろうなぁ・・・って、そうじゃなくて! 集中 集中!

わたしがイメージできるのは、ひぃちゃんと一緒に戦ったときのこと。あの時の感覚はなんとなくだけど覚えてる。

たしか、こんなかんじで・・・・』


ゴウッ!


タマの全身から一瞬だけ、大きな炎が溢れ出る!

その炎が落ち着き、タマの全身は淡いオレンジ色に包まれた。


ここに”ひぃちゃん”はいないので、イメージ力で擬似的な《 精霊装化スピリチュアルアーマー 》をする。



「「「 おおおっ!! 」」と、画面を見ていた全員が驚く。


学園長はニャッと笑う。



タマは 『よし!イメージ通りできた!』 と心の中で喜んでいたが、

すぐに正面から数十本の水のウォーターアローが飛んでくるのが見え、意識を戦いに集中させる。



『えっと、とりあえず防御しないとだよね?』


タマは右手を空へと伸ばす。

空間がゆらめくと、次の瞬間 剣が出現する。

その刀身はゆらゆらとした炎に包まれていた。


タマはその剣を両手で持ち、頭上で振りかぶる。

そしてタイミングを見計らい、くうを切るように上から下へと斬り降ろした!


「えいっ!!」


剣圧による大きな炎がほとばしり、水のウォーターアローと衝突する!

炎は次々と水のウォーターアローを飲み込みながら同時に蒸発もさせていく!


数十本の水のウォーターアローは、あっという間に水蒸気となって消えた・・・



『ふぅ、イメージ通り 』


サッチを見ると、顔色が青くなっているように見えた。


『どうしたんだろう?』


そんなタマの心配を振り切るように、サッチが次の攻撃を仕掛けてきた!


水でできた狼、水狼ウォーターウルフが迫ってくる!


タマは”炎の剣”を横薙ぎに数回振るう。

その剣の軌跡を追うように炎が射出される!


しかし水狼ウォーターウルフは草原を自在に疾走しながら、タマの攻撃をうまく回避し距離を詰めてくる!


「今度は当たらないかぁ!フフフ!」


タマの気持ちはすごく落ち着いていた。


水狼ウォーターウルフがあと数メートルの距離に迫る!


次の瞬間、タマは”炎の剣”を手放し両手を前に突き出した!


「剣がダメなら、これでどう?」


タマの正面に一瞬で ”炎の盾” が出現する!


それは、タマの身長より大きい形をしていた。


「炎のファイヤシールド!」


ジュワッ!


突然あらわれた ”炎のファイヤシールド”に、水狼ウォーターウルフは回避できず直撃し、

あえなく蒸発してしまった・・・。



「よし!イメージ通り!フフッ。わたしって・・・もしかしてすごい???」


魔力量最低だからと落ち込んでいたが、少し自信を取り戻したタマであった。



ドオォォォオオオオオオ!


「!?」


しかし、すぐに巨大な滝の流れのような水音を聞いたタマは、サッチを見た。


「 えっ!? なにあれ??」


サッチの背後に超巨大な “ 水の竜 ” がタマを見下ろしそびえ立っていた・・・


続けて「行けぇっ!」というサッチの声が聞こえた。


ドドォオ・・・


圧倒的な超巨大な竜の形をした水が、空高くから一気に滝のように押し寄せてくる!!!


しかし、タマの脳裏に突然アイデアが浮かんだ・・・というか、

どこかわからない存在からの声が頭に湧き上がるように声のイメージが感じられた。


『うん、わかった!圧倒的な水には、こちらも圧倒的な炎で焼き尽くす!だね!』


タマは目を瞑り、炎をまとった鳥のイメージをする!


『よし!できた!』


タマは目を開けて叫ぶ!


火炎不死鳥ファイヤーフェニックス!」


タマの全身から炎が勢い良く湧き上がると、火炎の鳥の姿が顕現けんげんした!


しかし、その火炎不死鳥ファイヤーフェニックスは水竜に比べるとかなり小さい。

10分の1くらいである。


水竜の向こう側に見えるサッチの表情は、さげすむような笑いを浮かべていた。

『そんな小さな炎でなにができる?』と言わんばかりの表情だった。


タマもそんなことはわかっていた。


「単なる炎ではダメ!イメージするっ!!一点に集中して空気を巻き込むように回転して

速く速く切り裂くように飛ぶっ!! 行っけぇぇぇぇっ!!!」


火炎不死鳥ファイヤーフェニックスはイメージ通りに空気を巻き込むように高速回転を始め、

炎の竜巻となり、向かってくる水竜の口の中へと飛び込んで行く!


ザッシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!



火炎不死鳥ファイヤーフェニックスは水竜を構成する水を切り裂くように竜巻で吹き飛ばし、

水滴へと変えていく! その水滴は次々と炎に焼かれ蒸発していく!


シュオ、シュオ、シュオ・・・


火炎不死鳥ファイヤーフェニックスは、水竜の頭から尻尾へと一気に突き抜けていく!


あたり一面は水蒸気による霧で覆われていく。


水竜の尻尾まで突き抜けた火炎不死鳥ファイヤーフェニックスは、役目を終えたように霧の中へ消えていった。


静寂があたりを包む ーーーと突然、大雨が降ってきた!


ザァァァ・・・・


『うわぁ、水着でよかったぁ〜っ! いや、これ戦闘服だったっけ?』


雨は数十秒でやみ、あたりが晴れ始めた。


タマはサッチの方を見る。

そこには呆然と立ち尽くし、何かブツブツ何か言っている姿が見えた。


『これはチャンスだね!』


タマは地面を一気に踏み込んだ。


次の瞬間、タマはサッチの喉元に炎の剣の切先きっさきを突きつけて止まる。


サッチは驚きで震えていたが「まいった」と小声で言った。



ひと息置いて、学園長の「勝者 ターニャマリー・フォン・ロージズメル!」というジャッジの声が場に響いた!


読者の皆様、お待たせいたしました! 久しぶりの投稿です。(8ヶ月ぶり?)

色々な事情が重なり、執筆が遅くなりました。

でも、この物語はまだまだ続きます!

引き続き応援していただけると嬉しいです!


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