表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/24

第二章 魔法学園編① 【 第21話 学園生活スタート! 】

【 第21話 学園生活スタート! 】


翌朝。


正門を入ると、昨日もらった学生カードから”チーン♪”と音がする。

なんだ?と思って見ると「Class A」という文字が光っていた。


でも、タマは不思議に思った。『魔力量学年最低のわたしが・・・Aクラス?』


「リンネちゃんのクラスは?」

「Aクラスだよ?タマちゃんは?」

「うん、それがね・・・リンネちゃんと同じ、Aクラス・・・なんで?」

「なぜかはわからないけど・・・私はタマちゃんと一緒のクラスで嬉しいな!」

「うん、そうだね!」


と、「嬉しい!」と言ってくれたリンネに笑顔で答えるタマ。


校舎前にある掲示板で、校内地図を確認し、あまり深く考えずに教室に入った二人・・・


すると、クラス中からの”視線”が突き刺さる!


『・・・うぅ、なんだかみんなの視線がイタイ・・・』


とタマは感じた。


あきらかにタマとリンネで、向かっている”視線”の種類が違う!


リンネへの視線は尊敬や憧れといった”温かい”ものであり、

タマに対しての視線は「なんでコイツがいるんだ?」という明らかに”敵対的な冷たいもの”であった。


タマにとって気まづい時間が流れる・・・


クラスの角の方から明らかにタマを「場違いだ!」と非難する声が、ヒソヒソと聞こえてきた。


しばらくすると予鈴がなり、担任の先生が入ってきた。女性だ。


「え〜今日から1年A組を担当することになった。コマノです!よろしく!」


すると、一人の生徒が手を上げる。


「先生!このクラスにふさわしくない人がいるんですけど?何かの間違いですよね?」


「それはどう言う意味ですか?この魔法学園のことは全て学園長の采配さはいで決まっているので、間違いではないと思いますよ?」


また別の生徒が発言する。


「先生!この”Aクラス”は昨日の魔力量測定をもとに”優秀な人材”が選ばれているんですよね?なぜ魔力量最低の人がクラスにいるのですか?」


「今、言った通り、学園長が決めたことです。だから間違いではありませんよ?」


「先生、そんな理由では納得がいきません!」


「そうだ!そうだ!」とクラスの多くの生徒が同意する。


コマノも内心は『なぜ魔力量の少ない生徒が?』という疑問がないわけではない。




そんな中、タマは腕を組み『うんうん、そうだよね〜』と言わんばかりに頷いている。


そして、タマは立ち上がると


「先生!みんなの言う通りです!わたし、学園長先生になぜ私が”Aクラス”なのか?直接聞いてきてもいいですか?」


シーンと静まる教室・・・


そこに、ガラッと教室の戸が空く。


「それでは、教えてしんぜよう!!!」


教室の戸がガラッと開き、何者かが大きな声で言った。


生徒たち全員の視線が、その” 何者か ”に集まる。


「えっ!? 学園長っ!?」


コマノが驚き、大きな声を上げる!

そこには、魔法学園の学園長を務める《 リズ・ラ・スピーラ 》が立っていた。


リズが続けて


「なぜ ” 魔力量最低の者がAクラスなのか? ” という質問じゃったな?それに答えてしんぜよう?」


というと、学園長は杖を軽く持ち上げ詠唱し、トントンと杖の先で床をこづく。

次の瞬間、教室全体が光に包まれる。


『え?・・・えっ?ええっ?!』


クラスの全員がそう思った。


次の瞬間、教室とは全く雰囲気の違う場所に全員がいた。


リズは《 瞬間転移魔法 》を使用したのだ。




今、全員がいる場所は、タマの遠い記憶・・・火野珠美の頃の記憶にある「 劣等生アニメ の 特訓場所 のようだ」ということだが、タマにはさっぱりわからない。


正面には巨大なスクリーンがあり、右側には様々なボタンが付いている横に長いコンソール、左側には人が入れそうな大きさの卵形カプセルが5台ほど並んでいた。


「今から、模擬魔法戦をしてもらう。Aクラス全員でじゃ。」


ザワザワとする。


複数の生徒が不満を言う。

「そんな!? 俺たち入学したばかりで、できるわけねーじゃん!」

「戦い方なんて、知らないわ!いきなりなんて無理よ!」

「模擬戦なんてしても、結果は変わらないだろ?」



「だまれ!小童こわっぱども!」


リズが一喝する!


「なぜ?魔力量最低の者が、今年はAクラスにいるのか? 己の身を持って知るが良いぞ? なぁ、コマノ先生?」


「は・・・はいっ! その通りでごじゃいますっ!」


突然のフリに言葉を噛んでしまったコマノ。

しかし彼女も疑問に思っていることだった。


「全く弱虫どもめ! それでよく魔法学園に入学したのぉ・・・まぁ良い。では、ターニャマリー・フォン・ロージズメル?」


「はいっ!」


「Aクラス全員と総当たりじゃが、良いな?」


「え?・・・ええっ!?」


「大丈夫じゃ、そなたならここにいる生徒全員に勝てるであろうよ? では、始めるとしよう!コマノ先生?」


「え、あ、はいっ! では皆さん? ターニャマリーさんと、最初に模擬戦したい人はいる?いないなら・・・」


「私がやるわ!」


担任が教室に来た時、最初に苦情を言った女子生徒が手を上げた。


「名前は?」


「モーブ家の長女、サッチ・モーブよ。見てなさい魔力最低女!」


タマを挑発するような言葉を浴びせられた。

それでも、タマは一礼をして


「はい!よろしくお願いします!」


と笑顔で言う。


《 すべてモノゴトは、礼にはじまり礼に終わる 》


「それがロージズメル流なのだ」と、タマはメルサスから口うるさく聞いていた。



「では、二人とも。あのカプセルの中に入ってちょうだい。」


とコマノは卵形の装置を指差す。


タマとサッチは装置に向かう。


どこから現れたのか、卵形装置のすぐ隣にメイドが二人控えていた。


そのメイドたちがカプセルに手を向けて、魔力を注ぐと入り口のドアが開いた。


「先にこちらにお着替えください」と水着のような服を渡された。


「「なんですかこれ?」」


タマとサッチは「?」と思う。


「この装置専用の戦闘服バトルスーツでございます」


「え?でもこれ水着じゃ・・・」とサッチ。


「いいえ!戦闘服バトルスーツでございますっ!これを着ることにより、現実に近いデータが収集できるんでございますっ!」


怖い目で訴えかけてくるメイドたちに、サッチとタマは”抵抗しても無駄だ”と考える。


「あの、どこで着替えたらいいんですか?」とタマ。


「では、こちらへ」と白いカーテンに囲まれた簡易的な更衣室に案内される。


さっきまでなかった・・・” たった今準備しました感 ” 満載であった。


仕方なく着替えるタマとサッチ。


着替え終わると、卵形装置エッグシェルの中へと入る。

中は狭く、中央にシートがあり、周囲の壁面にはたくさんの計測器が付いていた。


その針がゆっくりと左右に振れている。


「そちらへお座りください」


メイドAにいわれ、シートに座ると自動でリクライニングする。


座り心地はとても心地よく、リラックスできる感じだった。


「それでは、ターニャマリー様、このゴーグルをどうぞ」


ゴーグルを受け取ったタマは、自分の胸に当ててみる。


「ターニャマリー様、違いますよ? 頭からこう装着してください」


とメイドAに言われ、使い方が違うことに気づいたタマは赤面する。

『わっちゃぁ、やっちゃった〜! 恥ずかしいっ!』


その恥ずかしさをゴーグルで隠すように装着した。


「では、そのまま少しお待ちください」


卵形装置エッグシェルのドアが閉まると、装置内は薄暗くなり、タマも眠気に襲われる。




ーーー っつ、まぶしいっ ーーー


ゆっくりと目をあけるタマ。

目の前には、きれいな青空と所々に岩が突き出ている広い草原があった。


『模擬戦にはちょうどいい場所みたい。でも魔力量最低のわたしがどうやってAクラスのみんなに勝つのかしら?』


タマの戦える術というのは、《精霊装化》しか思い当たらない。


しかし、精霊装化すると、自分に精霊がついていることを公表するようなもので、後々厄介なことになりそうである。


もし精霊装化しても現実に戦えるのは5分くらいが限度である。


となると、タマが勝つ要素というのは限りなく低い・・・・・・


タマの学園長に対する疑問は深まるばかりである。


しかし、タマにはもう一つ心当たりがある。

それは『萌えキュン♡』能力。


あまり使ったことはないし、これは魔法ではない。

火野珠美の記憶によると《 女神様から授かった能力 》らしい。

それが、どれほどのものなのか?

いや、それよりも戦闘に使えるものなのか?

全く見当がつかない。


そうやって思案を重ねているうちに、サッチの姿が数メートル先に現れた・・・水着姿で。


「「 え?水着じゃん!? 」」


二人同時に声が出た。


タマはあわてて自分の姿を確認する・・・やはり水着だった。


どうやら本当に水着で戦うらしい。


「あ〜、聞こえるか二人とも? それは水着ではない、戦闘服バトルスーツじゃ!それを着ていることで、模擬戦によるあらゆる攻撃から守られるんじゃ!わかったな?」


どこからか学園長の声が聞こえる。これもこの装置の機能らしい。


「「はいっ!」」と二人は返事する・・・これは納得するしかない。


学園長が言う。


「では、模擬戦の説明をしよう!当たり前じゃが、この模擬戦によって現実の肉体にダメージを受けることはない。今見えている二人の姿はこの装置によって作られた幻影アバターじゃ。


この装置はお主たちの潜在能力を引き出す。簡単に説明すると秘めた能力じゃな。その秘めた能力が、”今は何らかの理由で押さえつけられている”という者も少なからず居るのじゃ。


この装置は、そういう者たちのためにも作られたのじゃ。


この装置の中は全て幻影とも言える。お主らのイメージしたものを出現させることができる。

例えば・・・ターニャマリーよ? そちの右側の岩に向かって、ファイアの魔法を想像して放ってみよ?」


「え?そんなことできるんですか?」


「そうじゃ、その装置の中では、お主のイメージした魔法を生み出せるのじゃ。」


「そ、そうなんですね!では・・・やってみます!ファイアッ!」


ドガーンッ!


岩が消し飛んだ。


「・・・す、すごい。本当に魔法が使えた!」


「わかったようじゃな。魔法だけではないぞ?自分のイメージの力で武器を作ったり、精霊を作ったり、男を作ったり、なんでもできるんじゃぞ?」


「お、おとこも!?」


担任のコマノがヨダレを垂らしている。


Aクラスの生徒はコマノの反応をスルーする。



「では、二人とも、そして画面で見ているAクラスの生徒よ! わかったな? では、模擬戦スタートじゃ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ