第二章 魔法学園編① 【第二十話 プチ女子会 ~秘密の仲間?~ 】
――― 学生寮、タマ&リンネの部屋 ―――
「リンネちゃんも精霊さんと契約してたんだぁ・・・びっくりしたよ?」
「ふふふ、そうね。会場に入ったら知らない精霊さんが、ミュージュと一緒に楽しそうにしてて、わたしもびっくりしたよ?」
「あはは、そうだよね。精霊さんは“めったにいない”って聞いてたんだけど、いるじゃんっておもった!」
「あ、やっぱり?私も同じこと思ってた!」
タマとリンネは「あはははは」とお互いに笑った。
「じゃあ、このことは二人だけのヒミツだね?」
「うん、そうだね!タマちゃんと秘密の仲間になっちゃったね!」
「わ~!あのリンネ・マロンドちゃんと、ふたりだけのヒミツを持てるなんて・・・うふ・うふ・うふ・・・」
あまりの嬉しさにタマは半壊しそうだった。
「ねぇ、タマちゃんの精霊さんのお名前はなんていうの?」
「ひぃちゃんだよ。」
「ひぃです。ペコリ」
「あ、リンネです。今日からタマちゃんと同室になりました。よろしくおねがいします。」
「よきにはからえ」
「あははは!」
「ひぃちゃんは“変化”できるんだよ。その姿もとってもカワイイんだよ~。」
「え?そうなの?見たいな~?」
「うん、いいよ。よっと!」
ポンッ!と、ひぃちゃんは子ギツネの姿になった。
「な、ななななな・・・カッ・カワイイ~ッ!!!」
リンネはひぃちゃんを抱き上げてギュッとした。
「キュッ。」ひぃちゃんは少し苦しそうだ・・・
「ちょっと、リンネちゃん、しめすぎだよ?」
「あ、ごめん。」
ポンッツとひぃちゃんは元の人型に戻った。
「ふ~・・・リンネちゃん、嬉しんだけど、ちょっと苦しかったぞ?」
「ひぃちゃん様、以後、気を付けます。・・・モフモフ感が最高だった。」
「ねぇ、ねぇ、リンネちゃんの精霊さんは?」
「うん、紹介するね。ミュージュっていうの。音楽の精霊様なんだ。」
「へぇ~、音楽の・・・だからリンネちゃんの歌声がきもちよいのかなぁ」
とタマが言うと、リンネが急に落ち込んだように見えた。
同時に“ギクリ”という擬音が聞こえたような気がした。
「え・・・あれ?リンネちゃん?」
「・・・あ、ごめん、タマちゃん。はぁ~っ・・・やっぱり精霊さんのおかげだと思うよねぇ~」
「え?どういうこと?」
「わたしの歌が上手なのは、ミュージュのおかげってことだよ?」
「え?そうなの?」
タマはミュージュの顔を見る・・・が、ミュージュはフルフルと首を動かしていた。
「リンネには、いつもそんなことないと言ってるんだけどねぇ・・・」
「うん、わたしもミュージュちゃんと同じで、リンネちゃんはまちがってると思う!」
「え?」
「だって、わたし今までどれだけマロンディーズの曲に元気をもらったか、かぞえきれないよ?
なぜ、この歌は、この歌詞は、こんなにわたしの心に届いてくるのかな?って、リンネちゃんの声だけじゃなくて、リンネちゃんの“想い”が伝わってくるんだよ。リンネちゃん自身が伝わっているんだよ?それって、ミュージュちゃんおかげなの?」
「わたし自身が?・・・伝わっている?」
「うん、わたしはそう思う。同い年だからっていうのも・・・もちろんあるよ?」
「大人にもファンが沢山いるじゃんか?」
ミュージュが言った。
「そうそう、この前、お父さんが客人に言ってた・・・えっと、たしかね、こんな感じだった。
“評価の種類はいくつかあるんだ。
自分がする自分自身への評価、他人が自分を見て決める評価、
あなたの評価は周りが決めるし、同時に自分で決めることができる”ってね?」
「タマ?メルサスのモノマネ上手だな?」
「エヘヘ、ひぃちゃんありがとう!どう?リンネちゃん、わかった?」
「ううん、難しくて良く分からなかった・・・」
「うむ、やはりな」
「わたしも、よくわからなかった!」
「「「「あはははは」」」」
「なんか、笑うとどうでも良くなっちゃった。」
「そうでしょう?わたしの悩みも聞いてくれる?」
「うん、おしえてタマちゃん?」
「わたしも、魔力量が少なすぎて・・・悩んでるんだけど・・・いや、リンネちゃんに比べたらたいしたことないと思うんだけど・・・それでも ひぃちゃんが友達になってくれて、でもなぜなのか理由は良く分からなくて・・・」
「タマちゃんを気に入ったからだよ?」
「え、え、えと・・・ひぃちゃん、えへへ」
「魔力量が少しあれば、ひぃは最高の力を発揮できる。時間は短いけどね。それでも命を守る時間と考えたら、タマちゃんの今の魔力量でも十分なんだ。
それと、この普段見せているこの“人の姿”は自然界にありふれて存在する“素”を使っているから、ひぃには維持するのはたやすいのだ。」
「ふ~ん・・・なに言ってるか全然わからないよ?」
「タマはこれから勉強がひつようだな?」
「うん、これから学園でたくさん勉強できるから、問題解決だね!」
「ふふふ、タマちゃんって、前向きだね?」
「あはは。そうでしょう?」
「うん、でもタマちゃん、魔力量はこれから大人になっていくにつれて増えるだろうし、この学園で学んで修行したら普通の魔力量になるかもしれないよ?」
「このひぃはタマの将来に期待しているのだ!一緒に精霊の仲間達と遊びたいからな!」
「うん、わかった、わたしがんばるよ!」
「なんだ?悩みはもう解決したのか?」
「うん、ミュージュちゃん、“わたしやるしかない!”っていう解決をしたよ?」
「それ、解決してないんじゃない?」
「「「「あはははははははは~」」」」
こうして学園生活初日の夜は、タマにとって驚きと感動と楽しさで過ぎていった。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
ご意見ご感想・☆評価をいただけますと嬉しいです。