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第一章 転生~幼少期編  【第二話 初代メイドクイーンの願い】


私は火野珠美・・・今は、どこかの空間を漂っている最中みたい・・・夢の中?かな?


私の意識に誰かの意識が入り込んでいる・・・脳みそがモゾモゾとしてちょっと気持ち悪いわ。


《 聞いて下さい・・・ 》


突然、頭に響く声・・・威厳があるけど重圧はない、きれいで優しい感じの女性の声だ。


だれ・・・ですか?


《 私は、初代メイドクイーン。神から依頼され、この世界を守護する者・・・でした。 》


へぇ~、素敵な名前だわ。メイド女王クイーンだなんて。ワクワクしかないじゃない。


《 ありがとう。でも私は今はただの意識体として、器のある者を探していたのですよ。 》


そうなんですか・・・よくわからないけど、夢だよねこれ?


《 ホホホ、ここは夢の中ではありません。ここは次元の回廊です。あなたは魂になってある場所へ移動しているのですよ。 》


へぇ・・・よくわからないけど。なぜ、私に話しかけてるんですかぁ?


《 お願いがあるのです。私たちの世界にもうすぐ魔王が復活します・・・それはとてもとても強大な魔王で、その昔、私は封印するのがやっとでした・・・自分の力を過信していたのです。 》


その、魔王を私に倒せと?


《 そうです。全能の神の眷属、女神アルフューネ様が、あなたを導いています。

あなたの秘められた力と、仲間達の力が合わされば、強大な魔王を必ず滅することができるでしょう。 》


秘められた力なんて、ないですよ?


《 ええ、その力のことは、すぐにはわからないでしょう。だから、あなたが転生するとき、私の能力を引き継いでもらいます・・・これを御覧なさい。 》


するとイメージが頭の中に強制的に入ってくる・・・音のない映画を見ているような感覚で映像が流れていく。


そこには青く輝く女性の姿と巨大な魔物の姿・・・どうやら、初代メイドクイーンと魔王の戦っている様子らしい。そして、少し離れた場所に数人の女性がいて、さらに遠くには沢山の騎士や武装した人々、魔法使いなどの大集団が魔物と戦っていた。まだ感覚としては映画の世界だとしか思えない。

そして、誰がこの映像を記録したのか気になるところだが・・・野暮ったいツッコミはやめておこうと思った珠美だ。状況把握する余裕はある。


《これは精霊装化スピリチュアルアーマーした私です。精霊と一体となって強力な魔法戦闘を行うことができる能力です。神様に指名された者にしか使うことができません。 》


へぇ~・・・としか言いようがないですね。


イメージは続く・・・

初代メイドクイーンが口パクで何かをつぶやくと、その体が一層強い光を放ち、圧倒的な魔法エネルギーが魔王に放たれる!『ギュゥイイイィィィィィィィィィンンン!』という音の感じで。


その攻撃に対し、魔王は腕をクロスして防御姿勢をとっていたが、その魔法エネルギーを防御できず、両腕をふっ飛ばされ、さらに胸部にも穴が開いていた。・・・しかし、それでも魔王はそこに立っていた。



おおおおおお!魔王ってほんとすごいわね!



淡々とイメージは続く・・・

何十人もの魔法使いが一斉に呪文を唱えると、魔王の足元から光の蔓が伸びて両肩・両足・腰・胴体を拘束し、頭上には巨大な魔法陣が現れた。魔王はその拘束を逃れようとするが、なぜか逃れられない。

魔法陣から神々しい光の雪が降り注ぎ、魔王の力を削いでいるようだった。


初代メイドクイーンは膝をついていた。先ほどは全力の魔法だったのだろう・・・しかし、気力を振り絞ってぐっと立ち上がると、呪文を詠唱し終わると白い杖をブンッと振り降ろした。


すると、巨大な魔法陣がズズズズズ・・・と魔王に蓋をするかのように地面へ降り始め、地響きと共に押し込んでゆく。地面が結構揺れていた。


ズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズ・・・ズ・・・ズゥン・・・


魔法陣が魔王を完全に地面に沈めた・・・・・・封印に成功したのだ。


音は聞こえないはずなのに、そのものすごい迫力に言葉が出ない珠美だった。

ゴクリ・・・と生唾を飲むだけだった。



・・・しかしイメージはまだ続いていた・・・


なんと!先程、魔法でふっ飛ばされた両腕がモコモコと再生していき、やがて魔王の姿になった。

それは人間と同じくらいの大きさだ。もう一人、魔王がいたのだ!


初代メイドクイーンは体力の限界に来ていて、白い杖にすがって肩でぜぇぜぇと息をしていた。

悔しそうに、そこに立つもう一人の魔王を睨んでいた。


人間側の他の者たちは、絶望の表情を浮かべていた・・・・・。


そこに黒い塊が落ちてきた。ドゴオオウゥゥゥゥゥウウン・・・

人々は吹き飛ばされ、体が引きちぎられ、魔物も同じようにバラバラになり、死んでいった。

魔王の最大級の闇魔法だったのだ。たった今まで人間と魔物が戦っていた場所には巨大なクレーターができていた。プスプスと煙が上がっていて、黒こげの手やら足やら胴体が転がっている。


え?え?え?何これ????


すると、初代メイドクイーンと同じような精霊装化スピリチュアルアーマーした人間が四人飛んできて、初代メイドクイーンの前に立ち、魔王に魔法を放った!


威力はメイドクイーンよりやや劣るくらいだが・・・それでも人間離れしたかなり強力な攻撃だった。


しかし魔王はその魔法を避ける・・・が、一発は太ももをカスッた。


もう一人の魔王は「チッ」と舌打ちすると、手刀を振り下ろす仕草をする。するとそこに空間の裂け目ができた。異次元への入り口のようだった。


魔王はその裂け目の中へ入り、何かを宣言するように叫びながら奥へ立ち去って行った。と、同時に裂け目もスーッと消えていった。


・・・イメージはここで終わった。



《 彼がいる限り、再び魔王は復活するでしょう。この時の私は、一人の力で何とか封印しようとしていました。仲間を信頼しきれていなかったのです・・・同じ精霊装化スピリチュアルアーマーできる仲間で一緒に封印に臨めば良かったのに・・・。


自分は最強の能力を持っている、だから自分がすべてを守り、義務を果たさなくてはならない・・・と、それが神の意向だと・・・傲慢で愚かな考えでした。人間はお互いを信じることができる。たとえ全員が同じ考えでなくても・・・『愛』という感情を失わない限り・・・では、火野珠美さん、頼みましたよ。 》


初代メイドクイーンの声が遠くなっていく・・・


すると、私は急速に吸い込まれていくような感覚に襲われて、意識を失った・・・・。


最後まで読んでいただきありがとうございました。

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