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薔薇に死す者  作者: 甘味処雨
8/11

渇望、果ては失する

逃げ出したいと思った。

あまりにも苦しくて

誰かの言葉は今だけは余計だった。


戻ったあと銀杏は何も言わず、

「休まなきゃね。」

一人言のように残して去っていく。


息をさせてくれ。

そう呟いて、タバコに火を着ける。

煙を体に循環させ、そして残した

落ち葉のように煙を吐き出す。


煙は上に立ち上ぼり、吸収されないまま

誰かの頭上を越えていく。

それは迷惑だ。喜劇といってもいい。


こんな嫌で嫌で仕方がない世界への

ささやかな復讐。


このときだけは自分を愛せた。

道具を使うことでしか危害も益も

もたらせられない。そんな自分の

戒めであったはずなんだ。


銃を手に取る。

弾倉を嵌め込み、弾を込める。

金属が擦る音がして銃に弾がこもる。


頭の中がすっと透明になる。

息もした。準備は整った。

やるべきことを声に出して、ただ決めた。


私の口は自然と言葉を象っていく。

さぁ、やるしかないよね。


それはあまりにもそっと空気に溶けていく。

煙と変わらずに

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