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薔薇に死す者  作者: 甘味処雨
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緋色の皺

祈りが終わり、シスターはゆっくりと

立ち上がって私たちと相対する。

両の手のひらを上側にして

私たちに向けた。



話せと言外に伝わる。

私は口を開き、

「標的の5人は仕留めました。

頭を撃ち抜いたので残りはありません。」


銀杏がそのあとに続き、

「私もスコープで確認してます。」


シスターは、

「お疲れ様でした。

今日はゆっくりと休むこと

それが貴女達の最後の仕事ですよ。」


そして、涙が白い頬を伝っていくのが見える。

啜り泣くのでもなく、

大声で喚き散らすでもなく、

ただ静かに涙が1つ、2つ流れてく。


それが5を数え終わるときには

シスターは目を開けて

潤んだ瞳をゆっくりと開ける。


この人の癖。殺してきたのは何十、何百

だろうに1人に一雫零れる涙。

それが供養になると思ってる。

自己満足であれ、贖罪であれ、

私はそれを厭わしいと思わない。


どんな悪行をした塵芥であろうが、

この人の涙になり得たのなら

それは、美しいと思えるから、


「次はね、とても難しいの。」


だろうと思う。人一人殺すのは難しいこと

撃ち抜くためには地理も知能も経験もいる。

それが最大限に発揮されたとしても

運の1つで覆る。

そういう仕事だから諦めもつく。


シスターはいつもの笑みを壊さないで

すんなりとその言葉を吐いた。


「あなたたちの先生を殺してほしいの。」




そうゆうことかよ。くそったれ。

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