異常の受け取りかた
この世は所詮暇潰し。
これが私の人生観であり、
これさえ忘れなければ絶望することもない。
擦れてるとは思う。
ずれてるとも…
だけど自分の力で戻せないのが
自分の性というものなのだ。
煙草に口を付けて煙を口に含む。
苦味と深みが口を満たし
寒空のなか、それを吐き出した。
「まーた、浸ってんの?」
笑いながら栗色の髪をした奴が話し掛けてきた。
こいつは、轟 銀杏。
とどろき いちょう。
「殺しの後位は浸らないとな。」
私は返す。
「いちいち考えて、そのうち病んじゃうよ!
殺しの後だからこそ笑うのさ。」
お前を見てると悩んでるのが馬鹿らしくなる。
そのまま返してやると銀杏は膨れ面を
しながら なんだよー。 と言ってきた。
「そろそろ帰らないとね。
先生が待ってるから、」
彼女は膨れた顔を戻すと
微笑を貼り付けながら
翻して歩き出す。
私はあぁ、と言いながら携帯灰皿に
たばこを押し込み彼女のあとを付いていく。
殺しに対して慣れたのはいつ頃か。
最初なんてひどかった。
感情移入をして、
泣き叫ぶのが供養になると
本気で信じていたから嗚咽を繰り返しながら
大粒の涙を溢していた。
いつからか殺しても泣くのが飽きた。
つまり道化を演じるのが疲れたのだと思った。
昔の本で言うところの人間失格。
人であって人でない。サイコパスなのかと
疑っていたが、それすらも飽きた。
飽き性でいい加減な人間なのだ。私は、
自嘲気味にシニカルに笑って見せる。
銀杏は、
「それもまた防衛反応。」
とゆうが、どうだろうな。
自分に興味がないから考える気にもならない。
「考え込んでないで来てよー!」
栗色の髪を跳ねさせながら
彼女が呼んでる。
本人には言わないが、
この子に救われてると思う。
唯一の安定剤というべきものだ。
隣にいるなら笑っている奴がいい。
例え殺しの度に笑ってるような少し壊れてる
奴だが笑みは心が解れるものだ。
あぁ、煙草が吸いたい。
手持ち無沙汰にポケットに手をいれながら
銀杏の方に歩みを進めた。




